MENU
住まいと暮らし

我が家を守る“鍵の歴史と最新セキュリティ事情”。暮らしの安心はどう変わる?

2025.04.14
ポスト ポスト ポスト ポスト シェア シェア はてブ はてブ LINE LINE LINE LINE URLコピー URLコピー
我が家を守る“鍵の歴史と最新セキュリティ事情”。暮らしの安心はどう変わる?

PROFILE

中川 祥呉

中川 祥呉 技術開発部 技術開発課(大東建託)

2006年に支店工事課に入社。その後は設計部、流通開発部、支店設計課等を経て、2023年4月に技術開発部へ異動。自社に導入する新規資材・新規運用の開発を手がける。現在は、「スマートDKロック」の販売拡大・既存物件導入のほか、「外壁CGパースセンター」のWeb運用に向けたシステム開発にも携わっている。

「鍵」という日常的に使用するアイテムが、私たちの生活に与える影響を考えたことはありますか? 家を出るとき、帰宅するとき、何気なく手に取るものですが、それがなければプライバシーや安全は守られません。

時代とともに進化し、暮らしのあり方を変えてきた鍵。大東建託も、人々の暮らしに携わる企業として、より安全で使いやすい鍵を追求してきました。デジタル技術の発展が加速するいま、鍵はどのように変わろうとしているのか──。本記事では、賃貸住宅における鍵の進化や大東建託の取り組みを紹介します。

誕生したのは4000年以上前!? 時代とともに進化した「鍵」の歴史

物理的・心理的な安全を守るだけでなく、所有権を証明する役割も担ってきた鍵。シリンダー錠やディンプルキー、カードキー、スマートロック、生体認証など、現代ではその形も多様化していますが、その歴史をたどると、なんと紀元前2000年まで遡るといわれています。鍵は時代とともにどのように進化してきたのでしょうか? まずはそのルーツを紐解いてみましょう。

古代エジプトの「エジプト錠」

古代エジプトでは、「エジプト錠」と呼ばれる鍵が使われていました。これは、閂(かんぬき)に複数の穴を開け、そこにピンを差し込んだり抜いたりして施錠/解錠するというもの。仕組み自体はシンプルですが、穴の位置や数を変えることで、簡単には開けられない工夫が施されていました。

中世ヨーロッパの「ウォード錠」

中世ヨーロッパでは、現在でも南京錠やバッグのロックに使われる「ウォード錠」が広まりました。鍵穴の奥に「ウォード」と呼ばれる障害物が設けられており、正しい鍵だけがその障害物を避けて回転できる仕組みになっています。偽物の鍵では開けられない、当時としては画期的な技術でした。

中世ヨーロッパの「ウォード錠」

産業革命後の「レバータンブラー錠」と「ピンタンブラー錠」

産業革命以降、鍵の技術は飛躍的に進歩しました。18世紀後半に発明された「レバータンブラー錠」は、2〜4つの独立したレバーを特定の高さまで持ち上げることで解錠する仕組み。さらに19世紀半ばには、鍵の凹凸に合わせて内部のピンが上下に動き、全てのピンが正しい位置に揃うと解錠できるという仕組みの「ピンタンブラー錠」が誕生しました。興味深いことに、このピンタンブラー錠は古代エジプトの「エジプト錠」と類似しており、約4000年の時を経て再発明されたともいえます。これらの発明が現代の鍵の原型となり、今日でも広く使用されています。

産業革命後の「レバータンブラー錠」と「ピンタンブラー錠」

現代の「スマートキー」

現代では、これまでの鍵の概念を超えた「スマートキー」が登場しています。自動車や住宅など、さまざまな場面で活躍しているこの鍵は、近距離無線通信技術(NFCやBluetooth)を利用し、専用のデバイスが車やドアのセンサーと通信することで、ロックを解除したり、エンジンをスタートさせたりすることが可能です。近年は、これらに顔認証や指紋認証といった生体認証と組み合わせることで、セキュリティも一層強化されています。これにより、鍵を失くしたり、盗まれたりする心配も減り、利便性と安全性のバランスが取れた新しい時代の鍵として、今後ますます普及が進んでいくことが予想されます。

現代の「スマートキー」

賃貸住宅は引っ越しのたびに鍵交換が必要だった。コストカットを実現した「メモリーキー」とは?

