
PROFILE この記事の登場人物

浅野 美夏 ブランド推進部(大東建託)
2011年入社。賃貸営業職・人事部・ダイバーシティ推進課・事業戦略部を経て現在はブランド推進部に所属。2021年に大東建託の社内ベンチャー制度「ミライイノベーター(現HIRAKU)」の社内審査を通過し、非常食のサブスクリプションサービスの実証実験を実施。現在はブランド推進部にて地域のみなさまとともにまちの活性化を目指す「地域コミュニケーション活動」を通して、こども食堂での防災食試食会の運営などを担当。

宮崎 初音 防災管理課(大東建託)
2007年SE職入社。情報システム部にてシステム開発/Teams導入/テレワーク導入/スマホ導入/サイネージ導入等に携わる。2022年より総務部へ異動し、大和ハウスグループとの「災害における連携及び支援協定」締結・共同PJ管理/顔認証支店入退室システム導入/BCP訓練展開等、主に企画提案・PJ管理をメインに担当している。

長谷川 真紀 防災管理課(大東建託)
2021年入社。支店業務課・総務課を経て現在は防災管理課に所属。総務課時代には会社登記や宅建業務をはじめ、防災イベントの開催を担当。2024年1月1日の能登半島地震では、現地に入り輪島市や七尾市・穴水町などへ支援物資の配布、避難所でのボランティア活動を経験。現在は、発災時の初動対応や大東建託グループの安否確認、防災イベントをメインに担当。2026年1月に防災士の資格を取得。
いつ起こるか分からない災害を乗り切るには、日ごろからの備えが欠かせません。特に女性は、安全面や身体面のリスクが高いことから十分な災害対策が必要です。
大東建託では、全国の支店を防災拠点として活用するなど防災活動に注力しています。今回は、3月8日の国際女性デー、3月11日の東日本大震災の発生日を前に、防災士として活躍するブランド推進部の浅野 美夏、防災管理課の長谷川 真紀、宮崎 初音にインタビュー。女性にオススメの防災対策や、必須の防災グッズについて聞きました。
防犯対策や衛生用品の確保…… 女性目線での防災対策の重要性
災害時の避難生活において、女性は犯罪に巻き込まれるリスクが高まることがあります。まずはそうした現実を踏まえた上で、在宅避難ができない場合、避難所での過ごし方の注意点を教えてもらいました。
防災管理課 宮崎 初音(みやざき・はつね)さらに、避難所では着替えや授乳のためのスペースがない、生理用品などの女性向け物資が足りないといった問題も発生しがちです。近年は解決に取り組む自治体も増えていますが、必ずしも近所の避難所に十分な設備があるとは限りません。
長谷川「能登半島地震の発生時、災害支援のため被災地を訪れた際に、避難所による格差を目の当たりにしました。都心部では支援物資が届きやすいこともあり、個人ブースがテント式でプライバシーが確保されている避難所がありました。一方で、道路遮断の影響により地理的孤立をした地域では、中学校の体育館を区分けしただけのところもありました」
防災管理課 長谷川 真紀(はせがわ・まき)こうした避難生活の実情を踏まえると、女性ならではの防災対策の重要性が浮き彫りになります。しかし、女性に必要な防災対策を講じている人は、実際にはあまり多くないようです。
浅野「災害への備えに関するヒアリングを行った際、女性の方が男性よりも自身の身を守る意識が高い傾向がみられ、水や避難用リュックを備えていることが分かりました。一方で、女性に欠かせないグッズを用意している方は少なかったんです。『女性には、女性ならではの防災対策が必要』という意識をさらに高めていく必要性を感じています」
ブランド推進部 浅野 美夏(あさの・みか)防災リュックに追加したい、オススメ女性向け防災グッズ
では、「女性ならではの防災対策」にはどんな備えが必要なのでしょうか。ここからは自らを「防災ガチ勢」と称す3人が、女性が身の安全を守り、ストレスを軽減するために避難リュックに加えておきたいグッズを紹介します。
| 分類 | グッズ名 | ポイント(一例) |
|---|---|---|
| 生理用品 | 生理用ナプキン、タンポン、おりものシート、高機能吸水ショーツなど | トキシックショック症候群を防ぐため、タンポンは8時間以上の連用を避ける |
| 薬 | 生理痛の薬、常備薬、持病の薬など | – |
| ケア用品 | ドライシャンプー、災害時用着圧ソックス、スキンケア用品 | ドライシャンプーはシートタイプが◎。着圧ソックスはエコノミークラス症候群の予防に |
| 衛生用品 | ノンアルコールのウェットシート | ボディシートや歯磨きシートの代わりに使える |
| プライバシー確保グッズ | 中身の見えないゴミ袋、ポンチョ型アウター、帽子、マスク | ポンチョは着替えや授乳時の目隠しにも。帽子・マスクは感染対策やすっぴん対策にも |
| 防犯グッズ | 防犯ブザー | 犯罪被害の防止に。子どもがいる場合、親子で使い方を確認しておく |
生理用品は避難所から配布されることが多いものの、十分な数があるとは限りません。自分でもナプキン、タンポンを用意しておくと安心です。生理でないときもおりものシートを使えば、こまめに着替えられなくてもショーツの清潔を保てます。
また、ぜひ用意してほしいのがドライシャンプーです。能登半島地震の際は、被災状況や物流事情により、断水が長く続いてお風呂に入れない人が多かったため、各地で品切れになったそう。
長谷川「能登半島地震の長期にわたる断水の中、トイレは簡易トイレで乗り切れたものの、洗髪ができなくて困ったという声を聞きました。頭が洗えないのが何日も続くとかなりのストレスなので、ぜひ用意してほしいです。ドライシャンプーにはスプレーやパウダーなどさまざまなタイプがありますが、周囲への粉飛びが気にならず、使用後に破棄しやすいシートタイプがオススメです」
そのほか、見落としがちなのがスキンケア用品です。
浅野「美容品だからと我慢しがちですが、ケアできずに肌が荒れると、強いストレスになってしまいます。非常時の支援では後回しにされがちなため、自分で備えておくと安心です。オールインワンなら、リュックの中でもかさばりません」

