
PROFILE この記事の登場人物

淺田 裕太 施工管理部 施工管理課/1級建築施工管理技士・1級土木施工管理技士(大東建託)
2015年にさいたま支店 工事課に入社。2020年に施工管理部施工管理課へ異動。現在は、主に施工現場・担当者業務の省力化・効率化の推進業務に従事している。
近年、需要が増している建設現場の「施工管理」。おおよそ10年後には団塊世代の離職が予想され、若手人材は未経験でも積極的に採用される傾向にあります。ICTの活用などによって業務を効率化し、ワークライフバランスに配慮する職場も増えてきました。
今回はそんな施工管理について、知っておきたい基礎知識や業務内容などについて解説します。
建設現場で工事の安全と進行を管理! 施工管理の役割とは

施工管理とは、工事がスムーズに進むよう現場を管理する仕事です。とはいえ、赴くのは現場だけではありません。オフィスでの書類作成や打ち合わせ、諸官庁での手続きなども行います。
業務範囲が広い分、業務量が膨らみがちですが、近年ではICTやリモートワークなどを活用し、仕事の効率化を進める動きが活発になっています。管理する工事は主に2種類。住宅や商業施設、ビルなどの「建設工事」と、道路や鉄道、ダム、橋などの「土木工事」です。職場によっては電気設備などの「電気工事」、工場設備や生産設備などの「プラント工事」にも携わります。
そのため、施工管理の活躍フィールドはゼネコン、ハウスメーカー、リフォーム会社、不動産管理会社、インフラ業界など多岐にわたります。
必要な資格はある?
施工管理の業務を行うことは、とくに資格がなくても可能です。ただし、一定の実務経験を積んだ後は次のような資格の取得が推奨されます。工事の規模によっては、資格を持つ管理技術者を1人以上配置することが法で定められているためです。
| 資格名 | 概要 |
|---|---|
| 建築施工管理技士(国家資格) | 住宅・マンション・商業施設・オフィスビルなど建築工事の施工管理を適切に行うための資格 |
| 土木施工管理技士 (国家資格) | 道路、橋、鉄道、トンネル、ダム、河川などのインフラ設備の工事現場で施工管理を適切に行うための資格 |
| 管工事施工管理技士 (国家資格) | 水道、ガス、空調設備など、配管工事の施工管理を適切に行うための資格 |
| 電気工事施工管理技士 (国家資格) | 発電や変電設備、照明や配電などの電気設備工事の施工管理を適切に行うための資格 |
| 電気通信工事施工管理技士 (国家資格) | 固定電話、携帯電話、インターネット、Wi-Fi、防犯カメラなど通信機器の利用を可能にする施工管理を適切に行うための資格 |
| 建設機械施工管理技士 (国家資格) | ショベルカーなど建設機械の施工に関する管理を適切に行う資格。技能講習を別途受けると建設機械の検査、運転も可能になる |
| 造園施工管理技士 (国家資格) | 公園、庭園、テーマパーク、道路の緑化などさまざまな造園の施工管理を適切に行うための資格 |
資格を取得すると、責任のある仕事を任される機会が増えます。自身のキャリアアップにもつながるのです。
お金の管理からスケジュールの管理まで! 施工管理の仕事内容を解説

続いて、仕事内容を見ていきましょう。施工管理の代表的な業務は「安全管理」「品質管理」「工程管理」「原価管理」の4つです。それぞれの詳細について解説します。
業務01. 安全管理
安全管理とは、作業員が安全に働けるよう、現場やその周辺の安全を確保する業務です。建設現場は高所で作業をしたり、クレーンやショベルカーを操縦したり、事故やけがのリスクが考えられます。そのため、施工管理の4つの業務のなかでも安全管理は優先されるべき業務です。
具体的には、現場ごとに起こりうる危険をあらかじめ想定し、その対策を打ちます。機材や装具などの整備、作業員の体調管理、作業員への注意喚起、安全パトロールなども欠かせません。
業務02. 品質管理
品質と聞くと強度やデザインなどの建物自体の品質を想像するかもしれません。しかし、施工管理職が管理するのは「工事」の品質です。設計図や施工計画書のとおりに工事が進むよう管理を行います。これが結局は建物自体の品質につながります。
工事の品質管理をする主な方法は、検査と写真撮影です。資材は発注どおりに届いているか、鉄筋は図面どおりの配置か、予定どおりの施工方法で行われているか。進捗や現場に応じて検査を行い、工事の過程を写真に撮って記録します。この記録写真は、あとで問題が起こったときの原因究明などに役立ちます。
業務03. 工程管理
工程管理とは、工事が計画どおりに進むよう、スケジュールや進捗を管理する業務です。工事の開始である「着工」から、完了である「竣工」までの工程表を作成し、工程表に基づいて作業員や資材、建築機材を手配します。
建築工事は遅れが生じたり、悪天候や資材納入のトラブルなど予期できない事態が起こったりすることも珍しくありません。そうした場合にも竣工日を遅らせないよう段取りをし、作業員や関係各所とコミュニケーションを取りながら、柔軟に対応していきます。
業務04. 原価管理
工事には予算がつきもの。その予算内に収まるように計画を立て、工事費用を管理する業務が原価管理です。工事を進めると、人件費や材料費、業者への外注費、建設機械のレンタル費、現場で使う水道光熱費や通信費などが発生します。このような費用をあらかじめ計算し、計算どおりになるよう進め、利益を生み出すことが重要です。
計画していたよりも支出が増えた場合は、コストカットできる部分を模索し、どうしても必要であれば会社へ予算修正を提案します。
街に成果が残り、多様な経験で成長できる。施工管理のやりがいとは?

