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建設業界=3Kはもう古い。大和ハウス工業・西松建設・大東建託の人事が語る、令和の働き方の現在地

2026.07.21
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建設業界=3Kはもう古い。大和ハウス工業・西松建設・大東建託の人事が語る、令和の働き方の現在地

PROFILE

上田 あきは

上田 あきは 経営戦略本部 人事部長(大和ハウス工業)

大和ハウス工業株式会社に2000年入社。神戸支店にて、土地オーナーや企業の課題を踏まえ、収益性・将来性を見据えた土地活用を提案するコンサルティング営業に従事。2007年より人事部にて女性活躍推進を担当し、営業・施工管理職における定着・活躍施策を体系的に整備し、女性比率向上と活躍基盤の構築に取り組む。2017年から経営企画部、2019年から技術本部にて建設DXを主導し、デジタル化による業務プロセスの可視化・効率化を推進。2025年より現職にて、事業戦略と連動した人的資本経営を主導。

野ツ俣 克彦

野ツ俣 克彦 人財戦略室 人財企画部長(西松建設)

1999年に西松建設に土木職として入社。土木現場施工管理を中心に、土木設計部、総合評価技術提案業務、西日本支社および本社土木課長と土木事業内の多くの部署を25年にわたって経験。2025年より、コーポレート部門の新設に合わせ人財戦略室人財企画部長となり、社員エンゲージメント向上、1人当たり付加価値額の向上のため各種施策の検討・実現・浸透に尽力している。

佐藤 研二

佐藤 研二 人事部 人事部長(大東建託)

旅行会社での勤務を経て、2000年に大東建託へ中途入社。人事部に配属。その後、経営企画や支店運営、内部監査など複数の部門を経験。2012年より人事部にて人事企画業務を担当し、人材マネジメント施策の企画・運用に従事。2025年より人事部長として、人事戦略の策定・実行を推進し、多様な人材が活躍できる組織づくりや人的資本の価値最大化に取り組んでいる。

かつては「きつい」「汚い」「危険」といったイメージが強かった建設業界。働き方改革や建設DXが進み、今、働く環境は大きく変わっています。今回は、建設業界の「働きやすさ」と「働きがい」を推進する大和ハウス工業、西松建設、大東建託が対談。各社の取り組みや建設業界の未来を語ってもらいました。

「長時間労働が当たり前」はもう古い。建設業界の働きやすさが進化中

「長時間労働が当たり前」はもう古い。建設業界の働きやすさが進化中

以前はハードなイメージのあった建設業界。近年は、どのような変化が起きているのでしょうか。

――建設業界といえば「3K(きつい・汚い・危険)」と言われることもありましたが、皆さんが入社した頃と比べて、今はどうでしょうか。

“佐藤" 佐藤

「もう、まったく別の会社かと思うくらい変わったと思います。確かに私が入社した2000年頃は、とにかく成果を出せばいい、そのためには何時間働いてもいい、というような時代でした。でも今はノー残業デーなどの取り組みも進み、月の残業時間は14時間前後。全産業の平均と変わらなくなっています」

“上田" 上田

「労働時間は変わりましたね。大和ハウス工業でも一定時刻になるとパソコンが使えなくなる『ロックアウト制度』を導入して、最初は『そんなに早く帰って目標数字を達成できるの?』って戸惑いましたけど、実際には業績が伸びました。そこから『長時間働けばいいわけではない』という意識が社員に根づいて、施工現場でも4週8休を実現できるようになりました。

今はコアタイムなしのフレックスタイム制度も全職種に導入して、さらに働きやすくなっています。『時間を減らしたいのではなく、時間をやりくりしたい』という声を受けた制度で、ハードワークの翌日は遅めに出勤したり、授業参観で中抜けしたり。柔軟に働けるようになっています」

大和ハウス工業株式会社 経営戦略本部 人事部長 上田 あきは(うえだ・あきは) 大和ハウス工業株式会社 経営戦略本部 人事部長 上田 あきは(うえだ・あきは)

――ここまで働き方が変わってきた背景には、何があるのでしょうか?