必見! 防災管理課女性社員の防災リュックの中身は?
防災管理課の女性社員は、実際に防災リュックにどのようなものを入れているのでしょうか。長谷川・宮崎に、自宅の防災リュックの中身の一部を見せてもらいました。
長谷川の防災リュックの中身

非常食、ラップ、紙皿、使用しなくなった眼鏡、アイマスク、耳栓、給水タンク、レジャーシート、バンダナ、虫除けスプレー、スリッパ、コンタクトレンズのケースと保存液、保湿クリーム、石鹸、歯ブラシ、鏡、ライト、軍手、防寒用のアルミシート、防水ポンチョ、マスクなどをそろえています。
長谷川「マスクはいつでも使えるよう、50枚入れています。リュックはベッドから玄関に向かう動線の真ん中にあるクローゼットに入れて、さっと取り出せるようにしています。ちなみに一番後ろの枕は、中身が見やすいように立てかけただけで、リュックには入れていません(笑)」

宮崎の防災リュックの中身

折りたたみ式のウォータータンク、非常食、軍手、懐中電灯、簡易トイレ、アイマスク、スキンケア用のシートマスク、ウェットティッシュ、歯ブラシ、マスク、綿棒、エアー枕、耳栓、シュシュ、乾電池などを入れています。
宮崎「旅行先でもらうアメニティは、避難先でも使えるので便利です。私は、飛行機でもらった耳栓とアイマスク(未使用)をそのままリュックに入れています」

