PROFILE この記事の登場人物

工藤 岳 東京建築開発事業部 工事センター(大東建託)
2017年入社。名古屋南工事部にて2年間工事課業務をしたのち、世田谷工事部に異動。世田谷工事部異動後は主にRC造の施工管理業務に従事。現職に至る。

吉松邦博 東京建築開発事業部 工事センター(大東建託)
2013年、大東建託に中途入社。以降、現場監督として数々の建物の施工に携わる。「社会に貢献しよう」と進化を続ける大東建託の思いに共感し、その一員として働けていることにやりがいを感じている。

大島琢也 東京建築開発事業部 工事センター(大東建託)
2017年入社。板橋工事部にて7年間2×4造、RC造の施工管理業務に従事。その後、特建工事センター配属を経て現職にいたる。
2025年6月、企業における労働者への熱中症対策が義務化されました。さらに、2026年4月の労働安全衛生法改正にともない、その保護対象が個人事業者にまで拡大されました。建設業は屋外作業が多く、熱中症リスクが特に高い業種の一つであるため、その対策法が注目されています。
そこで今回は進化する工事・建設現場の熱中症対策に注目! 経口補水液やファン付き作業着、ミストトイレ、ライブカメラなど、現場の熱中症対策を9つ紹介します。
2026年4月、個人事業者(フリーランス)を対象に含めた熱中症対策が“企業の義務”に

夏が近づくと耳にする機会が増える「熱中症」。2026年4月から「労働安全衛生法」が改正され、企業における熱中症対策が罰則付きで、同じ現場で働くすべての人を分け隔てなく安全衛生対策の対象にすることが“義務化”されました。背景にあるのは、若年層の入職減少や熟練技能者の引退加速、深刻化する気候変動と、それに伴う労働災害のリスク。日本の平均気温は過去100年で1.44度も上昇し、2024年の建設業の死亡者数は最多で約4割という状況です。
職場における熱中症による死傷者数の推移
とりわけ、屋外での作業が多く、気温・湿度・日射しといった暑さ要因が直撃する建設現場の熱中症対策は喫緊の課題。重症化の大きな要因である初期症状の見逃しや対応の遅れを防ぐための対策が、企業に求められています。
法改正により義務化された内容
| 項目 | リスク |
|---|---|
| 早期発見のための体制整備 | 初期症状の確認方法、報告体制の構築 |
| 重篤化を防止するための措置の実施手順の作成 | 応急処置手順を明確化し重篤化防止 |
| 関係作業者への周知 | 緊急時対応①②を関係者へ事前に周知 |
“暑さ指数(WBGT値)28度以上”又は“気温31度以上”の環境下で“連続1時間以上”又は“1日4時間超”が見込まれる作業
規則改正を受けて改良した啓発ポスター。ピクトグラムを使用して、より“一目でわかる”デザインに塩飴や作業着、ミストファン付きトイレ…… 現場ではどんな対策を?
義務化に伴い改めて注目される熱中症対策ですが、実際の現場ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。東京のとある建設現場を訪れ、現場を監督する吉松さん、工藤さん、大島さんに、具体的な熱中症対策を教えていただきました。
大東建託株式会社 施工管理部 特建工事センター 工藤岳(くどう・がく)
左:大東建託株式会社 東京建築開発事業部 工事センター 吉松邦博(よしまつ・くにひろ)/右:大東建託株式会社 東京建築開発事業部 工事センター 大島琢也(おおしま・たくや)対策01|塩飴や塩タブレット、経口補水液
現場の作業員の方にとって一番身近な熱中症対策は、常備されているさまざまな飴やタブレットを取ること。冷蔵庫には「OS-1」などの経口補水液もあり、猛暑日だと1日に約20本も消費されるのだとか(もちろん、塩分・糖分の過剰摂取につながるため飲みすぎは禁物)。

このスペースには、熱中症の注意喚起をするポスターも貼られています。日本語に不慣れな外国人技能実習生のために、ベトナム語やインドネシア語での説明も用意されています。

対策02|冷却スプレーや氷のうなどの冷却グッズ
塩飴や経口補水液と同じ場所に常備されているのが、身体にかけるとひんやりするスプレーや、パンチすると瞬時に冷たくなる保冷剤などの冷却グッズ。

