
PROFILE この記事の登場人物

中川 祥呉 技術開発部 技術開発課(大東建託)
2006年に支店工事課に入社。その後は設計部、流通開発部、支店設計課等を経て、2023年4月に技術開発部へ異動。自社に導入する新規資材・新規運用の開発を手がける。現在は、「スマートDKロック」の販売拡大・既存物件導入のほか、「外壁CGパースセンター」のWeb運用に向けたシステム開発にも携わっている。
「鍵」という日常的に使用するアイテムが、私たちの生活に与える影響を考えたことはありますか? 家を出るとき、帰宅するとき、何気なく手に取るものですが、それがなければプライバシーや安全は守られません。
時代とともに進化し、暮らしのあり方を変えてきた鍵。大東建託も、人々の暮らしに携わる企業として、より安全で使いやすい鍵を追求してきました。デジタル技術の発展が加速するいま、鍵はどのように変わろうとしているのか──。本記事では、賃貸住宅における鍵の進化や大東建託の取り組みを紹介します。
スマホ1つでドアが開く!? 話題の「スマートロック」に注目

昨今はメモリーキーからさらに進化し、デジタル技術を駆使したスマートロックが話題ですよね。
中川「スマートロックは、その名の通りスマートフォンなどで施錠/解錠ができる最新型の鍵です。鍵を持ち歩く必要がないというのは、従来の物理的な鍵の概念を覆す非常に大きな進化ですね。現在、さまざまなメーカーがスマートロックを開発していますが、当社は『スマートDKロック』というオリジナルのスマートロックを開発し、2024年から本格運用を開始しました」

中川「他社製品と異なるのは、スマートロックをドアや通用口に後付けするのではなく、最初から一体化させている点。後付けタイプは両面テープで固定することが多く、外れてしまう可能性もあるのですが、『スマートDKロック』にはその心配がありません。当社の新築賃貸物件にも次々と導入されています」
「ROOFLAG」の展示棟のドアにもスマートDKロックが搭載されている。解錠は、専用アプリ「DKロック」で「スマートDKロック」は、どのように使用するのでしょうか?
中川「まずは入居者さまご自身が、解錠方法を設定します。鍵を開ける手段は5つあり、複数選べます」
「スマートDKロック」の解錠手段
- 交通系ICカード
- スマートフォンのモバイル交通ICカード
- 任意で設定する暗証番号
- 専用アプリ
- ワンタイムパス
中川「設定後は、カードをかざしたり、暗証番号を入力したりするだけで、解錠が完了します。施錠はオートロックなので、鍵のかけ忘れの心配もありません。ワンタイムパスはスマートロックならではの、特に便利な機能です。例えば入居者さまの親族や家事代行業者、ペットシッターの方などがいらっしゃったとき、一時的に鍵を開けるための暗証番号を発行できるんです」
開発に当たって、難しかった点、ご苦労された点はどこですか?
中川「実は、現在導入されている『スマートDKロック』は2代目。初代モデルは専用のカードを用いて解錠する仕組みにしていましたが全国採用されるまでの実用化にはいたらず、さまざまな試行錯誤の結果、現在の形になりました。便利さを追求するうえで、普段から持ち歩くものを鍵として使えるようにする、“キーレス”がやはり重要であると考えたからです。デジタル通信を利用したワンタッチ解錠だからこそ、セキュリティの精度調整にも最新の注意を払いました。例えば、スマートフォンをどれくらいの距離まで近づければ解錠できるのか。駐車場にいるだけ、室内でスマートフォンを操作しているだけで開いてしまうといった事態は絶対に避けなければいけませんからね」

使いやすさと安全性の両立がポイントだったんですね。
中川「はい。その点でいうと、専用アプリの開発にも苦戦しました。アプリ開発初心者なりに、誰もが直感的に使えるデザインや機能設計を目指していて。ユーザーがどれだけ迷わず使えるかについては、現在進行形で工夫を重ねている最中です。解錠方法の設定はもちろん、緊急時の手動解錠のやり方など、“考えなくても使える”仕様になるよう知恵を絞っています。従来の鍵は、鍵穴に差して回すだけですから、何も迷う点がありませんよね。デジタルになっても、それに匹敵するレベルの使いやすさを追求したいんです。また、いくらデジタルが主流になっても、それだけに依存するのは危険だと考えています。万が一、『スマートDKロック』が作動しない場合に備えて、電話での問い合わせや駆けつけ対応の仕組みを整え、安心してお使いいただける体制もつくっています」
さまざまな鍵のカタチ。どんな仕組みで解錠するの?
| 鍵の種類 | 鍵が開く仕組み |
|---|---|
| カードキー | 内蔵された磁気、RFID(無線通信)、またはICチップが、リーダーと呼ばれる機器によって読み取られることで解錠されます。磁気カードやICカードの場合、カードに記録された情報がリーダーに送られ、認証が取れると解錠。RFIDカードは特に非接触型のカードで、数センチ以内の距離で解錠が可能です。 |
| リモコンキー | 無線通信を利用して解錠する仕組み。リモコンから発信された信号が、対応する受信機(例えば車や建物のドア)に届くと、受信機が信号を確認し、解錠します。リモコン内の暗号化された信号がセキュリティを高めており、電波の干渉を避けるためにコードが変動する仕組み(ダイナミックコード)が使われることが多いです。 |
| 暗証番号 (PINコード) | キーパッドやタッチスクリーンなどに設定された数字を入力し、その番号がシステムに記録されているパスコードと一致すれば、解錠される仕組みです。このタイプは、物理的な鍵を使わず、数値入力のみで簡単に解錠できます。 |
入居者の「無意識」を意識する。次世代セキュリティのあり方とは?
今後、鍵に求められる要素とは、どんなものだと思いますか?
中川「従来の鍵が備えていた安全性に加えて、プラスαの価値を届けることが必要なのではないでしょうか。最近は、指紋、顔認証や虹彩認証といった身体的特徴を用いて個人を判別する非常にセキュリティの高い『生体認証』の技術も見かけますよね。一般的な賃貸住宅にはまだ浸透していませんが、いずれはスマートフォンをかざすことも、暗証番号を入れることもなくなるはず。究極のキーレスです。当社でもそういった技術の実用化に取り組んでいます」
最後に、大東建託として、鍵の開発を進めるうえで大切にしたいことを教えてください。
中川「鍵の設計において何より重要なことは、入居者さまの『無意識』を意識することだと考えています。鍵は、安全だろうか? 便利だろうか? と考える必要がない、当たり前に安全で便利なものであるべきです。賃貸物件のオーナーさま、入居者さまそれぞれで鍵に求める要件は異なりますが、それぞれのニーズをしっかりと汲み取って、日常に安全性や利便性が溶け込んだ鍵を提供していきたいですね」


