施工管理の仕事内容について理解できたかと思いますが、具体的にどういったやりがいがあるのでしょうか。主なものについて見ていきましょう。
成果が残り達成感がある
施工管理の成果は、建造物という形で残ります。自分が携わったマンションやショッピング施設が大勢の人で賑わい、新たな楽しみを提供することもあるでしょう。道路や上下水道などのインフラを整備したなら、「社会に貢献している」と実感できるはずです。
建築工事は数ヶ月から数年かかるプロジェクトが多く、施工管理はさまざまな問題に対応する日々かもしれません。だからこそ、建造物の規模の大小にかかわらず、完成後には大きな達成感を得やすいのです。
成長を実感できる
工事現場によって土地や建物が異なり、多種多様な経験が積めるのも、施工管理の魅力です。続けるほどに自身の成長を実感できるでしょう。「建築施工管理技士」などの資格を取得すると仕事の裁量は広がり、さらにキャリアップが見込めます。
また、工事をスムーズに進めるにはお施主さま、下請業者さま、周辺地域近隣の皆さま、現場の作業員などとの協力も欠かせません。コミュニケーション能力や問題解決能力などのビジネススキルも自然と磨かれていくでしょう。
必要なのは協働力や調整力? 施工管理に向いている人の特徴とは
どのような人が施工管理に向いているのかについても見ていきましょう。次のような素質があると、施工管理として活躍しやすいと考えられます。
コミュニケーション能力がある
施工管理の仕事は、お施主様、下請業者さま、周辺地域近隣の皆さま、現場の作業員など、さまざまな方と接しながら進めます。そうした関係各所の方々を取りまとめるには、コミュニケーション能力とマネジメント能力が求められます。
自分より立場や年齢が上の相手でも、交渉や指示出しができるか。作業員の話をよく聴き、一人ひとりの性格や能力を把握して適切に人材が配置できるか。こうした取り組みが、全体のパフォーマンス向上につながります。
危機管理能力がある
危機管理能力とは、トラブルが生じたときに迅速かつ適切に判断して行動する能力です。危機が訪れても、解決に導いたり被害を最小限に抑えたりできます。前述のとおり、建設現場は高所での作業やクレーンなど大型機械の操縦があり、事故やけがの発生も想定されます。事故などのトラブルが起これば、作業員の命にかかわり、工程の遅れも生じてしまうでしょう。
危機管理能力があれば、現場に潜むリスクを把握し、必要な安全管理を行いやすくなります。
スケジュール調整力がある
工程管理は、施工管理の重要な業務の一つです。工事を予定どおりに完了させるには、工程表と進捗状況を照らし合わせながら、スケジュールを調整する力が必要です。例えば、天候悪化によって作業中断を余儀なくされた場合、影響を最小限に抑えるために、屋内でできる準備作業に切り替える方法などがあります。
緻密なスケジュールを立てても、建築工事は大小さまざまなトラブルが起こります。どんな場合にも冷静に、工事スケジュールが遅れないよう臨機応変に対応することが大事です。
マルチタスク能力がある
複数の作業を同時に進めるマルチタスク能力も、施工管理に役立ちます。施工管理は現場の進捗管理から安全管理、オフィスでの書類作成、社内外の関係者との打ち合わせ、諸官庁での手続きまで、幅広い業務を担うためです。
例えば、現場の進捗管理をしながら、お施主さまとの打ち合わせに必要な資料の準備に迫られることもあります。そうした場合にもマルチタスク能力があれば、複数のタスクに優先順位を付け、効率よく作業を進めていけるでしょう。
働き方に関する課題はどうなる? 変わりつつある施工管理の現場

ここまで紹介してきたように、施工管理は業務の範囲が多岐にわたります。これは大きなやりがいにつながる一方で、課題でもあります。業務量が膨らむことで、休日が少なくなり、残業が多い状況に陥りやすいのです。
ただし、2019年4月から始まった「働き方改革」に伴ういくつかの法改正により、2024年4月から時間外労働の上限規制が設けられました。さらに政府が建設現場の週休二日制や女性活躍を後押しする動きや、ICTによる業務効率化なども活発化しています。働き方に関する課題は簡単に解決できるものではありませんが、その見直しは、業界全体で進んでいるといえるでしょう。
【まとめ】施工管理は業務範囲が広く、成長が実感しやすい職種
成果が建造物という形で残り、やりがいが大きい施工管理の仕事。資格取得や経験を積み重ねることで成長を実感しやすい職種でもあります。資格はまだ持っていない。業界は未経験。そうした人でも素質があれば、施工管理としてのキャリアップが期待できます。
業務量の多さが課題ですが、会社によってはICTの活用などにより業務の効率化が進んでいます。働き方の見直しが活発になるつれ、施工管理は今後、男女ともに活躍するチャンスがより広がっていくでしょう。




















