
PROFILE この記事の登場人物

橋本 楓歌 名古屋北支店 設計課(大東建託)
大学で意匠設計や構造を学び2020年に大東建託中日本積算センターに入社。取材時(2023年)は名古屋支店の積算担当として勤務し、現在は名古屋北支店に勤務。積算担当としてスキルアップできるよう日々尽力している。
建設業には設計や工事監督といった職種がありますが、「積算(せきさん)」という仕事をご存知ですか? 建設に関わるコストを算出し、工事の予算を管理する「お金のスペシャリスト」として活躍する重要な職種です。今回は、大東建託の設計事務所で建築積算士として活躍する入社3年目の橋本楓歌さんに密着。
女性積算職の一日を通じて、具体的な仕事内容やこの職業の魅力に迫ります。建設業界の裏方でありながら、プロジェクトの成功に欠かせない積算職の世界をのぞいてみましょう。
(本密着動画は、2021年に撮影されました)
全編は動画でご覧ください
提案から建物の完成まで全工程に携わる積算職の一日とは?
支店に到着したら、まずはメールのチェックから積算職の一日が始まります。積算事務所や設備業者への依頼や質疑応答の内容を確認し、メールを返していきます。その後、毎朝実施する設計課のミーティングに向けて、先輩と一日の業務の擦り合わせを行います。

朝のミーティングでは各担当者のスケジュールなどを共有。この日、橋本さんは新たな概算業務を依頼されたので、計画地の現地確認へ行くことに。

積算職は現場確認・調査から建物完成まで関わる仕事です。概算業務とは、現場確認・調査とプラン会議およびプラン図から建設費用を算出する業務です。
11時〜 作業着に着替えて計画地の確認作業を実施
作業着に着替えて、いざ現地へ。
ここから計画地の確認作業に入ります。積算業務を実施する前には、必ず現地の状況確認が必須です。概算業務で算出する金額は、計画地の状況で大幅に変わってしまうこともあるので、設計職が現地を確認する際に同行して、道路状況や近隣条件などを自ら確認していきます。


概算で算出する金額は、計画地の状況によって大きく左右されるため、設計職が現地を確認するタイミングで同行し、道路状況や近隣条件などを確かめていきます。一見すると地味な作業に見えても、自分の目でしっかりと確認することが、積算の仕事では重要になるのです。作業完了後は支店に戻り、昼食をいただきます。この日は、橋本さんの好きなたこやき。午後に備えて活力を養います。

13時30分〜 プラン会議に出席して概算業務へ
午後はプラン会議に出席。より正確な建設費用を算出できるように「計画地の隣地をクレーン者の設置位置として利用できるか?」など、図面だけでは判断できない部分の条件を確認していきます。重要な部分は細かくメモし、漏れが無いように心がけています。また、単に確認するだけではなく、より良い事業提案ができるように、「積算職としての提案」も欠かさず行います。

先ほどの打ち合わせ結果を踏まえ、大東建託オリジナルの「DK−CAD」を使用して建築に関わる費用を算出。CAD(コンピューター上で設計や製図を行うツール)プログラムには資材の価格と数量、工事に関わる仮説費用・地盤補強費などを入力します。また、CAD内で自動算出されるアスファルト舗装などの資材数量を確認したり、システム上で自動確認ができない資材や価格を入力したりします。

仮説費用の不必要など、判断に困った場合は先輩に相談し、いろいろなアドバイスをもらいながら進めていくのを意識しています。間違いや漏れが無いように図面を見ながら、入力した価格や数量を確認します。
今回は現場確認、調査と概算積算業務を実施しましたが、ほかにも契約のタイミングでの予算作成や、計画している建物の図面一式が出来上がった際の予算作成など、日によって作業内容が変わります。

デスクワークだけじゃない! 積算職の仕事の魅力とは?

ここからは、積算職のやりがいや魅力について、橋本さんにインタビューを行いました。
積算職として大切にしていることは何ですか?
職場の雰囲気は休日の取得についてはいかがですか?

「明るい雰囲気で、風通しの良い職場だと思います。コミュニケーションが取りやすく、分からないことがあれば経験豊富な先輩がいろいろと教えてくれます。基本的にカレンダー通りの休みで、毎月1回以上の有給休暇を取得しています」
積算職のどのあたりにやりがいを感じていますか?

「積算業務を行う上では、ただ図面を読み取って数量や金額を算出するだけではなく、建築基準法などの法令知識、どのような重機や仮設工事が必要になるかを判断する現場の知識など、建築に関する多様な知識が求められます。洋服や家具を買うときも同じだと思いますが、デザインだけでなく値段も重要なポイントです。建設する建物だけでなく、自分の知識や経験を生かして算出した建築費用がお客さまの契約に繋がるので、非常にやりがいを感じますね。また、プラン会議では私の提案を取り入れてもらえることが増えており、自分なりの成長を実感できているので、それもモチベーションになっていますね」
積算職の仕事の特長は何ですか?

「積算職というとデスクワークのイメージが強く、机に向かっているだけだと思われがちですが、今日のように現場に行く機会もあります。また、積算職は初めの提案から建物が完成するまで、全ての案件に関わる中心人物です。オーナーさま、当社の営業職や設計職、現場監督、工事協力業者の方など、多方面からの要望を理解して、期待に応える力やコミュニケーション能力も身に付きます。積算職として、コスト面での提案力を生かせる機会が多いところも、大東建託の積算職の特長だと思っています」
「取り組み姿勢が素晴らしい!」先輩・上司からの評価
橋本さんと一緒に働く先輩方も、彼女のひたむきな姿勢を高く評価していました。

「とても真面目な性格で、分からないことはすぐ相談に行きますし、機械の操作や業務に関する知識の吸収力も素晴らしいです。機械の操作に長けているし、業務に関する知識の吸収力には目を見張るものがありますね」

「本当に真面目で、質問や指示する際は必ずノートを持ってきて、分からないことは調べるんですよね。努力家というか取り組み姿勢がすごいので、今後ももっと成長していくと思っています」
積算職は、建設に関わるお金のスペシャリストであり、全ての案件に関わる中心人物の役割を果たします。橋本さんの一日を通じて、積算職が単なるデスクワークではなく、現場との連携や多様な知識が求められる仕事であることが伝わったのではないでしょうか。
「建設工事費を算出する積算は、お客さまとのご縁をいただいて建物を建設するために重要な仕事になります。そのため、金額を算出した際は必ず数字の確認を行い、根拠を説明できるようにしています」