ここからは、賃貸物件に特化した鍵の進化を、大東建託で鍵の開発に携わる中川祥呉さんに聞きました。

大東建託が専門とする賃貸住宅の鍵に関しては、どのように進化してきたのでしょうか?

中川「賃貸住宅は戸建住宅や分譲マンションと異なり、入居者さまが数年単位で入れ替わるという特徴がありますよね。防犯上、前の入居者さまが使っていた鍵をそのまま次の方に渡すわけにはいきません。そのため、入居者さまが入れ替わるたびに、いわゆる鍵穴に該当する『シリンダー』ごとドアから外して、交換するのが一般的でした。

しかし2005年、当社がメーカーとの協議のうえ、採用を開始した『メモリーキー』が、この仕組みに革命をもたらしました。メモリーキーは、シリンダーの内部で鍵の形状を記憶し、退去時にはその記憶をリセット。新たな入居者さまが入る際に、別の鍵の形状を記憶できる仕組みです。これはつまり、退去時に交換するのは鍵のみで、シリンダーごと取り替える必要がなくなったということ。鍵の分野では非常に画期的な進化で、導入当時、私自身も大きな衝撃を受けました」

メモリーキーは、シリンダーの内部で鍵の形状を記憶し、退去時にはその記憶をリセッ

シリンダーを交換しなくて済むのは、オーナー側に大きなメリットがありそうですね。

中川「そうですね。もっとも大きなメリットは、コストの削減ができることです。通常、シリンダーの交換には本体の費用(2~3万円。セキュリティがより高いものではさらに高額)に加え、交換を担当する作業者の人件費もかかります。一般的に、賃貸住宅ではこの費用をオーナーさまが負担しているので、入居者さまの入れ替わりが多いほど、その負担も増えてしまうんです。当社では、オーナーさまから賃貸物件を丸ごと借り上げて毎月定額の家賃を保証する『賃貸経営受託システム』を展開しています。そのため、退去時の鍵交換も当社が担当しており、修繕費用も含めた最適なコストバランスは常に考えなければいけないこと。そうした意味で、品質を維持しつつランニングコストを抑えられるメモリーキーの導入には、大きな価値を感じました」

大東建託の「ROOFLAG」に展示されているメモリーキーのサンプル 大東建託の「ROOFLAG」に展示されているメモリーキーのサンプル

賃貸物件の鍵に関して、他にも大東建託ならではの特長はありますか?

中川「当社グループの物件では、管理会社が入居者さまの鍵を保管することはありません。これはとてもユニークな点だと思います。管理会社とはいえ、第三者が自宅の鍵を持っていることに抵抗を感じる方は少なくないはず。入居者さまだけがご自身の鍵を管理できるこの仕組みは、大きな安心感につながると思います」

大東建託株式会社 技術開発部 技術開発課 中川 祥呉(なかがわ・しょうご) 大東建託株式会社 技術開発部 技術開発課 中川 祥呉(なかがわ・しょうご)
スマホ1つでドアが開く!? 話題の「スマートロック」に注目 次のページ
1 2

Related Articles

『KENTAKU Eyes(ケンタクアイ)』は、
大東建託グループが立ち上げたニュースメディアです。

お届けするのは、暮らしを豊かにする知識やアイデア、見たことのない最新技術、
大東建託で働く人々の想い・取り組みの裏側まで、実にさまざま。

私たちがつないできた“今まで”と、これから皆さんがひらいていく“未来”を
一緒にのぞいてみませんか?

FOLLOW US
SHARE ポスト ポスト ポスト ポスト シェア シェア はてブ はてブ LINE LINE LINE LINE URLコピー URLコピー
目次
シェア