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ケンタクアイ編集部
大東建託グループのニュースメディア「KENTAKU Eyes(ケンタク アイ)」の編集部。暮らしを豊かにする知識やアイデア、最新技術、大東建託で働く人々の想い・取り組みの裏側まで、さまざまな情報をお届けします。
近年、地球温暖化や気候変動、資源の枯渇といった地球環境問題は、私たち人類にとって喫緊の課題となっています。これらの問題解決の糸口として、持続可能な社会の実現が求められており、私たち一人ひとりができることを考え、行動していくことが重要です。
その中で注目されているのが、「太陽光発電」をはじめとする再生可能エネルギー。2020年10月に政府が表明した、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標「カーボンニュートラル」の実現に向けて、国や企業の動きが活発的なことも特長のひとつです。
今回は、太陽光発電の仕組みやメリット、注目されている住宅事例などを解説し、地球環境に優しく、経済的にもオトクな暮らしを実現するための情報を紹介します。
地球上のエネルギー問題を解決するために、「2030年までに安価かつ信頼できるエネルギーを普及させる」と掲げられた持続可能な開発目標(SDGs)。

太陽の光を電力に変える。太陽光発電の仕組み
太陽光発電とは、再生可能エネルギーのひとつで、太陽の光エネルギーを電気に変換するシステムのこと。その中心的な役割を担うのが太陽電池です。現在最も多く使われている太陽電池は、シリコンなどの半導体材料で作られている「シリコン系太陽電池」で、光エネルギーを電子の流れに変換する働きがあります。具体的には、太陽光が太陽電池に当たると、太陽電池内部で電子が飛び出し、電流が発生します。
また、太陽の光という無尽蔵でクリーンなエネルギー源を利用して発電するため、二酸化炭素の排出量削減に貢献し、地球温暖化防止に効果が期待できます。資源の枯渇の心配もなく、エネルギー自給率の向上にもつながるため、次世代へ美しい地球環境を引き継ぐためにも積極的に導入を進めていくべき技術といえるでしょう。
石油や石炭、天然ガスなどの有限な資源である化石エネルギーと異なり、太陽光や風力、水力、バイオマスといった、地球資源であり、自然界に存在するエネルギーのこと。日本のエネルギー自給率は、わずか11.3%。他のOECD諸国と比べても低い水準です。
主要国の一次エネルギー自給率比較
電気を買い取りしてくれる「固定価格買取制度(FIT制度)」という制度も
再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度。電力会社が買い取る費用の一部を電気利用者から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えています。(出典:再生可能エネルギー 固定価格買取制度ガイドブック(資源エネルギー庁))
【メリット・デメリット】太陽光発電で実現する、オトクで快適なライフスタイル
太陽光発電システムを導入することは、経済にも環境にも優しい、快適な暮らしの実現につながります。主なメリットについて見ていきましょう。
メリット01 電気代の節約効果
太陽光発電で自宅で電気を発電できるようになると、電力会社から購入する電気量を減らすことができます。その結果、毎月の電気代を抑えられ、家計にゆとりが生まれます。電気料金プランによっては、余った電気を電力会社に売却できる制度もあり、更なる節約につながる可能性も秘めています。
メリット02 環境への貢献
CO2を排出しないクリーンなエネルギーの太陽光発電。地球温暖化防止に貢献できるだけでなく、大気汚染の改善にもつながります。環境問題に関心の高い方にとって、太陽光発電の導入は、持続可能な社会への貢献を実感できる有効な手段といえるでしょう。
メリット03 災害時の電力確保
近年、地震や台風などの自然災害による停電が増加しています。しかし、太陽光発電システムがあれば、停電時でも、自立運転モードに切り替えることで、電気を使用可能。太陽が出ていれば発電できるため、災害時でも安心です。特に、オール電化住宅の場合、停電時の生活維持に大きな効果を発揮します。
経済産業省が主導する「住宅用太陽光発電導入支援事業費補助金」や、地方自治体独自の補助金制度など、太陽光発電システムや蓄電池などを導入する住宅を対象に、費用の一部を補助してくれる制度もあります。
デメリットは初期・メンテナンスコストと自然災害のリスク
太陽光発電には、多くのメリットがありますが、設置を検討する前に認識しておきたいデメリットもあります。例えば、設置における初期費用のコストや、定期的に行うメンテナンス用の維持コストです。2023年に資源エネルギー庁が公表したデータ「太陽光発電について」によると、新築の場合で平均28.8万円(1kWあたり)。また、業者によって異なりますが、定期的なメンテナンスコストもかかるため、一般的には費用の回収には10〜15年ほどかかるといわれています。

その他にも、設置するエリアの気候状況や、甚大な自然災害が発生した場合など、物理的に太陽光との接触時間が少なくなる環境下になると発電量が大きく変動することも念頭においておきましょう。
【事例】再生可能エネルギーと共生する、快適でエコな最新住宅
私たちにとって身近であり、再生可能エネルギーの効果を大きく感じることができる “住まい”。近年、着目されている住宅事例を見ていきましょう。
メリット01 年間のエネルギー量を“ゼロ”に近づける「ZEH(ゼッチ)住宅」
「ZEH(ゼッチ)住宅」とは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、住まいの断熱性・省エネ性能を上げつつ、太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、建物で消費する年間の一次消費エネルギー量※の収支をプラスマイナスゼロにする住宅のことです。
※ZEH住宅に住むメリットは、光熱費を大幅に削減できる点です。エネルギー消費を抑え、さらに創エネによってエネルギーを自給自足することで、家計に優しい暮らしを実現できます。一方で、高性能な建材や設備を導入するため、従来の住宅に比べて建築コストが高くなる傾向がありますが、長期的に見ると、光熱費の削減効果によって初期費用の差額を回収できる可能性もあります。
事例02 CO2排出量を“マイナス”にする「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅」
「LCCM(エルシーシーエム)」住宅とは、「Life Cycle Carbon Minus(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)」の略で、建物の一生(製造・輸送・施工・生活・改修・解体破棄)全体のCO2排出量と、太陽光発電による創エネルギーで抑制されるCO2削減量の差がゼロ以下となる脱炭素住宅のことです。
LCCM住宅に住むメリットは、ZEH住宅同様、光熱費を大幅に削減できる点です。また、太陽光発電をはじめとしたCO2を排出しない再生可能エネルギーが創出されるため、社会の再生可能エネルギー使用比率が増加し、LCCM住宅が増えることで、社会全体の二酸化炭素を減らすことにつながります。
再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電。FIT制度や補助金制度などによる国の推進に加えて、光熱費やCO2排出量などを軽減できるメリットがあります。一度検討してみてはいかがでしょうか?