
PROFILE この記事の登場人物

maru. フォトグラファー/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士
写真歴約15年のフォトグラファー。普段は宅地建物取引士として不動産業に従事しながら、竣工写真や日常のお部屋、インテリア等の写真を中心に撮影する。インテリアコーディネート、家全般に関するアドバイスなどでも活躍中。
引っ越しや模様替え、憧れの家具の購入などのタイミングで「今の部屋を写真に残したい!」と思ったことがある人もいるのでは? しかし、どんなにすてきなお部屋でも、魅力を写真で伝えるのは簡単ではありません。インテリア撮影には、少々コツがいるんです。
今回は、お部屋の写真を多く撮影するフォトグラファー兼インテリアコーディネーターのmaru.さんにインタビュー。構図の決め方からオシャレで手軽な画像加工の方法まで、スマホでできる撮影テクニックを聞きました。
※今回、maru.さんには「Google Pixel 8a」を使用して撮影いただいています。
コントラスト調整にポートレートモード。オシャレな写真を撮るための小ワザ

基本的な撮影テクニックを押さえたら、今度は、より雰囲気のある写真を撮影するための小ワザを学んでいきましょう。
maru.さんが大切にしているのは、お部屋やインテリアの役割・テーマによって撮り方を変え、それぞれの持ち味を生かすこと。例えば、寝室は温かみのある色に、洗面所やキッチンなどの清潔感を演出したい空間はシャープに写すことで、その空間ならではの雰囲気を強調しています。
maru.「写真の印象を変えるには、構図や光を工夫するほか、カメラの設定で明るさや色温度、コントラストを調整するのも有効です。色温度設定を上げて温かみを出す、コントラストを上げてシャープに、といったように設定を使いこなせれば、よりすてきな写真が撮れますよ」
maru.さんオススメの設定の一つが「ポートレートモード」です。本来は人物撮影用のモードですが、雑貨などを撮りたいときにも大活躍します。
maru.「背景のピントがぼけて、被写体がくっきりと浮かび上がって見えるんです。テクニックいらずで一気にプロっぽい写真になるので、ぜひ活用してほしいです」
左:Beforeは背景が雑多な印象で、主役である猫の雑貨が目立たない/右:Afterは背景がぼけることで、主役が分かりやすい写真にまた、被写体となるインテリアそのものに少し手を加えることで、写真の印象を大きく変えることもできます。
maru.「自宅のような生活の場を写すときは、人の存在が感じられた方が写真が生き生きします。画面の中が無機質に見えるときは、読みかけの雑誌、コーヒーカップ、グリーン、人の手など、適度な生活感や体温が感じられるものを入れてみましょう。グリーンはパッと見たときの彩りの役割なので、フェイクでも構いません」
Before
Aftermaru.「Beforeは殺風景で、部屋ががらんとして見えますよね。そこで、ソファの横にいすを置き、その上に読みかけの雑誌を無造作に置いてみました。Afterはさっきまでそこで誰かがくつろいでいたような、温かみのある写真になりました」
maru.さんは「難しく考えすぎず『すてきだな』『これを撮りたい』と感じたらとりあえず撮ってみることも大切」と語ります。
maru.「今のスマホのカメラはとても性能がいいので、これまでお伝えしてきたコツを少し意識するだけで、簡単にすてきな写真が撮れるはずです。カメラの設定が難しいと感じるなら、バンバン撮ってあとからじっくり編集してもOK。いつでも持ち歩けて、好きなだけ撮影できるスマホがせっかくあるので、ためらわずどんどん挑戦してほしいですね。撮ることを楽しむのが、上達への一番の近道です」
写真が白飛びしたときはどうする? シーンごとに最適な加工・編集方法をレクチャー
ここからは、撮影した写真をよりすてきに見せるためのスマホでの加工・編集方法を、シーンごとに紹介します。
maru.さんは、撮影した写真をAdobeの「Lightroom(ライトルーム)」で編集することが多いそう。スマホで使えて、無料版でも機能が充実しているアプリです。今回は、この「Lightroom」を活用した編集方法を解説していきます。
① カラフルなインテリアを強調したいとき
maru.「彩度と明るさ、コントラストを上げると、ポップでかわいい写真になります」
左:カラー画面「彩度」は写真全体の鮮やかさを調整でき、「自然な彩度」は色が薄い部分を中心に自然に彩度を調整可能/右:ライト画面「露光量」を上げれば明るくできる② モノトーン系のお部屋やインテリアを引き立たせたいとき
maru.「コントラストを上げたり、モノクロに加工したりするとかっこよく仕上がります。半逆光で少し暗めに撮影するのもオススメです」
カラー画面「白黒」使用時。その下にある「色温度」を使うと、「柔らかめな白黒」「クールな白黒」に調整できる③ 夕方の光や暖色のランプの下の撮影によって、赤みが強くなりすぎたとき
maru.「色温度を下げ、色味をブルーに近づけると赤みが落ち着きます。単色ごとに色味を調節できる『カラーミキサー』を使って、オレンジだけを弱くするのもいいですね」
左:カラー画面「色温度」/右:カラー画面「カラーミキサー」④ 快晴の日の撮影などで白飛びが気になるとき
maru.「撮るときに明るさを低めに設定し、編集時にはハイライトを下げてみましょう」
⑤ 黒つぶれが気になるとき
maru.「撮るときに明るさを上げ、編集時にシャドウを上げてみてください」
プリセット機能も活用しよう!
