
PROFILE この記事の登場人物

清水 蒔子 商品開発部 商品開発課(大東建託)
新卒として入社後、八王子支店の設計課で2年間設計業務に従事。その後商品開発部へ配属となり、現在は新商品の意匠(建物デザイン)を担当。「ニューライズ」をメインに担当する他、「ルタンⅢ」「ポポラ」などの商品開発にも携わる。商品開発歴4年。

田﨑 俊幸 商品開発部 課長(大東建託)
大東建託初となる「2×4(ツーバイフォー)工法」による賃貸住宅の商品開発に関わり、発売当時大ヒットとなった「ニュークレストール24(ツーフォー)」を誕生させた生みの親。現在はスペシャリストとして商品開発に携わりながら後進の育成にも取り組む。商品開発歴29年(その他の本社歴も一部含む)。

永井 千尋 商品開発部 商品開発課(大東建託)
新卒として入社後に商品開発部へ配属される。大東建託の高付加価値商品シリーズ「シエルオーナー」「シエルガレージ」などの商品開発に携わる他、環境配慮型商品「ニューライズ」の意匠も担当。商品開発歴4年。
創業50年目を迎えた、大東建託の商品開発の歴史を振り返る連載シリーズ「温故知新 ~未来へのバトン~」。商品開発の最前線で戦い続ける社員とともに時代の変遷を辿りながら、これまでの大東建託のあゆみや、商品開発における想いをひも解いていきます。
第2回目の前半は、商品開発部課長の田﨑さん、後輩社員の清水さん・永井さんの3名による座談会です。今回は大東建託の“2×4(ツーバイフォー)工法の歴史”に焦点を当て、当社初の「2×4工法」による商品の誕生から、主力工法へと成長するまでの軌跡を辿っていきます。
(本メディアのリニューアルに伴い、2024年11月30日に編集しています)
バトン2 「2×4工法」を全国へ。木造賃貸住宅の本格展開

田﨑「『2×4工法』でやることになった直接的な要因は特にないと思っています。『2×4工法』の目新しさと海外の合理的な作り方に、創業者自身が可能性を感じたのではないでしょうか。もちろん、当時の当社には『2×4工法』の施工体制はなく、材料調達も施工体制も一から作り上げていくしかありませんでした。しかも、『ニュークレストール24』は輸入住宅風の外観が人気を集め、テレビCMも流していたこともあり、入居待ちが出るほどの人気商品になっていました。
想像以上の反響に施工体制が追い付かず、販売しながら各地域の体制を整えていかなくてはいけませんでしたね。それでも全国展開を進めていけたのは、創業者のカリスマ性とリーダーシップによって、施工体制整備のために社員一丸となれたことが大きな原動力になっていたと思います」
清水「全国展開に向けて、どのように材料調達と施工体制を整備していったんですか?」
田﨑「『ニュークレストール24』で使用する木材やサッシなどの建材は全て海外から調達することになり、安定した供給網を築くためにカナダのバンクーバーに法人を設立しました。ところが、建材の調達は目途が立ったものの、建材に関する図面などの資料はまったくなく、「納まり(部材の取り付け方など)」も全然わからない。資料を取り寄せてみても中身は全て英語表記ですし、何もかも手探りの状態からのスタートでした。
一方、施工面では、当時は『2×4工法』の経験がある職人は国内におらず、現場指導のためにカナダから直接職人を呼ぶところから始めることに。私たちも商品開発を進める傍らで、施工体制整備に向けた施工マニュアル作りも行っていました。大東建託の『2×4工法』の体制は、職人や技術者を育てながら整備されてきたんです」
豊富な森林資源を持つカナダの最大都市、バンクーバーに設立された大東カナダトレーディング株式会社。現地製材所との連携などを通じ、安定的かつ適正価格での木材調達を行い、2030年までに持続可能な木材調達比100%を目指します。
プレスリリース
永井「『2×4工法』の体制作りには大変な苦労があったんですね。『2×4工法』が定着した後も、大東建託は新たな工法の開発などに挑んできたのはなぜでしょうか?」

田﨑「『2×4工法』は『ニュークレストール24』の開発をきっかけに、大東建託の主力工法へと成長しましたが、その道のりは平坦なものではありませんでした。
特に、1994年にアメリカ(クリントン大統領政権下)で策定された森林計画を受け、輸入木材を入手できなくなくなったことを背景に、木材ではない『スチールハウス工法』に取り組んだ時期もあります。その後、木材に頼らない当社オリジナルの『Kブレース工法(鉄骨造)』の開発や、国内林業活性化に向け国産材を活用した『ネオフレーム工法※4』、現場の作業負荷が少ない『エコプレカット工法』などの開発が進められました。このように、当社の商品開発はさまざまな社会課題と向き合うことで多様化してきたんです」
永井「社会やニーズの変化さえも柔軟に受け入れてきたことが、大東建託の成長つながっているんですね」
バトン3 暮らしの変化に合わせた新しい挑戦
永井「最後に、田﨑さんの考える“大東建託らしさ”とはどんなものでしょうか?」

田﨑「昔から言われてきたことが、『会社のアイデンティティを作りなさい』という言葉です。昔の商品は“賃貸住宅らしからぬ住まい”を追求し、輸入住宅風や邸宅風のデザインとすることで、その独自性を確立してきました」
永井「確かに、外観を見ただけで大東建託の建物だとわかります! そう考えると、最近の商品はより建物のなかでの“暮らし”に焦点を当てていて、外観よりも真取りの方で“豊かさを表現するように変化してきているように感じました」
田﨑「時代の変化とともに、人々の価値観や暮らし方は変わっていくものです。例えば、最近の商品のなかには、これまでの賃貸住宅には当たり前にあった『バルコニー』に代わり、太陽の光を多く取り入れることができる『サンルーム』を採用した間取りも出てきていますね。これも近年の小家族化やライフスタイルの多様化に合わせた新しい挑戦だったと思います」
サンルーム仕様の間取り例(KLEUR PiT〈クルールピット〉の場合)。入居者さまの暮らしにゆとりをプラスする自由な空間「エクストラルーム」が設置されている
田﨑「商品開発の現場でも、私たちの生活を取り巻く環境の変化に合わせて、アプローチの仕方や時間の掛け方などは変わってきていますが、『設計者として自分自身の“想い”を一番大切にする』ということだけは、これからの大東建託を担うみなさんにも、ずっと大切にし続けていてほしいなと思いますね」
清水「今の現場では、商品開発チームのメンバーをシャッフルして、新商品につながるアイデア出しも行っています。互いのナレッジを共有することでチーム間の壁を無くし、枠にとらわれない自由な発想力を育てることが狙いです。田﨑さんのお話を聞いて、一人ひとりが商品にかける“想い”を持つことが、その一歩なのかなと感じました。そして、想いを“新しいものを生み出す力”に変えられるよう、私たちも引き続き挑戦していきたいと思います!」
大東建託の賃貸住宅に関わる全ての方の人生や未来に向き合い、可能性を探求し、より良い建物をデザインしたい… そんな熱い想い・こだわりをもった技術スタッフの仕事内容や建築、オーナーさまの想いなど、さまざまな切り口からご紹介します。
DESIGN the FUTURE


















「大東建託にとって、初めて全国展開する商品が鉄骨造ではなく、『2×4工法』に決まった背景は何だったんでしょう? 前例がないなかでの全国展開は、ハードルも高かったのではないでしょうか?」