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ZEH(ゼッチ)って何? 快適&省エネな暮らしを実現する住宅のメリット・デメリットを解説

2025.04.04
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ZEH(ゼッチ)って何? 快適&省エネな暮らしを実現する住宅のメリット・デメリットを解説

PROFILE

向井 亮太

向井 亮太 設計部 ZEH推進課(大東建託)

2014年大東建託株式会社入社。大東建託が供給する木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の賃貸住宅の設計業務を担当。2021年本社設計部設計課へ異動。2022年にZEH推進課を立ち上げZEH関連業務全般を担当。2024年環境省認定制度 脱炭素アドバイザー取得。

近年、家づくりを検討している人や、リフォームを考えている人の間で注目を集めている「ZEH(ゼッチ)」住宅。戸建住宅だけでなく、アパートやマンションといった賃貸住宅においてもZEH仕様の導入が広がっています。電気代の高騰、地球温暖化、そして災害リスクへの備えとして、エネルギー効率のよい住宅に関心が高まっているいま、ZEHはこれからのスタンダードともいえる存在になるでしょう。

この記事では、ZEHの基本的な仕組みからメリット・デメリット、賃貸住宅での潮流まで、わかりやすく解説します。

省エネ&創エネが叶うZEHとは?

「ZEH(ゼッチ)」とは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称で、住宅で消費するエネルギーと、太陽光発電などで自ら創り出すエネルギーにより、年間の一次エネルギー消費量(冷暖房をはじめ、換気・給湯・照明などの設備機器のエネルギーを熱量換算した合計値)を実質的にゼロ以下にすることを指します。ZEH住宅は単なる省エネ住宅とは異なり、消費エネルギーを抑える(省エネ)だけでなく、自らエネルギーを生み出す(創エネ)点が大きなポイント。環境への負荷を最小限に抑える住宅として、近年評価されています。

ZEH賃貸住宅の仕組み ZEH賃貸住宅の仕組み(引用:ZEH賃貸住宅開発のあゆみ)

日本では政府が脱炭素社会の実現に向けてZEHの普及を推進しており、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画において、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」とともに、「2030年において新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」とする政策目標が設定されるなど、脱炭素化社会の実現における住宅の役割はますます重要になっています。

ZEH区分 ZEH区分

冬暖かくて夏涼しい! ZEH住宅の3つの特長

ZEH住宅は、主に次の3つの要素を組み合わせることで、エネルギー収支ゼロを目指しています。

特長01 高断熱性能|外気を遮り快適な室内を保つ

建物の外壁・屋根・床・窓などに高性能な断熱材やサッシを使用することで、外気の影響を受けにくくし、冷暖房効率を大幅に向上させます。これにより、冬は暖かく、夏は涼しい快適な室内環境を保ちやすくなります。

特長02 高効率な設備機器|エネルギーをムダなく使う

給湯器(エコキュートなど)・LED照明・換気システム・冷暖房設備など、少ないエネルギーで効率よく動作する機器を採用することで、住宅全体のエネルギー消費を大きく削減します。

大東建託が採用している高断熱・省エネの設備仕様 大東建託が採用している高断熱・省エネの設備仕様

特長03 再生可能エネルギーの導入|自宅でエネルギーをつくる

太陽光発電システムを設置し、家庭で使う電力を自らまかなえるようにします。余った電力は売電も可能なため経済的。蓄電池を導入すれば、災害時の電力確保にもつながります。

売電制度には上限期間や価格変動があるため、導入時に確認が必要です。

【メリット】快適さはもちろん、長期的な価値の高さもポイント

ここからは、ZEH住宅のメリットを見ていきましょう。

メリット01 光熱費が削減できる

太陽光発電によって電力を自給自足することで、毎月の電気代を抑えることができます。家庭内のエネルギー効率も高まるため、冷暖房にかかる費用も削減できるでしょう。

戸建て住宅の場合 戸建て住宅の場合(引用:国土交通省)
戸建て住宅の場合 マンションの場合(引用:国土交通省)

メリット02 快適な室内環境を保てる

高断熱・高気密によって夏の暑さや冬の寒さがやわらぐため、温度差が少ない環境でこれまで以上に快適に過ごすことができます。

メリット03 健康面のリスクが下がる

室内の温度差が少なくなるため、ヒートショック(急激な温度変化によって血圧が上下し、心臓や血管に大きな負担がかかる現象)のリスクが下がります。ヒートショックは、特に高齢者や生活習慣病がある人が、その影響を受けやすい傾向にあります。

