
PROFILE この記事の登場人物

山下 保彦 技術監理部 設計監理課/一級建築士(大東建託)
1988年に設計部へ入社。1990年に名古屋支店へ異動、その後名古屋南支店、岐阜支店、名古屋支店、名古屋北支店、一宮支店、名古屋設計センターを経て、2022年から技術監理部に所属。現在は、設計監理課にて法適合確認の業務に従事している。

高橋 和也 技術監理部 設計監理課/一級建築士(大東建託)
2010年に学卒で入社。川崎支店、国分寺支店、杉並支店、世田谷支店、八王子支店を経て、2022年から技術監理部に所属。現在は、設計監理課にて法適合確認の業務に従事している。
新しく家を建てたり、リフォームをしたりする場合には、建築のルールについて定めた「建築基準法」を理解しておくことが大切です。建築基準法には、建物の構造や設備はもちろん、敷地や用途などのさまざまな項目があります。
この記事では、建築基準法の基本的な内容や主な項目、違反してしまった場合のペナルティについて解説していきます。
建築基準法とは? どんな法律なのか概要を解説

建築基準法とは、建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定めた法律のことです。国民の生命や健康、財産の保護を目的としています。
国内で住宅やマンション、アパートなどの建築物を建てるときには、建築基準法で定められているルールに従うことが原則です。例えば、その土地にどのような用途でどれくらいの規模の建築物が建てられるかなどは、建築基準法によって決められています。また、着工前の建築確認や着工後の中間検査、完了検査なども建築基準法に基づいて行われます。
このように、建築基準法には建築に関するさまざまな項目がありますが、大きく分けると、「単体規定」と「集団規定」の2つの規定から成り立っています。
・単体規定…個々の建築物に関する規定(安全性、耐震性、耐久性 など)
・集団規定…建築物自体ではなく、都市全体の安全性を高めるための規定(敷地と道路に関する基準、建ぺい率、容積率、高さ制限、防火地域 など)
建築基準法は、都市計画法や消防法、バリアフリー法など、多くの法律とも密接に関わっています。1950年に公布されて以降は、耐震基準の大幅な見直しや建物の安全性強化など、法改正が何度も行われており、法律の内容も多様化してきているのです。
- 建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し(4号特例の見直し)
- 階高の高い木造建築物等の増加を踏まえた構造安全性の検証法の合理化
- 中大規模建築物の木造化を促進する防火規定の合理化
- 部分的な木造化を促進する防火規定の合理化
- 既存建築ストックの省エネ化と併せて推進する集団規定の合理化
- 既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化
6つのうち最も注目すべきなのが、1の4号特例の見直しです。2025年4月より、4号建築物(2階建て以下で延べ面積500㎡以下の木造建築物または木造以外の平屋で延べ面積200㎡未満の建築物)は、「新2号建築物」と「新3号建築物」に再編成されることになりました。
これまでは、4号建築物は建築士が設計・工事監理を行った場合には審査省略の対象でしたが、改正後は一部を除き、構造規定の審査が必要になります。また、木造建築物の構造規定や防火規定の合理化が含まれ、木材利用の促進を図っている点も今回の法改正のポイントといえるでしょう。
家を建てる際に建築基準法はどう関わってくる?

