
PROFILE この記事の登場人物

齊藤 利昭 成田営業所 係長(大東建託パートナーズ)
2013年に大東建託パートナーズの千葉営業所に入社し、2023年4月に成田営業所に異動。トータルプランナーとして、日々の入居者さまのサポート・建物美化に努めている。
「なんだか部屋がジメジメする……」「窓や床が濡れているけど、これって雨漏り?」そんな住まいのお悩みは、何気ない日常の“アレ”が原因かも?
今回は、賃貸住宅でやりがちな「湿気が溜まりやすいNG行動」を5つピックアップ。建物管理のプロである大東建託パートナーズの齊藤利昭さんが、湿気が溜まる原因と対策方法を解説します。今日からできる簡単な工夫で、ジメジメ知らずの快適な暮らしを!
【原因】湿気トラブル原因は「○○○」にあり!? 特に気をつけるべき部屋とは
部屋にこもるイヤな湿気の正体…… それはズバリ「空気中の水蒸気」。ジメジメしていると感じるのは、私たちの呼気、浴室の水気、料理中の湯気、洗濯物に含まれる水分などが蒸発して水蒸気となり、部屋に充満するからです。この湿気が引き金となって起こるのが、「結露」や「カビ」などの住まいトラブル。水蒸気を含んだ暖かい空気が冷えると結露が発生し、空気の流れが悪い場所ではカビが繁殖しやすくなります。
どんな部屋でも湿気対策は必要ですが、建物の構造や立地によって湿気のこもりやすさは異なります。例えば気密性の高いマンションは、木造アパートに比べて空気の循環が少ない傾向に。日当たりの影響を受けやすい北側の部屋、地面に近い1階は、意識的な湿気対策がより大切になります。部屋の中で特に結露・カビが発生しやすいのは、窓周りの壁紙やゴムパッキン。壁紙にカビが生えると、ひどい場合は壁紙が剥がれてしまうことも……。そうしたトラブルを防ぐために、次に紹介する「NG行動5選」をやっていないかぜひチェックしてみてください。
NG行動01|節電のつもりで「24時間換気」をOFF。電気代はあまり変わらない……?

湿気対策の基本は、換気で部屋の中に新鮮な空気を取り入れること。これができていないと、部屋の中がジメジメしたり、結露やカビなどが発生したりしやすくなります。換気のためには、部屋に設置された「24時間換気システム」と、トイレや浴室の換気扇スイッチを常時つけておくのが鉄則です。空気の流れが生まれ、壁の給気口から外の空気が入ってきます。

「節電のためにスイッチを切る方もいますが、常につけていても電気代は月々数百円程度です。換気を怠ってカビが発生すると、お部屋が汚れて清掃にお金がかかる、健康被害を引き起こすなどさまざまなデメリットが生じるので、ぜひ換気を優先してください。窓を開けて空気を入れ替えるのも欠かせません。1日に複数回開けるのが理想ですが、難しければ朝1回だけでもOK。10~20分程度は開けたままにしておきましょう。防犯のために窓のシャッターを閉めっぱなしにする人もいますが、やはり1日1回は開ける習慣を」
ちなみに、雨の日や冬の寒い日はどうすればいいのでしょうか。

「現代の住宅では、暴風雨でない限り雨が吹き込むことはありません。雨の日も可能な範囲で換気してください。ただし、湿った空気が入ってくるので、除湿器やエアコンの除湿モードを併用するのがおすすめ。冬も結露しやすいので換気は必須です。冬は感染症対策で湿度を上げることが推奨されるため、加湿器などをつけたままにし、換気をしない人もいるはず。しかし、結露やカビ予防のためにも、感染症対策のためにも、新鮮な空気を定期的に取り入れるとよいでしょう」
NG行動02| 給気口をテープや家具で塞ぐ。部屋が呼吸できていないかも

24時間換気のスイッチを入れているのに、結露やカビが発生してしまう──そんな部屋は、外気を室内に取り込む給気口が塞がっているかもしれません。塞がると空気の流れが悪くなり、部屋に湿気がこもります。「虫が入ってくるのでは」と心配して給気口をテープで塞いでしまう人もいますが、給気口と外の換気口の間にはフィルターが設置されているため、あまり心配はいりません。ただし、フィルターが破れていると虫が入ってくるおそれがあるので、定期的に確認を。
給気口の前に家具を置くのも避けてください。空気の出入り口が塞がるだけでなく、フィルターの掃除がしづらくなります。家具を設置するときは、給気口が掃除できるだけのスペースを必ず確保しましょう。

「給気口のフィルターを掃除できること自体、ご存じない方も多いようです。私自身、退去時に真っ黒になっているお部屋に伺うことはよくあります。汚れがひどいと空気がスムーズに流れないので、できれば月に1回はお掃除を。消耗していたり破れていたりする場合は交換してください」
部屋に生えたカビを退去時まで放っておくと、ゴムパッキンで1つ5,000円程度、壁紙で1面あたり1万円程度の追加クリーニング代がかかってしまいます。カビを発見したときは放置せず、塩素系のカビ掃除専用スプレーを吹きかけ、しばらく時間をおいてから雑巾などで拭き取りましょう。壁紙をゴシゴシこすると破れてしまうことがあるので、ブラシなどを使うのは避けてください。カビは「発生させないこと」「放置しないこと」が大切。部屋の換気といった基本的な対策をすれば防げるので、湿気を溜めない生活を意識してみてくださいね。
「湿気関連のご相談は、1つの営業所につき平均で月10~20件ほどいただきます。特に件数が多いのは、梅雨の時期と、屋外と屋内の寒暖差が大きい冬。梅雨は雨漏りかと思ったら結露が原因だったというケースも多く、気温が上がるのでカビのご相談も急増します」