“佐藤" 佐藤

「法改正もありますし、昔の感覚のままでは、もう良い人材を採用できない。建設業界全体として変わらざるを得なかったのでしょう」

“上田" 上田

「技術の進歩も大きいですね。最近はAI活用も進んで、資料も短時間で叩き台まで作れる。仕事の進め方も変わってきていますよね」

“佐藤" 佐藤

「大東建託でも、施工現場の状況を遠隔で確認できるアプリ『シンクリモート』を導入し、施工管理の効率化と品質向上に取り組んでいます。従来は、関係者が現地に集まり確認を行っていましたが、現在は約7割の検査において『シンクリモート』を活用し、必要に応じて遠隔からリアルタイムで現場状況を確認しています。これにより、移動時間の削減による業務効率化に加え、迅速な情報共有と円滑な意思決定を実現しています」

“野ツ俣" 野ツ俣

「西松建設でも、山岳トンネル掘削工事の無人化を進めていますが、目的は効率化だけではなく、一番は安全のためです。山岳トンネルはいつ落盤が起きるか分からないし、狭い場所で重機を動かす危険な作業もある。そういう場所に人が入らなくて済むようにしているんです」

“上田" 上田

「なるほど!」

“佐藤" 佐藤

「ある意味、究極の働きやすさですね……」

“野ツ俣" 野ツ俣

「あとすごいなと思ったのは、健康支援。西松建設では2018年度から、30歳以上の社員を対象に人間ドックをほぼ会社負担で受けられるよう補助金と人間ドック休暇を付与し、2020年度からは補助金の増額と対象者を社員の配偶者へと広げました。家族が大きな病気になったら、仕事どころではなくなりますからね」

西松建設株式会社 人財戦略室 人財企画部長 野ツ俣 克彦(のつまた・かつひこ) 
西松建設株式会社 人財戦略室 人財企画部長 野ツ俣 克彦(のつまた・かつひこ) 
“佐藤" 佐藤

「毎年、しかも配偶者も、というのはすごい。大東建託も昨年、がんと診断された社員に100万円を支給する制度を導入しました。『元気になって戻ってきてほしい』という会社からのメッセージです。成果には厳しい会社ですが、何よりも社員を大切にするという考え方は、昔から変わらないですね」

“野ツ俣" 野ツ俣

「私は土木の現場が長かったので、住環境もすごく変わったなと思います。地方の建設現場では、プレハブの建物に4畳程度の小部屋で合宿みたいに生活していたのが、今はそこにユニットバス付きのワンルームが用意されます。私は小さいユニットバスより合宿の大風呂がいいと思ってしまうのですが(笑)、建設業界の当たり前もそうやって変わっていくんですね」

“佐藤" 佐藤

「若い世代の価値観に合わせて、会社が変わってきていますよね。うちも少し前までは、『リュックで顧客訪問なんてとんでもない』と言われていましたが、今は『両手が空くのはいいよね』と、カジュアルなスタイルも受け入れられています。そんな小さなところにも、業界の変化を感じますね」

働きやすいだけでは足りない? 令和の「働きがい」のつくり方

働きやすいだけでは足りない? 令和の「働きがい」のつくり方

ますます盛り上がる座談会。話は、社員の成長やモチベーションを後押しするための、各社の取り組みにも広がります。

――働き方が変わってきた中で、皆さんが今、難しさを感じていることはありますか?

“野ツ俣" 野ツ俣

「労働時間が制限されるようになって、かえって『もっとやりたい』という若手の成長意欲に蓋をしてしまっているのではないか。昔のように時間を気にせず仕事に没頭することが難しい今、時間管理と社員の成長をどう両立させていくのかは、新しい悩みです」

“上田" 上田

「確かに、どうすれば限られた時間の中で成長機会をつくれるのかは、大きな課題ですよね。大和ハウス工業では、BIM(Building Information Modeling)を活用し、建設現場の業務をデジタル上で再現しています。これにより、短時間で実践に近い経験を積むことができ、失敗を恐れずに試行錯誤できる環境を整備しているんです。特に若手社員にとっては、実務に入る前から現場対応力を高められる点で教育効果が高く、育成面においても大きな成果を上げています」

BIM(Building Information Modeling)とは

コンピュータ上に作成した「本物そっくりの3次元の建物モデル」に、コストや仕上げ、管理情報といったさまざまなデータを追加し一元管理する仕組み。必要なときに必要な情報が取り出すことができ、設計や施工、維持管理までのあらゆる工程の効率化に役立っています。