冷凍庫の氷をジッパー付き袋に入れて、氷のうとして使うこともあるそうです。
太い血管が通っている脇の下、首筋、股下などに当てるのがポイント
工藤「熱中症は、直接的に身体を冷やすことがもっとも効果的な対策です。冷却グッズはひんやりして気持ちいいので、みんな熱中症の疑いがなくても使っていますよ(笑)」
ひんやりアイテムとして、取材先の現場には新たに自動のかき氷機も導入されたのだとか!
食品や冷却グッズ。体調不良者が出た場合に備えて応急セットも常備
スポットクーラーも設置されています対策03|猛暑でも涼しいペルチェ式「ファン付き作業着」
さあ、ここから少しマニアックになってきます。
現場作業員の必需品といえば作業着。ファンで風を送るタイプのものが一般的ですが、猛暑日は熱風が循環するだけで、劇的な涼しさは感じづらいのだそう。そこで近年、「ペルチェ式」と呼ばれるタイプが主流になっています。ペルチェとは両脇の下についている円形の金属素子「ペルチェ素子」のこと。電源を入れるとキンキンに冷えるため、身体に当てると冷却効果が得られます。
見た目の暑さは2倍だが涼しさは体感約2倍(撮影:大東建託)
吉松「ペルチェ素子は冷たさを3段階で調整できるため、体調や気温に合わせて最適な温度に設定できます。両脇から取り外せば、首元に装着することも可能です」

工藤「昔はかさばるからという理由で作業着を避ける人もいましたが、みなさん一度着ると手放せなくなるようです」
大島「昨年度のものより、サイズ感が少し大きくなり、風の通りもよくなったように感じます」
吉松「色味もネイビーからグレーに変わり、汚れが目立ちにくくなりました」

前述のペルチェ式「ファン付き作業着」とは異なる製品ですが、32度(WBGT28度)の暑熱環境下での軽運動中に、大東建託と昭和商会で共同開発している「ファン付きペルチェ式冷却ベスト」を着用した際の生理・心理反応を測定。従来のファン付き作業服は外気吸入による気化熱に頼るため、高気温下では効果が限定的でしたが、本製品は「ペルチェ素子」による直接冷却を併用することで、接触部位のみならず、非接触部位である上腕部の皮膚温上昇を約0.5度抑制し、さらに主観的快適感の改善が見られました。また、認知機能を計測する検査においても、改善がみられました。
関連リリースへ
大東建託では、現場作業員向けの通販サイト「すまちく建材店」で、ファンとペルチェの両方を備えた作業着を安く提供しています。
対策04|快適さと安全性を両立した建設現場の新基準・ミストファン付き快適トイレ
建設現場で働く人々が男女問わず快適に利用できるように、冷風機や換気扇を搭載し、ソーラーパネルで省エネ運用を実現したミストファン付き快適トイレ。プッシュボタン式の水洗機能や、収納BOX、専用フロアマット、二重ロックなどを採用することで女性にも安心の設計となっています。また、室内外に抗菌加工を施し、清潔で快適な環境を提供しています(ソーラーパネル、換気扇、デジタルロック(二重ロック)、ミストヴェールファン、プッシュボタン式洗浄、収納BOX(32L)、フロアマットなど)。

吉松「空間が広々としていて快適ですし、ミストとファンの効果で体感的にも涼しさを感じられます。さらに、太陽光パネルによる電力供給で換気扇が常に回っているため、もわっとした感じや臭いも気になりにくいんです。また、鏡がついているので、メイク直しや身だしなみのチェックにも使えます」

対策05|暑さ指数(WBGT)を測定する熱中症指数計「みはりん坊」
現場に必ず設置されているのが、暑さ指数(WBGT)を計測する「みはりん坊」。朝礼時には、みはりん坊に表示されたWBGT値や予想最高気温、湿度などを、作業員全員で確認しています。WBGTとは、気温・湿度・輻射熱(日差しなど)の3つを取り入れた指標のことで、この数値が高いほど熱中症リスクが高まります。

「暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)」とは、熱中症の危険度を測る指標のこと。気温・湿度・輻射熱(日射しを浴びたときに受ける熱や、地面、建物、人体などから出ている熱)の3つの要素を考慮して算出された、いわば体感的な暑さの指標です。例えば同じ30℃でも、湿度が高く風のない日だと、体はより暑さを感じるはず。WBGTでは、そうした状況を数値で見える化。WBGTが28を超えると、熱中症のリスクが一気に高まります。(参考:環境省「熱中症予防情報サイト」、厚生労働省労働基準局)。

工藤「たとえば『今日はWBGT値が29なので30分に1回は休憩しましょう』というように、WBGT値によって休憩の頻度を変えています」
また、高所での作業中など、「みはりん坊」をすぐに確認できない場合のため、鉄骨の上部にはランプがあります。WBGT値が28に達すると点灯し、これを見て休憩頻度を増やすなどの判断をするとのこと。
対策06|天候や作業状況を把握「ライブカメラ」
全国の現場730箇所に設置されているライブカメラでは、天候や作業状況といった現場の状況がリアルタイムで把握できます。
本社のモニターでは、全国各地の現場が一覧で表示
工藤「現場にいない管理者も遠隔で危険度をチェック。見守りの目が、暑さ対策をしっかり支えています」
対策07|体調不良を未然に防ぐ「血圧計」
現場には血圧計も用意されています。血圧は、朝礼前に必ず測るそうです。
大島「血圧を把握することで、『今日は休暇を取っていただいたほうがよさそうだ』『外での力仕事は避け、業務を調整しよう』というふうに、体調不良を未然に防ぐことができます。サイズもコンパクトでさっと測れ、置いておく場所にも困りません」