常時から考えておこう。妊産婦や子どものいる人に必要な備え
妊婦や産後間もない女性、小さな子どものいる人には、さらに特別な備えが必要です。
宮崎「防災イベントを開催したとき、女性からは家族の防災に関する質問が多く寄せられました。どんな防災グッズが必要か、子どもの防災意識の高め方、家族で避難訓練をすべきかといったテーマに関心のある方が多かったですね」
妊婦向けオススメ防災グッズ
| グッズ名 | ポイント(一例) |
|---|---|
| 母子健康手帳のコピー | 日常生活から必ず持ち歩く |
| マタニティマーク | 防災リュックにつけておく |
| ジップロック数枚 | つわりによる嘔吐対策 |
| むくみ予防ソックス | 妊娠中はむくみやすくなるため |
| 妊娠線予防クリーム | 妊娠線を予防したい場合は毎日塗る |
| 尿漏れパッド | 妊娠中は尿漏れしやすくなるため |
産後向けオススメ防災グッズ
| グッズ名 | ポイント(一例) |
|---|---|
| 授乳ブラジャー、授乳服、授乳クッション | 母乳育児の場合は必須 |
| 母乳パッド | 個人差があるが、産後すぐは必須のことが多い。こまめに交換できるよう多めに用意しておく |
| 円座クッション | 会陰に傷がある場合、体育館の床に直接座ると痛むため |
| 搾乳機 | 乳房の張りや乳腺炎予防に。電源がいらない手動のものを |
乳幼児向けオススメ防災グッズ
乳幼児向けの備えでポイントとなるのが、実際に必要なものは子どもの年齢や家庭の状況によって異なってくるということ。普段から家族で「避難生活を送ることになったら、どんなものが必要?」と一緒に考え、災害に備える時間をとりましょう。
| 分類 | グッズ名 | ポイント(一例) |
|---|---|---|
| 衛生用品 | おむつ、おしりふき、おむつ替えシート、ゴミ袋、ジップロック、絆創膏 | おむつはサイズやテープ・パンツタイプなど、希望通りのものを入手するのが困難。子どもに合ったものか定期的に点検する |
| こども用の薬 | 持病の薬、常備薬 | – |
| 食事関連グッズ | 哺乳瓶、レトルトの離乳食、食事エプロン、カトラリー | 粉ミルクや缶ミルクの支給があっても、哺乳瓶はないことも。用意しておくと安心 |
| 防災グッズ | 子ども用防災頭巾、ヘルメット | – |
| 身分証明書類 | マイナンバーカードのコピー、母子健康手帳 | – |
| 着替え | 服、下着、靴下など数枚ずつ | – |
おむつを使う子どもがいる場合は、必ずその子に合ったサイズや種類のものを用意しましょう。避難所でも配布がありますが、希望通りのものが手に入らないこともあります。
長谷川「災害支援の物資購入の際、おむつにサイズや種類があることを知らず、必要とされていたものを届けられないという苦い経験をしました。避難所では希望通りのおむつが手に入りにくいので、ぜひご自身で準備してほしいです。また、定期的に避難リュックを開けて、おむつがサイズアウトしていないか点検しましょう」
そのほか、子どものストレス対策に、お気に入りのおもちゃを用意するのもオススメ。カードゲームなどの電源がいらず軽量のものが特に便利です。

備蓄の確保に家族間の話し合い。避難グッズ以外に必要な備えとは
災害への対策は「避難グッズさえ用意しておけばOK」というものではありません。特に女性の場合、自宅の安全が確保されていることを前提に在宅避難もオススメです。在宅避難をするとき、家庭で備えておきたいグッズを紹介します。
在宅避難用のオススメ備蓄品
| グッズ名 | ポイント(一例) |
|---|---|
| 飲料水(1人1日3リットル)、食料 | 最低でも3日分×家族の人数分。大規模災害に備えるなら1週間分 |
| ウォータータンク | 女性や子どもでも持ち運べるサイズ |
| ビタミンやプロテインなどのサプリメント | 災害時は食事が炭水化物に偏りやすいため、サプリメントで栄養を補う。普段から飲みなれておく |
| 常備薬、持病の薬 | – |
| 現金 | さまざまな場面で使えるよう、小銭を中心に |
| 簡易トイレ | 最低でも3日分×家族の人数分 |
| ポータブル電源、ソーラーパネル | 停電しても、自力で電力を供給できる |
| ランタン、強力ライト | – |
| ティッシュペーパー、トイレットペーパー、生理用品 | – |
ウォータータンクは大容量タイプを選びがちですが、女性や子どもが運ぶ可能性を考えると、コンパクトなものを選んだ方が安心です。
長谷川「断水時の水の配給の際、10リットル以上を女性一人で運ぶのはとても大変です。ご自身が確実に持ち運べる量のウォータータンクを選びましょう」
また、飲料水や食品などを備蓄できている人は多いものの、防災食はおにぎりやパンなど、炭水化物に偏りがち……。そんな非常時にも手軽に栄養を補えるのが、ビタミンやプロテインなどのサプリメントです。
浅野「栄養が偏ると、口内炎に悩まされることもあります。普段から粉末の青汁やプロテイン、ビタミン剤などを生活に取り入れ、多めに購入してストックしておけるといいですね」