“佐藤" 佐藤

「大東建託は学歴や年功に関係なく、成果で評価する会社です。頑張った分、昇進やインセンティブでしっかり報われる。上を目指したい人には、十分にやりがいのある会社だと思っています。ただ、今の若い世代はそこまでガツガツしていなくて、働きがいの感じ方も変わってきています。

どうしたら仕事の意味や成長を実感してもらえるのかは、模索中ですね。社長も『会社を使って成長してほしい』とよく言っているのですが、自分なりの成長が、会社や社会への貢献にもつながる。そんな環境をつくることが大事なんだなと」

大東建託株式会社 人事部 人事部長 佐藤 研二(さとう・けんじ)
大東建託株式会社 人事部 人事部長 佐藤 研二(さとう・けんじ)
“野ツ俣" 野ツ俣

「西松建設の社員には、インフラを支えていることへの誇りがもともとしっかりあるんですよ。ただ、自分の成長や頑張りをちゃんと見てもらえているのか。そこの納得感が、すごく大事になってきています。従来の『ついてこい』『自分で考えてやってみろ』だけではなく、個々の特性に応じた成長支援やコミュニケーションが重要だと感じています」

“上田" 上田

「難しいのは、これまでのやり方で成果を上げてきたのが、私たちマネジメント世代だということですよね。私たち自身、過去の成功体験の延長線上でマネジメントしようとしてしまう。でも、それでは結局、過去と同じものしか出てこない。経験を伝承するだけでは限界がきており、管理職側も新しい考え方を取り入れていかなければいけないと思います」

上田さん

――そうした変化に合わせて、社員の働きがいや成長を支えるために、どんな取り組みを進めているのでしょうか。

“野ツ俣" 野ツ俣

「西松建設もこれまでの年功序列型から変わろうと、制度改革を進めています。上司と部下で、キャリアや会社から期待することをちゃんと話せるように、遅ればせながら1on1やキャリアの自己申告制度も始めました。まず意見を挙げられる場はできつつあるのかなと。上司と部下がまともに話すのは、指示と業務の相談、飲み会くらいという中で(笑)、いろんな立場の社員同士が、もっと気軽に話せる会社になっていけばと思っています」

上尾支店 内田誠 (うちだ・まこと)
“上田" 上田

「大和ハウス工業は経営理念にも『事業を通じて人を育てる』と掲げているくらいで、社員の成長支援にはかなり力を入れています。複数の事業を持つ強みを生かして、社内公募や社内起業制度、社内副業など、社員が幅広いフィールドで挑戦できる機会をつくっています。

毎年エンゲージメント調査を行っているのですが、『お客さまの期待を超える提案ができた』と感じている社員ほど、仕事にやりがいを感じる傾向が強いんです。決まりきった提案で終わりにせず、工夫を重ねて付加価値をつくることが、働きがいにもつながっているのではないかと思います。ただ、そうした提案は同じ仕事を続けているだけでは生まれにくいので、グループ会社も含め、さまざまな仕事を社員が経験できる機会を増やそうとしています」

“佐藤" 佐藤

「大和ハウス工業さんは住宅だけでなく、事業が本当に幅広い。社員からすれば『こんなこともできるんだ』と、自分の可能性を広げられるのがいいですよね」

“上田" 上田

「実際、新しい環境を経験した社員はすごく生き生きするんですよ。普段関わらない人と話したりして、いろんな刺激を受けるんだと思います。そんな社員を増やして、『ここなら何かできそう』と思える会社にしたいんです」

“佐藤" 佐藤

「制度や報酬、成長機会、どれも大事ですね。でもそれだけでは足りなくて、そもそも社員に会社を好きになってもらうのが大前提というか。『大東建託で働いているんです』と、社員が胸を張って言える会社を目指したいなと改めて思います」

“野ツ俣" 野ツ俣

「なるほど……。建設業界も『地道に良い仕事をしていればいい』という感覚だけでは、時代に追いつかなくなっているのかもしれませんね。これからは、どうすれば社員の心を引きつける会社になれるかなんだなと。佐藤さんのお話を聞いていて、何となくつながった気がします」

建設業界のイメージを塗り変え、「イケてる」業界に

建設業界のイメージを塗り変え、「イケてる」業界に。

三者三様の働きやすさと働きがいについて語り合った、今回の座談会。3社の取り組みや思いを通じて、建設業界のよりよい未来が見えてきました。

――今回、建設業界の3社が集まり、働き方について話してもらいましたが、いかがでしたか?

