
PROFILE この記事の登場人物

駒形 悠貴 横浜青葉支店 設計課長(大東建託)
2010年4月1日、学卒23期生として大東建託に入社。 立川支店に配属された後、 豊川、岡崎、 沼津支店を経験し、2018年に設計部へ異動。 本社歴7年 (内、商品開発部2年間) を経て、2025年4月より横浜支店へ異動。 12月より横浜青葉支店に着任。

泉川 仁史 商品開発部 商品開発課(大東建託)
2019年9月、大東建託に入社、商品開発部に配属。入社後は長期優良住宅の認定基準に対応した「シエル」シリーズ「シエルパティオ」や防災配慮型賃貸住宅「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」の商品開発を担当する。その他、障がい者グループホーム「パートナーガーデン」や2×4造木造耐火「リベルテ フロー」に携わる。商品開発歴6年。
相次ぐ地震や水害などの自然災害。私たちの暮らしにとって、もしもの備えは今や欠かせないものになってきています。賃貸住宅を選ぶ際も、単なる利便性や内装だけではなく「もしものときに備えられるか」という視点を大切にする人も増えてきました。
そこで大東建託が取り組んでいるのが、防災と暮らしに着目したプロジェクト「防災&暮らし研究室『ぼ・く・ラボ』」。このプロジェクトでは、日常を豊かに楽しみながら災害に備える「フェーズフリー」の考え方を取り入れた賃貸住宅の開発を進めています。
今回は、そんな防災配慮型賃貸物件の第4弾である「ぼ・く・ラボ賃貸FEEL(フィール)」の内覧会へ。設計・開発担当者に物件の特徴やこだわりを伺いながら、豊かな暮らしと防災をどのように支えているのかを徹底レポートします。
安心と快適を叶える。防災を日常に溶け込ませた、暮らしに息づく工夫とは?
快適に暮らしながら災害に備える「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」。この物件が追求したのは、日常の延長で自然に備えられる「フェーズフリー」な暮らし。まずは、この物件がどのように防災と快適な日常を両立しているのか、実際に内覧しながらチェックしていきます。
生活のしやすさと避難しやすさを両立する間取り
2階リビングの内覧(「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」HPより)最初に注目したいのが、住まいの設計や間取り。日常の暮らしやすさと、災害時の避難のしやすさ。その両立を図る工夫が、随所に取り入れられています。
「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」の間取り図
泉川「加えて、水回りを集中させて家事動線を短縮したり、子ども部屋をリビング経由にしたりと、日々の暮らしやすさも重要視していますね」
暮らしを快適にする「備える収納」のこだわり
実際に物件に入ってとりわけ目を引くのが、収納の多さと機能性。自社の一般的な賃貸物件と比べ、約2倍もの広さの収納面積を確保しています。豊かな収納スペースと日常から便利に使える工夫を随所に取り入れることで、安心感と機能性を両立した暮らしを提供してくれます。
防災グッズも普段の荷物も、玄関スペースにひとまとめ
玄関横に設けられている収納スペース
泉川「まず大切にしたのは、スッキリと快適に暮らせること。家の中が整っていれば、万が一の時もスムーズに避難できます。加えて、賃貸住宅では防災グッズの置き場所に悩む方も多いため、十分な収納スペースを確保しました。特に玄関は、ベビーカーや日用品が重なり、動線を妨げがちな場所です。物があふれて避難がしづらくならないよう、ゆとりを持たせて設計しています」
大容量×コンセント付きの収納で充電しながら備えられる

コンセントが付いた大容量の収納スペース
泉川「収納には全てコンセントが付いており、スティック掃除機や電動自転車、ポータブル電源などを充電しながらしまうことができます。日常の利便性はもちろん、災害時の備えという観点でもこだわったポイントです」
パントリー収納は「ローリングストック」を意識

キッチン横のパントリー収納
駒形「キッチンのパントリー収納は、日常的に消費しながら買い足す『ローリングストック』の拠点として使いやすいよう、あえて奥行きを浅めに設計しました。どこに・何が・どれくらいあるかを一目で把握できるので、在庫管理もしやすいんです」
太陽光発電と「非常用USBコンセント」による安心感
「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」では、停電時への備えとして、太陽光パネルや蓄電池を設置できるプランも用意されています。その中で注目したいのが「非常用USBコンセント」。停電時でも、太陽光パネルで発電した電気や蓄電池内の電気(DK-ZEHαの場合)を供給して、スマートフォンやラジオの充電ができます。
上:太陽光発電用コンセント 下:蓄電池接続用コンセント
泉川「非常用コンセントは、災害時に家族が集まることを想定してリビングの中心部に設置しました。情報収集の生命線であるスマートフォンの充電など、最低限のインフラを少しでも長く維持できます。
あえて一般的なACコンセントではなくUSB端子にした理由は、集合住宅ならではの知恵。ACコンセントの場合、災害時に多くの入居者が一斉に負荷の大きい家電を使用すると、ブレーカーが落ちてしまうんです。USB端子であれば、消費する電力が少ないので負荷が掛かりにくく、蓄電池の過剰消耗を防止できるのがメリットですね」
壁やフローリングにも、日常生活の豊かな暮らしを支える一工夫が
壁紙やフローリングはお手入れがしやすい仕様に
泉川「『ぼ・く・ラボ賃貸フィール』はペット可の物件なので、壁紙を部分的に張り替えしやすい腰見切りの壁や、ペット対応の床材、アプローチのペット用足洗い場など、大切な家族であるペットと共生するための設備も充実させています」
洋室に設置されているフック
駒形「壁のフックも好評です。重さにしっかり耐えられる頑丈な設計で、取り外しも可能です。かばんや帽子を掛けたり、絵を飾ったりとさまざまな用途で使えます」
天井を取った、トイレ上部の棚
泉川「他にも、トイレには天井がない棚を設置し、通常より多くのトイレットペーパーを収納できるようにするなど、細部にまで配慮しています」
洗濯機の上だけではなく、浴室の横にも収納が
泉川「洗面所には、一時的に洗濯物を干すことができるスペースも設置しています。細かい部分ですが、こうした一つひとつのこだわりが、住んだ後の快適さとして実感いただけるのではないでしょうか」
泉川「『ぼ・く・ラボ賃貸フィール』では、他にも揺れを感知して電気を遮断し通電火災を防ぐ『感震ブレーカー付き分電盤』や、浸水リスクに備えて室外機を高位置に設置する『高位置設置ブラケット』、さらに地震から配管の破損を守る『フレキシブル継手配管』なども導入しています。これらはオプションとして選べるので、立地に応じたカスタマイズが可能なのも特徴です」

