PROFILE この記事の登場人物

出相 貴士 総務部 防災管理課 課長/防災士(大東建託)
2004年入社。入社岩国支店(閉鎖)から7支店の勤務を経て、2026年4月から防災管理課に所属。各地で、直接お客さまと関わる業務を行う中、間接的に2014年8月の広島県広島市北部豪雨災害を経験、自然災害の脅威を目の当たりにする。2020年7月の熊本豪雨の復興にボランティアとして参加。会社の防災拠点として、福岡支店を「ぼくラボステーション」とし、備蓄品管理や地域イベントに参加。福岡市との防災協定締結にも参画した。
大東建託グループは、「地域の“もしも”に寄り添う」という防災理念のもと、さまざまな防災への取り組みを推進しています。災害時にお家でできる実践的な防災知識や方法を全11回に分けてご紹介。
今回は、いざというときに愛犬・愛猫と災害を安全に乗り切るための「ペット防災」についてご紹介します。
ペットとの同行避難で想定される「困りごと」
近年、地震や豪雨などの自然災害が頻発するなか、ペットを連れての「同行避難」が推奨されるようになっています。しかし、避難所という特殊な環境下で、愛犬・愛猫を守り抜くためには、飼い主として事前の準備が欠かせません。大切な家族であるペットの命を守れるのは飼い主だけという自覚と責任を持つことが重要です。そのうえで、マンションやアパートなどの集合住宅にお住まいの場合は、「ペットと一緒に避難所へ行くのか」、「自宅に留まるのか(在宅避難)」の判断も求められます。
同行避難が原則となりつつある一方で、ペットを連れての避難には特有の困りごとが伴います。
| 項目 | リスク |
|---|---|
| 物資の不足 | 避難所に届く支援物資は人間用が優先され、ペットフードの入手は極めて困難 |
| 周囲への配慮とトラブル | 避難所には動物アレルギーの人や、動物が苦手な人もいるため、ペットの鳴き声やニオイが原因でトラブルになり、車中泊や屋外避難を余儀なくされるケースも想定される |
| ペットの極度のストレス | 環境の変化に敏感な犬や猫は、慣れない避難生活に適応できず、食欲不振や体調を崩しやすくなる |
| 迷子・所有者不明 | 首輪が外れたり、パニックになって逃げ出したりした場合、飼い主情報がなければ再会が難しい |
日頃からの「ペット防災」で備える
ペットと安全に避難し、避難生活を乗り切るためには「ペット用備蓄品の準備」「ペットカードによる情報整理」「避難生活でのストレスケア」といった事前の準備が不可欠です。
① ペット用備蓄品の準備
基本的に災害時は人命救助が優先されるため、ペット用の救援物資が届くには時間がかかります。だからこそ、飼い主自身が責任を持ってペット用の備蓄品を揃えておくことが大切です。その際、最低でも5日分、できれば7日分以上のペットフードと飲料水を備蓄しましょう。

- 食べ慣れたペットフードや飲料水
- 歯磨き用ガム、猫砂、ペットシート、ビニール袋、消臭グッズなどの衛生用品
- リードや首輪の予備
- ストレス軽減に役立つお気に入りのおもちゃ
- 処方薬やサプリなどの常備薬
動画でも紹介しています
② ペットカードによる情報整理
ペットカードは、災害時や緊急時に飼い主が不在や動けない状況でも、周囲の人がペットの情報を把握し、適切に保護できるようにするためのものです。あらかじめペットカードを作成しておくことで、避難所で万が一飼い主とはぐれてしまった場合の早期発見・保護につながります。
以下の情報をまとめ、飼い主の防災リュックや財布、キャリーケースに常備しておくといいでしょう。
- ペットの写真、氏名、種類、体重、健康状態
- 性格の特徴(人や他の犬猫が苦手など)
- ワクチン接種歴、既往歴、避妊去勢の有無
- かかりつけ医や飼い主の緊急連絡先
③ 避難生活でのストレスケア
避難生活では、ペットも飼い主も慣れない環境で大きなストレスを感じます。特に他のペットや避難者とのトラブルを避けるため、無駄吠えや排泄のマナーには注意が必要です。最大のストレスケアは、日頃からの「しつけ」です。特に、ケージの中で大人しく過ごせる「クレートトレーニング」を行うなど、普段から環境変化に対応できるようにしておくことで、ペットの負担を減らすことができます。また避難時には、お気に入りのおもちゃや毛布、使い慣れたトイレ砂を持参することで、安心感を与えることができます。そのほか、避難所では普段と同じルーティンを保ち、積極的にスキンシップをとったり、飼い主がそばにいる時間をできるだけ確保したりすることも大事になります。

過去の震災で起きた事例
過去の震災では、ペットとの避難にまつわる多くの課題が浮き彫りとなりました。東日本大震災では首輪や迷子札がなく飼い主と離ればなれになった事例や、自宅に置き去りにされたペットの命が失われたケースが相次ぎました。2016年の熊本地震では避難所でのペットの鳴き声がトラブルとなり、車中泊を選んだ飼い主がエコノミークラス症候群を発症するケースや、ペットが熱中症やストレスで体調を崩す二次被害が発生しました。

こうした教訓から、現在は「同行避難」の重要性とともに、飼い主自身の自助努力による事前の備えが強く求められています。





















