PROFILE この記事の登場人物
唐澤 文香 船橋支店 設計課（大東建託）
大学で意匠設計を学び2015年大東建託柏支店に入社。8年間柏支店勤務後、船橋支店へ異動し、木造だけでなくRC物件も担当している。旅行が大好きで初ハワイは会社の報奨旅行で達成。最近引越しをして、旦那と新しい街を探索することがマイブーム。
大東建託の設計事務所では、女性の一級建築士（設計職）も多く活躍しています。今回は入社7年目の唐澤文香さんの一日に密着。 図面作成や敷地調査などで工夫している点や、設計者としての仕事に対するやりがいや想いについて見ていきます。
（本密着動画は、2021年に撮影されました）
全編は動画でご覧ください
現地調査からプラン図作成まで。女性一級建築士の一日
オフィスに出勤したら、着替えを済ませて仕事に向かいます。ちなみに服装はその日の予定によってオフィスカジュアルとスーツを使い分けているとのこと。その後、朝のミーティング前までにメールの確認や返信対応を行います。
朝のミーティングでは、図面や申請、工事、検査の予定や設計課に属するメンバー全員の進捗状況やスケジュールを共有。お互いに行動を把握することで、設計課全体で効率よく仕事ができるように意識しています。ミーティング後は現地調査に向かうため、調査に持っていく計画地の資料のコピーをとり、住所や地番、公簿面積、地目、所有者といった計画地の情報を事前に確認しておきます。
9時30分〜 後輩を連れて敷地調査・行政調査へ
作業着に着替えて、いざ出発準備。
この日の計画地には後輩を連れて、会社から貸与されている車で向かいます。
現地調査とは計画地や周辺状況を調査することで、大東建託では設計者自らが測量し、設計者の目線で計画地を確認しています。測量については計画地の形状を測るのはもちろん、建物を計画するうえでは欠かせない道路や隣地などの周辺環境、計画地内外の高低差なども測るんです。
また、敷地と接している道路内の給水本管、キッチンやトイレなどの排水を流す下水本管、都市ガスの有無など、建物を立てる際に必要となる計画地および周辺の状況を見落とさないように1点1点図っていきます。測量で得た情報はタブレット型パソコンにて記録しています。
敷地形状や高低差などを測量することで、ご契約いただく前からお客さまにより正確なプラン図を提案することが可能
11時15分〜 行政調査のために役所へ移動
現地調査を終え、ここから行政調査のために役所へ。
行政調査では計画地域の条例などの法令や、計画地および前面道路内のインフラ関係などの調査を行います。
集合住宅の場合では建築基準法のみならず、行政ごとに計画戸数（部屋数）に対する駐車場・駐輪場などの設置台数や敷地内ゴミ置き場に決まりがある場合があります。そこで、建物が完成するまでに必要となる申請内容や申請期間を調査していくんです。行政との打ち合わせを終えた結果、前面道路のライフライン関係は、計画に対して特に問題はなかったものの、地域の条例により1住戸に対して駐車場が1台必要とのこと。
集合住宅を建てるうえで「上下水道は建物とどのように接続するのか」を明示するほか、敷地内に設置するゴミ置き場に対して協議を行うことが不可欠になることが判明しました。
以上のことから、建物着工までには、少なくとも建築基準法の申請（1ヶ月）に加えて、上下水・ゴミ置き場等の事前協議（3ヶ月）の期間を確保することが求められると、今回の行政調査を通じて理解することができました。
そして、この日のランチは後輩が気になっていたサンドイッチ屋さんでテイクアウトを注文。支店に戻ってから昼休憩に入ります。
13時30分〜 現況図・プラン図の作成
午後からは、午前中に測った測量データをパソコンに取り込んで、現況図を作成していきます。現況図は計画地や周辺の現状況を表した図面で、測量した点と点をつないで作図していきます。作成した現況図と調査の内容を踏まえ、14時から「プラン会議」に出席し、具体的な建設プランを考えていきます。
プラン会議とは関係部署が集まり、それぞれの目線で意見を出して、ベストな事業提案ができるようにプランの方向性を決める会議のこと。詳しくはこちらの動画で紹介しています。
ベストなプランをご提案！ 首都圏エリアの設計現場に突撃！！