メリット04 災害時に強い

太陽光発電+蓄電池で、停電時も一般家庭に必要な最低限の電力を確保することが可能です。

メリット05 将来的に資産価値が高まる

近年、住宅の環境性能が重視されているため、ZEHのように省エネ・創エネの機能を備えた住宅は、将来的に資産価値が高く評価される可能性があります。

メリット06 補助金や優遇制度が利用できる

ZEH仕様の住宅を新築またはリフォームする際に利用できるZEH補助金や、住宅ローン減税、固定資産税の軽減などの税制優遇制度受けられる場合があります。

【デメリット】初期の懸念事項をクリアすることが必要

一方で、ZEHには以下のような課題や注意点も存在します。導入前にこれらの点をしっかり理解しておくことで、後悔のない住まいづくりにつながります。

デメリット01 建築コストが比較的高い

高性能な断熱材や設備機器、太陽光発電システムなどを導入するため、初期費用が増える傾向があります。ただし、このコストは光熱費の削減や補助金の活用によって、長期的には回収可能とされており、「先行投資」として捉えられます。

ZEH住宅で、東京でも年間約46,000円おトクに!?

国土交通省によると、ZEH水準や太陽光パネル付きの省エネ住宅では、年間で光熱費が数万円程度削減できると算出されています。

デメリット02 敷地条件に左右される

ZEHの大きな柱である「創エネ(太陽光発電)」は、屋根に十分なスペースと日照が確保できることが前提となります。そのため、建設予定地が北向きで日当たりが悪かったり、屋根の傾斜や形状が複雑だったりする場合、太陽光パネルの設置が難しくなることも。設計段階での綿密なプランニングや、土地選びの段階からの検討が重要です。

デメリット03 設計の自由度が制限される場合がある

ZEH基準を満たすためには、建物の断熱性能や設備効率に配慮した設計が求められるため、デザインや間取りにこだわりがある場合、希望通りの設計が難しくなることがあります。特に大きな窓や吹き抜け、開放感のある空間を重視する場合、断熱性やエネルギー効率とのバランスを慎重に検討する必要があるでしょう。

デメリット04 専門的な知識が必要

ZEH住宅の設計・施工には専門的な知識と経験が求められるため、信頼できる建築会社選びが重要です。また、補助金制度も年度によって条件や申請方法が変わるため、常に最新の情報を押さえておく必要があります。

ZEH住宅に活用できる「補助金制度」とは?

ZEH住宅は一般的な住宅よりも建築コストが高くなる傾向にあるため、負担軽減策として国や自治体はさまざまな補助金制度を用意しています。2025年度(令和6年度)に実施される「戸建住宅ZEH化等支援事業」では、新築ZEH住宅を建てる個人や販売する法人に対して、一定の条件を満たせば1戸あたり最大112万円程度の補助を受けることが可能に。高断熱・高効率な住宅に加え、太陽光発電の設置やHEMS(家庭のエネルギー使用状況を可視化し、省エネを支援するシステム)の導入などが対象要件に含まれます。

また、賃貸アパートやマンションといった集合住宅についても、「集合住宅の省CO2化促進事業」が用意されており、集合住宅の新築を対象とした補助制度が展開されています。補助金は予算枠や申請期間に限りがあるため、早めの情報収集と準備が大切。対象条件や補助額の詳細は、ZEH支援団体のポータルサイトなどで最新情報を確認するのがオススメです。

導入は戸建だけじゃない? 集合住宅にも広がるZEHの波

これまでZEHといえば戸建住宅のイメージが強かったかもしれませんが、近年では賃貸アパートやマンションといった集合住宅に対応した「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」の導入も進んでいます。「ZEH-M」とは、集合住宅で一次エネルギー消費量を削減しつつ、共用部や専有部に省エネ・創エネ設備を取り入れることで、ZEHと同等の効果を目指す建物のこと。建築会社や賃貸オーナーにとっては、入居者にとっての「光熱費の安さ」「災害時の安心感」「快適性」などを訴求できる、差別化要素となりえます。

【まとめ】人にも地球にもやさしい住宅に暮らそう

ZEH住宅は、環境への配慮と家計の節約を同時に実現できる、これからの住まいのスタンダードです。高断熱、省エネ・創エネのバランスがとれたZEHは、家族の快適な暮らしを支えるだけでなく、地球環境にも貢献する選択でしょう。初期費用こそ高くなりがちですが、光熱費の削減や補助金の活用によって、長期的には十分に元が取れる見込みです。戸建住宅だけでなく、集合住宅でもZEH仕様の普及が加速していくことが期待されているため、今後の動向にも注目が高まっています。

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