新しく家を建てるケースやリフォームするケースでは、建築基準法の基本的な概要について知っておいたほうがいいでしょう。賃貸住宅の場合は、アパートやマンションのオーナーも建築基準法のルールを守って適切な建築・管理をすることが求められます。たとえ自分の土地であっても、自由に好きな建物を建てられるわけではなく、さまざまな制約が存在します。ここからは、建物を建てる際に関わりの深い建築基準法の主な項目について解説していきます。
建物の用途が制限されている「用途地域」
建築基準法には、「用途地域規制」があります。用途地域とは、建物の用途に制限がある地域のことで、都市計画法に基づき、建築物の用途や建て方のルールが定められています。用途地域は全ての土地ではなく、主に都市部など、都市計画法によって「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」に指定されたエリアのみとなります。
用途地域は全部で13種類あり、大きく分けると「住居系」「商業系」「工業系」に分類されます。例えば、「低層住宅のための地域」「商業施設やマンションなどが建てられる地域」「工場のみで住宅は立てられない」など、用途の混在を防ぐ目的があるのです。家を建てる地域が用途地域かどうかは、自治体のHPなどで事前に確認する必要があります。
建築面積や延床面積、高さが決められている「建ぺい率、容積率、高さ制限」
土地に建てられる住宅の面積や規模も、建築基準法によって定められています。特に土地を購入する場合や、注文住宅を建てる場合には、「建ぺい率」「容積率」「高さ制限」の3つをあらかじめ把握しておくことが重要です。
- 建ぺい率…敷地面積に対する建築面積の割合
- 容積率…敷地面積に対する延べ床面積の割合
- 高さ制限(日影規制・斜線制限・絶対高さ制限)…建築物の高さを制限するもの
建物の日当たり確保や景観保持、人口の密集を防ぐ目的などにより、それぞれの土地には建ぺい率や容積率、高さ制限などが設けられています。具体的な数値や条件は、地域によって異なります。
決められた幅で道路に接しなくてはならない「接道義務」
建築基準法における接道義務とは、都市計画区域内で建物を建てる場合、「敷地が幅員4m以上ある道路に2m以上接していなければならない」というものです。この規定は、災害時に避難がスムーズに行えることや、日照、採光、通風によって住環境を良好に保つことを目的としています。
接道義務の条件を満たしていない敷地では建築確認が下りないため、家の建て替えやリフォームが行えない可能性があります。
居室など家屋内の決まり
建築基準法では、居室の採光や換気、衛生上の措置についても決まりがあります。例えば、「居室には採光のための窓や開口部を設けること」「換気のための窓または開口部の面積は床面積の20分の1以上としなければならない」(建築基準法第28条)など、細かく規定されているのです。
他にも、「窓のない居室は主要構造部を耐火構造または不燃材料でつくる」「建築材料の品質は安全上、防火上または衛生上必要な品質基準を満たしていること」などの規定があります。
地震対策の「耐震基準」
日本は地震が多い国であることから、建築基準法における耐震基準も法改正が繰り返されています。建築基準法が全ての建物に対して求めている最低基準は「極めて稀に(数百年に一回)発生する地震による力に対し、建物が倒壊、崩壊等しない程度(等級1)」です。等級1で想定される地震の強さは、震度6強から7程度で、関東大震災や阪神淡路大震災で観測された揺れに相当します。
耐震等級は1から3まであり、等級2は等級1で耐えられる地震力の1.25倍、等級3は1.5倍の力に対し、倒壊や崩壊がしない程度とされています。
火災が広がりにくくするための「防火地域・準防火地域」
都市計画法で定められている防火地域・準防火地域とは、市街地における火災の発生および拡大を防ぐエリアのことです。この地域で家を建てる場合は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの耐火建築物にすることを求められる場合があります。
防火地域では、防火設備を設置したり、燃えにくい建築材を選んだりする必要があるため、建築の際のコストが高くなる傾向にあります。防火地域よりも準防火地域のほうが、規制内容がやや緩和されますが、どちらも延焼の拡大等の火災発生時のリスクが大きいという点に留意する必要があるでしょう。
家を建てるときだけでなく、賃貸を借りる際にも関わってくることも
家を建てるときだけでなく、賃貸を借りる際にも建築基準法を確認した上で借りた方が安全でしょう。例えば、築年数が古い物件を借りる際は、築年数から逆算して物件の耐震基準について調べてみることをおすすめします。1981年6月1日以降に建てられた物件であれば、「新耐震基準」を満たしており、震度6~7の地震でも倒壊の可能性は低いと判断できます。それ以前に建てられた物件の場合は、旧耐震基準に該当するため、災害時のリスクが高く、注意が必要です。
建築基準法に違反するとどんなペナルティがある?

建築基準法に違反すると、具体的にどのような事態になるのでしょうか。ここでは、違反した場合のペナルティや、違反するケースの具体例について解説します。
罰則や是正措置が科せられる
建築基準法に違反すると、対象者には罰則や是正措置が科せられる可能性があります。例えば、法に違反しているのにもかかわらず建築を行った場合、特定行政庁から工事の停止や是正措置命令がされたり、懲役や罰金などの刑事罰が科せられたりすることもあるのです。罰則の対象となるのは設計者や施工者、建築主などですが、建築士は免許取り消しや業務停止など、法改正によって罰則の内容が強化されています。
建築基準法違反の具体例
建築基準法に違反するケースとして、以下の例が挙げられます。
- 増築や改築の際に建ぺい率や容積率がオーバーしてしまった
- 当初の計画とは違う間取りにした結果、採光基準を満たせなくなっていた
- 建築確認を行わずに工事を行った
- 建て替えの際に接道義務の条件を満たさないまま工事を行った
- 耐震基準や防火性能を満たしていない建物を建てた
- 用途地域で制限を超える条件の住宅を建てた、など
建築基準法に違反しないためには、事前に敷地条件を確認し、設計者や施工業者、自治体などにも相談しながら進めていくことが重要です。建築した時点では法に違反していなくても、法改正によって条件が満たされなくなるケースもあるでしょう。その場合は、大がかりな工事などを行う際に、現行の法的基準に合わせる必要が出てきます。
【まとめ】建築基準法の基礎知識を知って、理想のマイホームを建てよう!
建築基準法は、国民の健康や財産を守るために、建築物に関する最低限の基準を定めたものです。建物そのものに関する規定(単体規定)と、周辺環境との調和を図るための規定(集団規定)から成り立っています。建築基準法の基本的な知識についてあらかじめ知っておくと、土地選びや家づくりにも役立てられるでしょう。法改正により、家を建てるタイミングによって条件が変化していますので、専門家に相談しながら家づくりを進めていくことが重要です。



