プラン会議で決まったプランをもとに、建物や駐車場などの土地利用計画図である「プラン図」の作成へ。プラン図では駐車場・駐輪場などの外構を配置するほか、さまざまな土地形状や地域の市場に合った建物（木造や鉄骨造、RC造などの規格化されたもの）をスピーディーに提案できるように心がけています。
大東建託では、安心安全の賃貸経営および入居者さまの快適性を確保するため、独自の設計基準を設けています。大東建託独自のCADシステム「DK-CAD」では、舗装材の厚みやブロックの幅、植栽の木の本数などの情報を入力しながら作図していきます。「DK－CAD」の特長として、図面内に配置された資材の数量や仕様が自動で抽出され、積算業務（建築工事費がいくらになるのかを計算する業務）を正確かつ素早く行うことができる点が挙げられます。
できたプラン図はこちら！
メインの居住空間が明るくなるように、バルコニーを南向きに設けたほか、化粧舗装やアール（曲線）のデザインを取り入れ、道路からの建物や敷地の見栄えにこだわりました。そのほか、セキュリティーに配慮するために防犯カメラや、近年ニーズの高まっている宅配ボックスを設置。このようなプラン図の作成を通して、お客さまに喜んでいただけるように努めています。
「信頼される設計者を目指したい」一級建築士の魅力とは
ここからは、一級建築士の仕事について、唐澤さんにインタビューを行いました。
設計職として仕事で一番大切にしていることは何ですか？
設計者としてのやりがいはどんなところに感じていますか？
唐澤「調査から建物完成まで、すべての工程に携われることです。何も無かった敷地に、担当させていただいた建物が初めて完成した時は、感動して思わず涙を流してしまいました」
設計職の仕事の特長は何ですか？
唐澤「私の勝手な設計職のイメージのギャップになってしまうかもしれませんが、事務所に閉じこもってひたすら図面を描くのではなく、敷地の調査や建物の検査に行ったり営業の方と一緒にお客さまにプランの説明をしたりと外出する機会が多い職種です。あとは配属される視点にもよりますが、一から間取りを考える設計ではなく、間取りや外観などが規格化された建物を使った計画が多いため、お客さまにプラン図や賃貸事業の試算書をご提示するまでにスピード感が早いです。そのため、たくさんの経験を積める機会が多いのが大東建託の設計職の特長になっています」
大東建託のプランのアピールポイントを教えてください。
唐澤「賃貸住宅は入居者さまが入れ替わるので、より多くの方に気に入っていただける間取り・デザイン・住宅設備やメンテナンスの容易性を兼ね備えておく必要があります。大東建託には、全国の土地オーナーさまや入居者さまから得たニーズを反映して開発された商品や、独自の設計基準があります。確かな技術力を持って、高品質の建物を提案できるのが大東建託の強みだと思います」
今後はどのような目標を掲げていますか？
唐澤「会社が生活総合支援企業として、賃貸住宅以外の建物の建設にも力を入れているので、どんな建物の設計依頼でも対応できる設計力を養っていきたいです。将来的には、上司のように周りから信頼される設計者を目指したいと思います」
上司からも信頼される期待の女性一級建築士
唐澤さんの上司も、真面目で実直に働く姿に信頼を置いていると話していました。
安西課長「本当にいつも明るく、元気で、唐澤さんが居るだけで設計課の雰囲気が明るくなります。また、営業職やお客さま、関係業者の方からも慕われています。仕事面も、私が指示した以上のことをやってくれていて、とても頼りになる存在だと思っているので、今後の成長が楽しみです」
現地調査から図面の設計、プラン提案まで、仕事が多岐にわたる大東建託の設計職。その中で、唐澤さんはこれからも技術力を磨きながら、「お客さまにとって最適なプランを提案し続けていきたい」と語る姿が印象的でした。
「お客さまの土地を最大限に活用した提案ができるように心がけています。職場も明るく、働きやすい環境だと感じています。ちょっとしたことでも課長が相談に乗ってくれるので、本当に助けてもらっています。最近は後輩もできたことで『教えられる立場』から『教える立場』になり、以前よりも 責任感を持つようになりました」