“上田" 上田

「3社それぞれ、カラーがまったく違うのが面白かったです。西松建設さんは実直に仕事と向き合ってこられた会社、大東建託さんは、頑張っている人をしっかり評価する会社。働きやすさや働きがいにも、社風が表れており、それぞれのカルチャーに合ったやり方があることが分かりました」

“野ツ俣" 野ツ俣

「同じ会社でも社員全員が同じ価値観ではないでしょうし。『うちに合うのはこうだ』と、人事だけで決めるのも違うんだろうなと。みんながどう思っているのか、社員の声をしっかりと聞いていかなければならないと改めて感じました」

“佐藤" 佐藤

「私は今回、人事は広報でもあるんだなと思いました。野ツ俣さんからは実直さ、上田さんからは総合力の高さが伝わってきて、会社のカラーが出るんだなと。大東建託の魅力もしっかり伝えられるように、私ももっと頑張らなくてはと思いました」

佐藤さん

――最後に、皆さんが思い描く建設業界の未来についてお聞かせください。

“野ツ俣" 野ツ俣

「私は昨年、入社以来から所属していた土木事業から人事に異動になりまして、そのとき『これまでの20数年間、仕事が楽しかったなぁ』と振り返ったんです。環境が変わってしんどい時期もあったからこそ、仕事って楽しくなきゃいけないよな、と強く思います。エンゲージメントとか成長とか、いろんな人事用語がありますけど、突き詰めると、みんなが楽しく働けることではないかと。会社も建設業界も、そんな人たちの集まりでありたいですね」

“佐藤" 佐藤

「私は中途入社で、前職は旅行会社だったんです。旅行は形が残らないけど、建設業って形に残るんですよ。建物だったりトンネルだったり、AIが進化しても必ず形に残る。それってやっぱり、すごいことだなと。

3Kと言われた建設業界ですが、それも変わりつつあります。建設業界の魅力を伝えていきたいですね」

“上田" 上田

「私は以前、建設DXを推進する部署にいたことがあって、『昔ながらの3Kではない、建設業界の新しいイメージをつくりたい』と取り組んでいました。建設業界はインフラを支える、なくてはならない存在です。『イケてる』『憧れる』と思ってもらえる業界にするための、一助になれたらと思っています」

座談会の様子

大和ハウス工業・西松建設・大東建託の各社が「健康経営優良法人2026」に認定

今回の座談会に参加した3社は、健康経営を積極的に推進しており、経済産業省および日本健康会議が認定する顕彰制度において、高い評価を受けています。

大和ハウス工業・西松建設・大東建託の各社が「健康経営優良法人2026」に認定

大和ハウスグループ

グループ35社が「健康経営優良法人2026」に選定。株式会社コスモスイニシアが、大規模法人部門において、上位500法人に与えられる「ホワイト500」に初認定されたほか、大和ハウス・アセットマネジメント株式会社が中小規模法人部門の上位500法人の「ブライト500」に認定されました。

西松建設

具体的な施策として「人間ドックに対する費用補助(オプション検査含む、被扶養配偶者にも同様の補助あり)」「女性がん検診費用補助」や、「医療職によるフィジカル・メンタル相談」「卒煙プログラムの無償提供」などを講じており、ホワイト500に認定されています。

大東建託グループ

大東建託株式会社とグループ4社(大東建託リーシング株式会社、大東建託パートナーズ株式会社、株式会社ガスパル、大東コーポレートサービス株式会社)が、ホワイト500に認定されています。また、大東建託健康保険組合に加入する全グループ会社が健康経営優良法人に認定されています。

各社がそれぞれの強みを生かしながら進める、建設業界の健康経営に今後も要注目です。なお、詳細リリースは以下よりご確認いただけます。

※本記事の内容は、掲載時点の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職・肩書などは、現在と異なる場合があります。

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