maru.「『Lightroom』で加工を行う際は、明るさ、色調、コントラストなどの編集パラメータを1クリックで写真に適用できる『プリセット』というテンプレート機能を毎回使っています。自分のお気に入りの設定をプリセットとして保存できるほか、プロが設定したプリセットの購入もできます。お気に入りのプリセットを使ったうえで、都度明るさやコントラスト、色合い、ジオメトリ(歪みを補正する機能/有料版で使用可)などを調節すると、さらに理想通りの写真になりますよ」
「部屋をオシャレに見せたい!」手軽にできる工夫ってある?
「撮影のコツは掴めたはずなのに、なんだか写真が味気ない……」
そんなときは、インテリアそのものにもう少し工夫が必要なのかもしれません。インテリアをオシャレに見せるポイントは「照明」と「配色」にあります。照明は、備え付けのものから間接照明やペンダントライトに変えてみましょう。柔らかい明かりが、お部屋を雰囲気のある空間に格上げしてくれます。
配色は「ベースカラー70%+メインカラー25%+アクセントカラー5%」が基本。多くの部屋は「壁紙の白」などのベースカラー、「床やドアの木の色」「家具の色」などのメインカラーが大部分を占めますが、そこにアクセントカラーを少し足すと、メリハリがありつつも調和のとれた空間になります。
例えば、アクセントを加えるのに役立つのがクッションカバー。素材やテイストに統一感があれば、色がバラバラでも「カラフルでオシャレ」という印象を演出してくれます。リーズナブルなものも多く売られているので、すぐにお部屋の印象を変えたい方は、ぜひ新調してみてください。
【検証】プロに教えてもらった方法で、自宅のリビングを撮影してみた!
実は、年末に大規模な模様替えをした筆者。ポスターや観葉植物を飾り、「お気に入りの空間ができた!」と満足しているのですが、写真では魅力が伝えきれないのがちょっとした悩みでした。
Beforeこちらが以前撮影した写真。取材後に見返すと、天井の直線と画面の直線がズレているのが気になります。手前に中途半端に写り込んだソファも、写真の主役を決める妨げになっているかも。
そこで、maru.さんのアドバイスを参考に、取材後に再び撮影してみました。
After①建物の直線と画面の直線が平行になるよう意識したほか、手前にソファが写り込まないよう気をつけました。写真全体の印象が以前より整い、テレビ台まわりのインテリアを見せたいという意図も伝わりやすくなったのではないでしょうか。また、照明を消して自然光を使い、「Lightroom」で明るさと色温度を上げて、明るく温かみのある空間を演出しました。
After②続いて、別カットにも挑戦。斜めの画角から撮影し、部屋の広さを強調してみました。また、ドアの縦の線が画面と平行になるように意識したことで、すっきりと整った印象に。こちらも照明を消して自然光を使い、「Lightroom」で明るさと色温度を上げる編集を行いました。
カメラに苦手意識のあった筆者ですが、maru.さんのアドバイス通りに撮った写真の仕上がりには驚きました。インテリアのよさが伝わる写真が残せて、とても満足しています。みなさんもぜひ、この記事で学んだことを実践してみてくださいね。

























