
PROFILE この記事の登場人物

戸田 宗稔 商品開発部 課長(大東建託)
RC造商品「リグノ」の商品開発を担当し、当社独自の中層建築向け建築システム「リグノ式」の開発にも携わる。その他、木造企画型商品シリーズである「シエルガレージ」と「シエルオーナー」の商品開発も担当。商品開発歴10年。

今村 由吏 商品開発部 商品開発課(大東建託)
新卒として入社後に支店設計課で3年間設計業務に従事した後、本社の首都圏設計センターで特注RC案件の設計を担当。現在は商品開発部で実物件設計やエクステリア設計プレゼンテーション資料作成等の支店支援に携わる。
創業50周年を迎えた、大東建託の商品開発の歴史を振り返る連載シリーズ「温故知新 ~未来へのバトン~」。商品開発の最前線で戦い続ける社員とともに時代の変遷を辿りながら、これまでの大東建託のあゆみや、商品開発における想いをひも解いていきます。
第3回目の前半は、大東建託が1995年から取り組み始めた「RC造(鉄筋コンクリート造)」商品の開発について。商品開発部課長の戸田さんに、後輩社員の今村さんが話を聞きました。
(本メディアのリニューアルに伴い、2024年11月30日に編集しています)
バトン2 後発の利点を活かすことで生まれた販売戦略
今村
戸田「大東建託は、都市部においては後発で賃貸住宅市場に参入したため、他社にはない独自の価値を創出し、競争力を確立していく必要がありました。そのため、首都圏の販売強化策として最初に取り組んだ戦略は、賃貸効率を高め収益力を向上させることでした。そこで生まれたのが、大東建託が独自に開発した『アンダー10(以下、U10)』という仕組みです。
これは、建物の高さが法規定10m以下のエリア ※3でも、室内天井高2.3mを確保しながら、通常よりも1階層多い4階建ての建設を可能にするシステムです。これにより、『低コストで建てられる木造(2×4工法)の提案』と『賃貸効率の高い4階建てRC造の提案』が可能になり、競合他社の『3階建て鉄骨造の提案』と比較しても同等以上の提案力を得ることができました」
※3 第一種・第二種低層住居専用地域
ライルフィット(2012年)
今村「U10として最初に開発された商品が『ライルシリーズ(2009年~)』ですよね。U10はその後改良され、ユニットバスを上下階で交互に配置することで施工性を向上させた『リグノ』に生まれ変わりましたね」
戸田「そうですね。この新システム開発のために、社内プロジェクトが立ち上げられ、構造・設備・商品開発の担当者がそれぞれの視点から意見を出し合いながら、幅広い議論を行いました。私も商品開発者としてこのプロジェクトに参加していましたが、この改良によって居住性が向上するだけでなく、コスト削減と高さ調整に関わる現場作業の軽減にもつなげることができました。このシステムは『リグノ式』として特許も取得 ※4しています」
特許6662816号
(左)リグノ(2017年)/(右)リグノ式。ユニットバスを上下階で交互に配置することで、 ユニット内上部の設備機器・ダクトスペースと室内天井高2.0mの確保が可能になった
今村「首都圏エリアは敷地条件が複雑なため、特注で建物を設計することが一般的です。なぜ大東建託は、首都圏エリア向けの商品開発に積極的に取り組むのでしょうか?」
戸田「まず、全国で事業を行う大東建託にとって、商品開発には品質の均一性や、支店での設計業務の負担軽減が求められます。これらを踏まえ、首都圏エリアでの販売強化策として、U10を採用した中層建築商品『リグノ』に続き、2021年には高層建築商品『リヴァーサRC ロコモK(以下、ロコモK)』を発売しています」
リヴァーサRC ロコモK(2021年)戸田「この商品の特長は、建物の幅と奥行きを敷地条件に合わせて自由にカスタマイズできることです。『ロコモK』は支店で請け負う特注物件における“ひな形”の役割を担っており、プランごとに設定された仕様基準 ※5によって、積算 ※6から発注に至るまでの詳細な情報がデータ化されています。」

今村さんが言ってくれたとおり、首都圏の複雑な敷地条件下では特注で建てられることがほとんどですが、設計業務〜積算〜発注〜現場管理までの一連の業務を支店で一つひとつ行うのは、非常に大変な作業です。そこで、このロコモKを“ひな形”にすることで、営業担当者はオーナーさまへのスピーディなご提案に、設計担当者はプランデータを活用した設計作業の効率化に、工事担当者は資材の一括調達による品質の安定につなげることができるようになっています」
※5賃貸住宅の品質や性能、機能、特性などを定めるための基準や基準値
建築工事において、建築物の完成に必要な材料や労力、費用などを推定・計算する作業

今村「私は入社後に支店配属になって、すぐに設計担当として現場でプランの設計業務を任されました。まだ右も左も分からない新入社員でしたが、大東建託がこれまで蓄積してきたプランデータや設計資料があったことで、一つひとつ調べながらやれば自分にもプラン設計ができ、すごく助けられた経験があります。商品化によって全てが効率的に設計されているからこそ、積算も精度も高く、建築価格の抑制にもつなげられているんだということが、よくわかりました」
ここまで、大東建託がRC造に取り組んできた意味について、戸田さんにお聞きしました。続く後編では、戸田さんの考える大東建託の商品開発の魅力や、後輩社員に伝えたい想いについて語っていただきます。
大東建託の賃貸住宅に関わる全ての方の人生や未来に向き合い、可能性を探求し、より良い建物をデザインしたい… そんな熱い想い・こだわりをもった技術スタッフの仕事内容や建築、オーナーさまの想いなど、さまざまな切り口からご紹介します。
DESIGN the FUTURE


















