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【ゴルフライターが徹底分析】0勝→4勝、佐久間朱莉さんが“年間女王”になれた理由

2025.12.22
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【ゴルフライターが徹底分析】0勝→4勝、佐久間朱莉さんが“年間女王”になれた理由

PROFILE

大川 喬司

大川 喬司 ライター

ゴルフ専門メディアで編集長を務めるなどゴルフ界に精通する編集者。現在は執筆活動の傍ら、ウェブ制作やSNS運用などを行う制作会社ワーズアンドレターズ株式会社の代表を務める。

2025年シーズン4勝を挙げるなど圧倒的な強さで年間女王に輝いた、大東建託所属のプロゴルファー・佐久間朱莉さん。昨シーズンまで何度もトップ10入りを果たしながら、初優勝にあと1歩届かなかった彼女は、いかにして今季ブレイクを果たしたのでしょうか? ゴルフ専門メディアで編集長経験のあるライター・大川喬司さんに、技術面とメンタル面から飛躍のワケを分析してもらいました。

ゴルフにおける「年間女王」とは?

女子ツアーでは成績に応じて「賞金」と「ポイント」が与えられますが、賞金額は大会ごとに差がある一方、ポイントは試合の形式ごとに一定です。賞金だけで順位を決めると偏りが生じるため、女子ツアーでは年間を通じて安定した成績を評価できるポイントランクで競います。その年間1位が「年間女王」となります。

ゴルフにおける「年間女王」とは?

【技術面】総合力で魅せる、佐久間朱莉さんのプレー

【技術面】総合力で魅せる、佐久間朱莉さんのプレー

佐久間さんが2025年度JLPGA※ツアーの年間女王に輝きました。シーズン4勝を挙げ、年間獲得賞金は2億円を大きく超える圧倒的成績。クイーンの名にふさわしい活躍を見せた佐久間さんでしたが、今シーズンが始まったときには、いまだツアー未勝利でした。彼女はどのようにツアーの頂点へと上り詰めたのでしょうか? 佐久間さんの1年間の戦いを振り返ってみたいと思います。

昨季は未勝利ながら、年間のポイントランクは一桁台となる8位だった佐久間さん。「いつ勝ってもおかしくない」「最強の未勝利選手」と言われていたのが、今シーズンを迎えるにあたっての評価でした。そんな彼女がうれしいツアー初優勝を挙げたのが、ツアー第6戦「KKT杯バンテリンレディスオープン」でした。2021年から5年連続でツアー初優勝者を輩出しているという“スターへの登竜門”とも呼ばれるこの試合を、出場選手中唯一の二桁アンダーとなる11アンダーで制覇して見せたのです。

それまで2位になること4回。トップ10に入ること27回。アマチュア出場を含むと通算130試合目での初優勝。しかし、佐久間さんはこの勝利をあくまでも通過点と捉えます。「一つ勝てば、二つ勝ちたくなります。もっと強くなりたい」と目線をすぐに2勝目へと切り替える姿はとても印象的でした。

「一つ勝てば、二つ勝ちたくなります。もっと強くなりたい」と目線をすぐに2勝目へと切り替える姿はとても印象的でした。

プロゴルフの世界では、ときに2勝目は初優勝以上に難しいともいわれます。無我夢中でつかめる初優勝とは異なり、「一度勝っているんだから、また勝てるはずなのに、勝てない」というギャップに苦しむ選手が多くいるのです。

佐久間さんはこのハードルをやすやすと超えていきました。初優勝後、10位タイ、11位タイ、6位タイと安定した成績を残し続けると、初優勝からわずか5週間後の「ブリヂストンレディスオープン」でツアー2勝目。さらにその翌月「アース・モンダミンカップ」で3勝目と勝ち星を挙げ、最終的にはシーズン4勝を積み重ねたのです。

一般社団法人日本女子プロゴルフ協会

データで見る佐久間さんの強さ

佐久間さんの強さを支えたのが、その確かな技術力です。彼女の部門別データを見ると、主要部門でことごとく上位を占めていることが分かります。

記録ランク
平均パット数(パーオンホール)4位
パーセーブ率2位
平均バーディー数1位
トータルドライビング8位
リカバリー率4位
サンドセーブ率4位
パーブレーク率2位
バウンスバック率2位
バーディー数1位
60台のラウンド数1位
参照元:JLPGA「年度別記録(2025)」

平均飛距離を示す「ドライビングディスタンス」も10位と上位で、一言で表すと「どこにも穴がないオールラウンドプレーヤー」であることが分かります。強いていえば「フェアウェイキープ率」は56位とツアー中位ですが、ショット力を総合的に評価する指標である「ボールストライキング」は8位、「パーオン率」も13位とツアー上位につけています。

正確なショットでグリーンをヒットし、巧みなパットでバーディを奪う。仮にグリーンを外しても高いリカバリー率とサンドセーブ率が示すように、小技でしのいでスコアを崩さない。野球でいえば“ホームラン王”や“盗塁王”といった何かに特化した成績ではなく、オールラウンドに活躍し、トリプルスリーを達成するような成績と表すとイメージが湧くでしょうか。圧倒的な強さが、データからも見えてきます。

【メンタル面】強さの源は、圧倒的な集中力と“楽しむ力”

【メンタル面】強さの源は、圧倒的な集中力と“楽しむ力”