対策08|WBGT値が危険なときに届く「熱中症予防情報メール」
その日に、WBGT値が28を超える時間帯があると届く「熱中症予防情報メール」への登録も、熱中症対策の一つです。熱中症予防情報メールには、3時間ごとのWBGT値が記載されています。
大島「メールは午前7時に届くように設定しており、朝礼のタイミングで皆さんに声をかけています。自分の体感だけに頼らず、『熱中症になるかもしれないから、対策しておこう』と、先回りした動きができるのは大きなメリットですね」

対策09|通路移動時に心地よい涼しさ「ミストシャワー」
30mほどの安全通路(現場に安全に移動できるように作られた道)の上には、ミストシャワーが設置されています。
吉松「職人さんからも、好評です。歩いている間も心地よい涼しさを感じられますし、車両が通らない道ですので、暑さが厳しいときには足を止めてクールダウンすることもできますからね」

油断は禁物。早期の発見・対処と周知が熱中症予防に

建設現場で特に熱中症になりやすいのは、日陰のない屋外で作業する躯体工事の作業員や足場のとび職の方々。一方、屋内だから安全というわけでもありません。風が通りにくく、熱がこもりやすい屋内作業では、内装業者の方々もこまめな休憩や水分補給を欠かさないようにしています。また、普段オフィス勤務の人が夏場に屋外で作業するケースも要注意。屋外の日射しや暑さに慣れていないため、体の中に熱がこもり、熱中症を発症しやすくなるのだそう。
作業中は問題なくても、帰宅してから遅延型の熱中症を発症する可能性もあります。熱中症の発生件数は7月と8月が多いものの、実は体がまだ暑さに慣れていない5月や6月も油断は禁物。日射しを浴びた日は、冷却枕や冷却シートなどで体を冷やし、熱中症を予防することが大切です。
動画にまとめた暑さ・労働安全管理対策
メディアでも紹介されました!
大東建託グループの熱中症対策はメディアでも紹介されています。下記の他、プレス関係者向けの「熱中症対策セミナー」も実施しました。
2026年の報道例(一部、抜粋)
テレビ報道
- テレビ東京(5月25日)|大東建託が建設現場での夏の熱中症対策発表 クールな「ファン付きベスト」と「ミストファン付きトイレ」 建設現場からの意見参考に開発
- Housing Tribune(6月18日)|大東建託、激甚化する猛暑に挑む 建設現場の熱中症対策を1.5億円に強化
新聞報道
- 朝日新聞(5月29日)|ミスト付きトイレや移動休憩所…現場作業員の熱中症 企業の工夫続々
- 読売新聞(5月31日)|職場の熱中症防げ 義務化1年企業が対策強化 行政指導1000件越え
- 産経新聞(6月19日)|建設現場 猛暑から守れ 熱中症対策 委託先含め管理対象に
- 読売新聞(6月23日)|熱中症対策 屋外業務変化 義務化2年 始業前倒し 配達休止も
2025年の報道例(一部、抜粋)
新聞報道
- テレビ朝日(5月14日)|【報道ステーション、ANNニュース、グッド!モーニング】「罰則付き熱中症対策義務化へ」を公開
- TBS(6月2日)|【Nスタ】企業の熱中症対策が義務に
- 日本テレビ(5月16日)|【DAY DAY】「来月から熱中症対策義務化へ 工事現場安心して仕事を」を公開
新聞報道
- 産経新聞(5月27日)|企業の熱中症対策、6月1日から「早期発見」義務化 対策怠れば拘禁または罰金
- 日本経済新聞(5月27日)|大東建託、冷却ベストを現場監督1500人に貸与 熱中症対策
- 時事通信(5月31日)|職場の熱中症対策、1日から義務化=罰則付き、企業の準備進む
- 朝日新聞(6月1日)|職場の熱中症対策強化、義務化スタート 空調ベストにライブカメラも
- 共同通信(6月1日)|事業者罰則きょう施行/職場の熱中症対策 義務化/労災遺族 細心注意訴え





















「現場で取り揃えている塩飴や経口補水液は、作業員の方の好みをうかがいながら現場監督が用意しています。最近、特に人気なのはカリカリ梅。今日は完売していますね」