最高等級の安心を標準に。いつもの暮らしを守り抜くための設計ポイント
「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」は、室内の工夫だけではなく、住まいの根幹を支える住宅性能の高さも大きな特長です。なかでも、安心・快適な暮らしを支える大切な要素である3つのポイントについて伺いました。

泉川「本物件のテーマは『在宅避難』。コロナ禍を経て、避難所ではなく負担の少ない自宅などで安全を確保する『分散避難』の重要性が高まりました。特に小さなお子さまがいるご家庭やペットを飼われている場合、避難所へ行くよりも住み慣れた自宅で避難したいと希望する方が多くいらっしゃいます。そうした方々が、妥協することなく、賃貸でも戸建てに住んでいるような安心感を得られることを目指しました」
POINT01. 災害時の在宅避難を支える、国内最高基準の「耐震性」
地震に対する構造躯体(建物を支える骨組み)の倒壊・崩壊・損傷のし難さは、「耐震等級」という指標において3段階で評価されます。その中で、「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」は、基本性能として「耐震等級3」に対応しています。
駒形「一般的な住宅の標準水準である等級1(建築基準法レベル)に比べ、等級3の本物件はその1.5倍の力に耐えうる高耐震性を確保しているため、数百年に一度クラスの大地震でも倒壊しにくいのが特長です。地震から命を守ることはもちろん、地震の後も『そのまま住み続けられること』に徹底的にこだわりました」
POINT02. ZEH Orientedがもたらす「断熱性」と「省エネ性能」
「ZEH Oriented(ゼッチ・オリエンテッド)」とは、建物の断熱や省エネ設備で使うエネルギーを減らし、基準一次エネルギーから20%以上削減した水準のこと。「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」では、建物の高断熱化や省エネ設備を導入することで、この水準を満たしています。
夏は涼しく、冬は暖かい「Low-E複層ガラス」
駒形「例えば『Low-E複層ガラス』などを取り入れ、家の中で最も熱が逃げやすい開口部の断熱性を強化しています。室内の温度を長く保てるため、日常の生活では夏の熱中症対策・冬のヒートショックを予防し、光熱費の節約効果にもつながります。また、災害時に停電でエアコンが止まっても、外気の影響を最小限に抑えてくれます」
POINT03. “壊れない”の一歩先を行く「耐久性」と「災害への配慮」
建物の劣化に対する高い「耐久性」も、「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」の特徴。3世代(約70〜90年)の間は大規模な修繕工事が不要な「劣化対策等級3」と同等の仕様を採用しています。
駒形「この物件の耐久性は国が定めた「長期優良住宅認定基準」も満たしています。これは、これまでの『住宅は古くなったら壊して建て替える』というスタイルを覆すものです。住宅の寿命を伸ばし、解体による環境負担を減らし、長期に渡って資産価値を保ちながら、安心して住める住宅の普及を目指しています」
豊かな“いつも”が“もしも”の備えに? 「防災×暮らし」のために大切にしていること
大東建託は、「環境への配慮」「地震の多い日本でも安心できる住まい」「自分らしい暮らし」の実現を目指しています。最後に、大東建託が大切にしている住まいづくりの考え方と、今後の取り組みについて聞きました。
大東建託 商品開発部 泉川仁史(いずみかわ・ひとし)
泉川「大東建託が取り組む防災と暮らしの研究室『ぼ・く・ラボ』プロジェクトの第4弾として挑んだのは、防災のある暮らしをより『一般化し、普及させる』こと。防災だけに偏りすぎるのではなく、住む方のニーズに合わせて便利な機能も盛り込みつつ、暮らしと防災のバランスが取れた高水準の住みやすさを目指しました」
大東建託 設計課長 駒形悠貴(こまがた・ゆうき)
駒形「普通に生活しているだけなのに、気が付けばちゃんと備えられていた。そんな実感を持ちながら、日々の心地よさを感じてもらえたらうれしいですね」
泉川「防災のある暮らしの未来を思い描くとしたら、AIやセンサー技術の活用は重要になってくると思います。例えば、スマートフォンの防災情報と家全体を連携させて早めに災害を予知するなど、デジタルと住宅の融合により、住まいでの被害をより小さく抑えられるよう取り組んでいきたいです」
「ぼ・く・ラボ賃貸フィール」が目指すのは、防災が特別なことではなく、住まいの「当たり前」となる未来です。住む人の“いつも”を豊かにし、それがそのまま“もしも”の支えとなる。大東建託は、そんな新しい賃貸住宅の在り方を届けていきます。





















「間取りは、通路を屈折させない『真っすぐな動線』を意識しました。災害時の暗闇や混乱の中でもスムーズな避難をサポートすることができます」