佐久間さんの強さは、技術だけに理由があるわけではありません。そのメンタルも強さを支えています。

「優勝を争っているというよりも自分のプレーに集中しただけです。全く焦りがなかった」

これは、2勝目を挙げた「ブリヂストンレディスオープン」での佐久間さんの発言です。1勝目より難しいとされる2勝目を成し遂げてしまうその強さの背景には、自分のプレーに集中し切るメンタルの強さが挙げられます。プロならば、優勝争いに身を置けば誰もがライバルのスコアが気になるものです。なかにはあえてリーダーボードを見ないという選手もいるほどで、それだけ最終日に自分のプレーにフォーカスするのは簡単ではありません。

そんななか、2勝目がかかる最終日の佐久間さんは「最後までプレーが楽しかった」と回想しています。優勝争いの極度の緊張感を集中力に変えて、自らのプレーを楽しむことができる。このメンタルが、佐久間さんの強さを支えています。

「1勝すれば私は変わります」

そう繰り返し語っていた佐久間さん。ジュニア時代から圧倒的な強さを見せていたからこそ、プロ入り後の勝てない時期には人一倍苦しんだはずです。“未勝利”という呪縛から解き放たれた今シーズンの強さこそ、彼女の本来の強さだといっていいでしょう。

師匠・ジャンボ尾崎さんがかけた言葉

佐久間さんは“ジャンボ”こと尾崎将司プロの門下生。初優勝後も真っ先に尾崎さんの自宅兼練習場である“ジャンボ邸”へ報告に行ったといいます。そこでジャンボさんがかけたのは「(山下美夢有プロ、竹田麗央プロ、岩井千怜プロ、岩井明愛プロといった)上位陣がみんなアメリカに行っているから勝って当たり前だ」という言葉だったそう。

そのような温かくも厳しい言葉も、尾崎さん流の“勝者のメンタル”の伝え方だったのかもしれません。

ジャンボ邸でともに切磋琢磨した1歳年上の西郷真央プロは、今季海外メジャーを制しています。世界プロツアー最多記録の113勝を挙げた尾崎さんから継承された勝者のメンタル。そして、身近にいる存在がワールドクラスで活躍していること——そういった要素も、佐久間さんの強い心を支えているのではないでしょうか。

「去年までは人の結果ばかりを気にしていた」という佐久間さん。他人と比べる思考をシーズン前にやめ、自分にフォーカスする思考へと切り替えたことが、今シーズンの大躍進へとつながっています。

「去年までは人の結果ばかりを気にしていた」という佐久間さん。他人と比べる思考をシーズン前にやめ、自分にフォーカスする思考へと切り替えたことが、今シーズンの大躍進へとつながっています。

ゴルフというスポーツは、ときに「メンタルのスポーツ」とも呼ばれます。優勝争いを繰り広げている選手が突然、信じられないようなミスをしてしまう。そして、一つのミスをきっかけにずるずるとスコアを落としてしまう。そのようなシーンは決して珍しくありません。しかし、今年の佐久間さんは、そのような“自滅”と無縁のシーズンを過ごした印象を強く受けます。

自分の心(=メンタル)を自分の支配下におき、しっかりとコントロールできた。そのことで、本来持っているゴルフの実力が花開いた。佐久間さんにとって、そんな1年だったのではないでしょうか。

そして未来へ。佐久間さんの2026年シーズンを占う

国内ツアーで圧倒的な強さを見えた2025年シーズンの佐久間さん。来年以降、彼女はどのような活躍を見せてくれるのでしょうか? それを占ううえでは、日本から海外へと目線を移動させる必要があります。

実は、2025年シーズンには2023年と2024年シーズンの年間女王は参戦していません。2022年、2023年と連続で年間女王になった山下美夢有さん、2024年に圧倒的な強さで年間女王を獲得した竹田麗央さんは、二人揃って戦いの場をアメリカに移し、山下さんはメジャーを含む2勝、竹田さんも1勝挙げるなど、目を見張るような活躍を見せたのです。

来季も国内でのプレーを明言している佐久間さんですが、日本の年間女王が海外でも十二分に通用することは、山下さん、竹田さんらの活躍によって証明されています。勝てば米女子ツアー出場権が得られる「TOTOジャパンクラシック」の最終日が降雨で中止にならず、もし佐久間さんが勝利を収めていたら、どんな決断をしただろうか——佐久間さんの今季の強さを見ると、ついそんなタラレバを思い浮かべてしまいます。

佐久間さんの今季の強さを見ると、ついそんなタラレバを思い浮かべてしまいます。

今年国内で圧倒的強さを見せた佐久間さんが、来季も国内でその強さを示し続けた場合、その先には海の向こうへ渡るという可能性もあるかもしれません。そしてそれは、ゴルフファンにとっても大きな楽しみになるのは間違いないでしょう。

技術とメンタルががっちりと噛み合い、圧倒的な強さを見せた佐久間さんの2025年シーズン。彼女の2026年シーズンが今年以上に楽しみで仕方ないのは、きっと私だけではないはずです。

佐久間朱莉さんからのコメント

佐久間朱莉さんからのコメント 佐久間

「このような記事を制作いただき、ありがとうございます! 自分なりに今シーズンを分析すると、やはり“初優勝できたこと”が大きなターニングポイントだったと感じています。勝ったことで自信になりましたし、“勝ち方”をつかめたことも大きかった。1勝してからは、肩の力を抜いてプレーできるようになりました。もちろん、技術面でも成長できたと思いますが、特にメンタル面の強度が増したことが、結果につながったと実感しています。

そして、年間女王という形でシーズンを終えたいま、ファンのみなさんへの感謝の気持ちでいっぱいです。みなさんの応援あってこその結果です。来年はまず“メジャー制覇”をしたいと思っているので、その目標に向けてオフシーズンも全力で準備していきます。引き続き応援していただけたら、とてもうれしいです!」

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