100種類以上を食べ比べた女性防災士・浅野のオススメ防災食を紹介
備蓄品の中でも気になるのが、食料品。防災士の浅野はどんな備蓄をしているのでしょうか。防災食を中心に紹介してもらいました。

浅野「飲料水は、15年保存できるものをまとめ買いしています。防災食は、防災に関する新規事業開発に携わったときに100種類以上食べたので、そのときに特においしかったものを選びました。常温でも食べやすく、いざというときも食欲が湧くものがそろっています。 私個人のイチオシは『IZAMESHI(イザメシ)』シリーズの『梅と生姜のサバ味噌煮』です。子ども食堂で数種類の防災食を食べてもらったことがあるのですが、子どもたちの食いつきが非常によく、ハンバーグよりも人気の会もありました」

家族間で話し合って防災意識を高めておくことも大切
家族で生活している場合は、集合場所や連絡手段の確認も欠かせません。普段から「災害が起きたらどう動くのか」というイメージをみんなで共有しておくことが大切です。
多くの人は防災対策を「特別なもの」と捉え、つい後回しにしがちです。しかし、今回話を聞いた3人は「日常と切り離さず、もっと身近に感じてほしい」と口をそろえます。
宮崎「我が家では、普段から子どもと一緒にニュースを見たり、地震のメカニズムを説明したりして『地震はいつでも起こり得るもの。きちんと備えておこう』という意識づけをしています。また、いざというときに連絡がとれるよう、両親の電話番号を暗記させています。そして、避難リュックや備蓄は『完成したら終わり』ではなく、使用期限や賞味期限が切れていないかを定期的に点検する必要があります。こうした点検作業も、日常の一部に組み込んでもらえたらいいですね」

女性目線の防災を考えるイベントを大東建託本社で開催
3月8日の「国際女性デー」を前に、大東建託は2026年2月13日、女性目線で企画した防災イベントを開催しました。本イベントは、さまざまな部署の有志メンバーによって構成されている、「いろどりLAB」が企画。いろどりLABとは、女性をはじめとした全ての従業員が継続して活躍できる環境を整え、企業の持続的な成長に繋がることを目的に発足しました。「ずっとここで。十人十色を活かせる企業に。」をスローガンに、みなさんがいきいきと働ける環境づくりを目指し、活動しています。
本イベントでは社員だけでなく、本社が入居する「品川イーストワンタワー」で働く他社の人も対象に、避難時のVR体験やAED講習、非常食の試食などを実施。女性防災士が選んだ防災グッズリストなども掲示され、普段はあまり意識しない女性ならではの防災の必要性を考える機会を創出しました。



本イベント以外にも、大東建託グループでは普段から社会貢献活動「地域コミュニケーション活動~防災備蓄食試食会~」を開催しています。地域コミュニケーション活動とは地域の皆さまとともに地場企業の一員として、地域特性に応じた当社らしい活動を通して、地域活性化や地域への価値提供と、持続可能な街づくりへの貢献を目指している活動です。
また、いざという時に集える防災拠点となっている「ぼ・く・ラボステーション」の支店では、全国各地で地域一体型の防災イベントを開催し、“もしも”に頼れる次世代の育成を目指しています。一人でも多くの方に防災に興味を持ってもらえるよう、今後も防災教育を広める活動を進めていきます。



























「避難生活では、目立つ色の服や露出の多い服装は避け、派手なメイクやアクセサリーなども控えた方がいいでしょう。下着も女性ものと分かりにくい、ボクサー型ショーツやカップ付きタンクトップを用意しておくと安心です。 また、常に複数人で行動するのも鉄則です。トイレの際は外から声をかけ続け、同伴者の存在を周囲にアピールしてください。そして、防犯ブザーやホイッスルを持ち歩き、寝るときも常にそばに置きましょう。子どもも犯罪被害に遭いやすいので、こうした対策はお子さんにも言い聞かせてほしいです」