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【温故知新~未来へのバトン~】Vol.2 「2×4工法」商品の歴史:前編 ——木造賃貸住宅を全国へ

2023.10.17
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【温故知新~未来へのバトン~】Vol.2  「2×4工法」商品の歴史:前編 ——木造賃貸住宅を全国へ

PROFILE

清水 蒔子

清水 蒔子 商品開発部 商品開発課(大東建託)

新卒として入社後、八王子支店の設計課で2年間設計業務に従事。その後商品開発部へ配属となり、現在は新商品の意匠(建物デザイン)を担当。「ニューライズ」をメインに担当する他、「ルタンⅢ」「ポポラ」などの商品開発にも携わる。商品開発歴4年。

田﨑 俊幸

田﨑 俊幸 商品開発部 課長(大東建託)

大東建託初となる「2×4(ツーバイフォー)工法」による賃貸住宅の商品開発に関わり、発売当時大ヒットとなった「ニュークレストール24(ツーフォー)」を誕生させた生みの親。現在はスペシャリストとして商品開発に携わりながら後進の育成にも取り組む。商品開発歴29年(その他の本社歴も一部含む)。

永井 千尋

永井 千尋 商品開発部 商品開発課(大東建託)

新卒として入社後に商品開発部へ配属される。大東建託の高付加価値商品シリーズ「シエルオーナー」「シエルガレージ」などの商品開発に携わる他、環境配慮型商品「ニューライズ」の意匠も担当。商品開発歴4年。

創業50年目を迎えた、大東建託の商品開発の歴史を振り返る連載シリーズ「温故知新 ~未来へのバトン~」。商品開発の最前線で戦い続ける社員とともに時代の変遷を辿りながら、これまでの大東建託のあゆみや、商品開発における想いをひも解いていきます。

第2回目の前半は、商品開発部課長の田﨑さん、後輩社員の清水さん・永井さんの3名による座談会です。今回は大東建託の“2×4(ツーバイフォー)工法の歴史”に焦点を当て、当社初の「2×4工法」による商品の誕生から、主力工法へと成長するまでの軌跡を辿っていきます。

(本メディアのリニューアルに伴い、2024年11月30日に編集しています)

2✕4(ツーバイフォー)工法

19世紀初めの開拓時代に北米で生まれた、床・壁・天井の6面が一体となる強固な箱で構成された工法。名前の由来は、主に使用される構造用製材の断面のサイズが「2インチ×4インチ」であることから。日本国内では、札幌の時計台はじめ、100年以上前から導入されている。

「2✕4(ツーバイフォー)工法」とは?

バトン1 起死回生の一手「ニュークレストール24」の誕生

清水「まずはじめに、鉄骨造主軸でやってきた大東建託が、なぜ新たに『2×4工法』に挑戦することになったのでしょうか? 鉄骨造のままでは難しかったのでしょうか?」

清水 蒔子
田﨑 俊幸 田﨑

「その理由は、私自身の入社時である1992年までさかのぼりますね。当時商品開発部には、私と『2×4工法』経験を持つ社員の2人が同時期に入社しており、私たちが商品開発担当となったことで、『2×4工法』による商品開発が本格的に始まることとなります。その頃はまだ鉄骨造が主流でしたが、鉄骨造だと建てることが難しい敷地や、家賃を抑えたいエリアに向けた新たな販売促進策として、木造の『2×4工法』の商品開発がスタートしたんです。その後、地域限定商品ではありましたが、初めて『2×4工法』を導入したののが『クレストール24』という商品です。この『クレストール24』がその後、爆発的に大ヒットした『ニュークレストール24』へとつながっていきます」

清水 蒔子 清水

「『木造2×4工法』という言葉自体がまだ新しく、しかも鉄骨造が当社ではまだ主力だったなか、社員もクレストール24の販売には苦労したのではないでしょうか?」

田﨑 俊幸

田﨑「『2×4工法』の営業や設計・施工体制が社内でまだ整っておらず、そう上手くは売れなかったですね。販売開始(リリース)に合わせ、私たち商品開発担当者が支店で説明会も行いながら社内浸透を図っていましたが、新しい工法の商品を懐疑的に思う社員も多く、なかには『あれ(2×4工法)には手を出すな』と敬遠されていたのも事実です。

しかしそんな状況にもかかわらず、 「今度は一般地域(全国)向けに新たな2×4商品を作ってほしい」と号令が掛かったんです。当時売上げが伸び悩む状況のなかでの経営判断だったようで、創業者がこの頃に視察で訪れたアメリカで『2×4工法』の住宅を目の当たりにし、可能性を見出したことがきっかけでした。当の そして、起死回生を狙ったこの商品のもう一つの条件は「輸入住宅っぽい賃貸住宅」というものでした。

永井「“輸入住宅っぽいもの”という指示に対して、どうやってデザインへ落とし込んでいったんですか?」

永井 千尋
田﨑 俊幸 田﨑

「まず輸入住宅風デザインのイメージを膨らませるために、視察地だったアメリカに限らず、雑誌や旅行パンフレットに載った住宅の写真など、あらゆるものを参考にしながら、商品アイデアを考えました。でも、ようやく完成した初回プレゼンでの経営層の評価は『今までの賃貸住宅と何も変わっていない』のひと言。まったくダメでしたね」

出来上がった最初の「輸入住宅風デザイン」は、従来からある中階段タイプだった
1回目プレゼン時のフロアプラン。当時の集合住宅で一般的な「中階段形式」を採用した
永井 千尋 永井

「『変わっていない』という指摘を受け、変化を出すためにどうアプローチしていったんですか?」

田﨑 俊幸 田﨑

「初回プレゼンでは、日本にある賃貸住宅(共同住宅)の住戸形態をそのままに、外観を輸入住宅っぽくデザインしていました。ですので、2回目のプレゼンでは『外観だけじゃなく根本から変えなくてはいけない』と、原点に立ち戻ってプラン(間取り)から考え直すことにしたんです。再考した商品デザインが完成したのは、初回プレゼンからわずか2週間後でした」

2回目プレゼンのデザイン画。外観だけでなく屋根形状や間取りも一から考え直し、1つの「邸宅」に見えるような、これまでにないデザインが完成した
2回目プレゼン時の外観デザイン案。海外住宅を模した「輸入住宅風デザイン」の外観が完成
2回目プレゼン時のフロアプラン。各階に配置されていた玄関が1階に集約されたことで、1Fと2Fの間取りが異なる賃貸住宅が完成した
永井 千尋 永井

「ここから2週間で新たなデザインとプレゼン資料を作ったのはすごい! これはいわゆる「長屋住宅※1」という形態ですよね。なぜこの形に行き着いたんですか?」

※1
廊下や階段などの共用部分を持たない集合住宅

田﨑「『2階住戸の玄関が、1階にあっても面白いんじゃないか』という発想がきっかけでした。もともとアメリカは戸建住宅がメインだったため、新たなデザインでは戸建住宅らしい外観を残しながら集合住宅の間取りを取り入れることにしたんです。そこでポイントになったのが“玄関”でした。2階住戸の階段を住戸内の専用階段にし、1階に玄関を配置することで外部階段や共用廊下をなくし、より戸建感覚あふれる外観シルエットと間取りが実現できたんです」

永井 千尋 永井

「再プレゼンした時の反応はどうだったんですか?」

田﨑 俊幸 田﨑

「資料を見せた途端に、『これが自分の家だったらいいなぁ!』と好評価を受けました。即商品化が決定し、そこから2ヶ月半後にフラットタイプ※2とメゾネットタイプ※3の2タイプ、計22プランが、全国に一斉販売されることが決まりました。こうしてできたのが、『ニュークレストール24』です。社内に浸透しづらかったクレストール24から一転、ニュークレストール24は社員にも好評となりました」

ニュークレストール24

「大東建託が1995年にリリースした、『2×4工法』による木造賃貸住宅。長屋形式、フラットタイプとメゾネットタイプの同時展開、1階に設けられた2階住戸用の玄関など、あらゆる面でエポックメイキングな商品であり、全国的にも大ヒットした。

「ニュークレストール24」とは?
※2
1階層からなる部屋
※3
室内に階段があり、2階層以上からなる部屋
完成した「ニュークレストール24」。開発着手から2ヶ月半で販売開始に至った
当時の商品パンフレットに掲載された内観(メゾネットタイプ)から一部抜粋。玄関から2階リビングまでの吹き抜けや、戸建で使われる建材をの採用など、これまでのアパートとは一線を画した、魅力ある空間となった
永井 千尋 永井

「構造や住戸形式が異なる2タイプを同時に販売開始するのは、今では考えられないことです。同じく私が担当した『NEWRiSE(ニューライズ)』は、2023年9月に新たな2LDKタイプの間取りが増えましたが、現在の商品開発では、同時進行で複数タイプの商品開発をすることはなく、少しずつタイプを増やしていくことが当たり前ですから」

バトン2:「2×4工法」を全国へ。木造賃貸住宅の本格展開 次のページ
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