
PROFILE この記事の登場人物

濱田 宏彰 シニアリスクコンサルタント・防犯設備士・防災士・日本市民安全学会常任理事(セコム)
侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続し、各方面に対してセキュリティコンサルティングを実施。地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力している。書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。
闇バイトによる強盗被害をはじめ、侵入犯罪が増えている近年。財産だけではなく自分や家族の命を守るためにも、これまで以上に家の防犯対策に力を入れていく必要があると言えるでしょう。そこで今回は、防犯のプロフェッショナルである、セコム株式会社の濱田宏彰さんに、最近の侵入犯罪の動向や知っておくべき防犯行動、導入しやすい防犯グッズなど、家の防犯対策に役立つ情報を教えていただきました!
盗難・火災などのさまざまな不安から、ご家族と財産を守る「セコム・ホームセキュリティ」をはじめ、金庫、消火器、監視カメラなど実際の機器をご覧いたただける、明るく落ち着いたショールームです。
セコムショップ田園調布
空き巣や忍び込み…… 侵入犯罪の30%は在宅中に発生? 驚きの最新犯罪事情

最近、強盗などの侵入犯罪が増えていますよね……? 近年の侵入犯罪の傾向を教えてください。
濱田「侵入犯罪の件数は、2002年にピークを迎えてから減少傾向が続いていました。しかし、2022年に再び増加に転じ、その後は少しずつ増えてきています。やはりコロナ禍で人々の外出が減少していた時期は犯罪も少なく、コロナが落ち着くにつれて犯罪活動も復活したのではないかと言われていますね。また、景気と治安の関係も古くから指摘されており、経済状況の悪化も影響していると考えられます」
侵入犯罪には、どのような種類があるのでしょうか?
濱田「侵入犯罪は大きく分けて3種類あります。主に人がいない留守宅を狙う『空き巣』。住人の就寝中にこっそり入って物を盗む『忍び込み』。そして、住人が起きて生活している日中に別の部屋などからこっそり侵入して物を盗む『居空き(いあき)』です。かつては空き巣が8割程度を占めていましたが、近年は忍び込みや居空きの割合が若干伸びてきていますね」
住宅侵入盗の件数は、ピークだった2002年の約1/10ほどまで減少している。近年は、忍び込みや居空きの割合が増加傾向に(警察庁の資料をもとにセコムが作成)
住宅侵入における在宅割合は、10年前に比べると約10%増加。2021年をピークに減少傾向にあるものの、2024年も30%以上と高い割合を示している(警察庁の資料をもとにセコムが作成)侵入犯がよく使う手口には、どのようなものがありますか?
濱田「近年では、無施錠のドアや窓から侵入する手口が増えています。その理由は、住宅の鍵などの防犯性能が向上し、ピッキングやガラス破り※1での侵入が難しくなったから。特にCP製品※2が普及したことにより、侵入犯も『壊して入るよりも、鍵のかかっていないところから入るほうが効率がいい』と考えるようになりました」
※1
防犯性能が高い建物部品であることを示す「CPマーク」。CPの由来は、「防犯」を意味するCrime Prevention の頭文字から濱田「ただし、ガラス破りは今でも存在します。また、屋上からロープで降りてベランダから入る『下がり蜘蛛』と呼ばれる手口や、脚立などを使って2階の窓から入るケースもありますので、油断は禁物ですよ」
最近だと、いわゆる「闇バイト」による侵入犯罪も増えていますよね。
濱田「『SNSで見かけた高額バイト募集に応募したら、実は強盗の仕事だった』というケースが増えています。現在、警察では『もし闇バイトに関わってしまった場合、すぐに相談するように』と啓発活動を行っており、実際に警察に相談したことで助かったという人も増えているようです。
プロの侵入犯は通常、住民との鉢合わせを避けようとします。しかし、闇バイトに関連する犯罪は、指示役が実行犯に『住民と鉢合わせたらバットを振り回せ』などの暴力的な指示を出していることが多く、犯罪の凶悪化につながっているんです」
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(出典:特殊詐欺加害防止 特設サイト|東京都 どっちが闇バイト? クイズでわかる “危険な求人情報”の見分け方)

侵入〜犯行までの時間はわずか5分!? 家の防犯“7つのルール”
ここからは、侵入犯罪を事前に防ぐための家づくりのポイントや、いざという時のための心構えなど、これだけは押さえておきたい「7つのルール」を、濱田さんに伝授いただきました。
ルール01|樹木や塀などで、“人の目が届きにくい家”は狙われやすい

濱田「侵入犯は『人の目が届きにくい家』を狙います。具体的には、木がうっそうとしている家や、畑に囲まれた家、住宅街の端っこにある家などですね。また、ブロック塀が高い家は、侵入が面倒ですが、一度敷地内に入ってしまえばブロック塀が目隠しになるため、意外と狙われやすいといえます」
ルール02|“華やか”& “防犯意識高め” な家は犯人を遠ざける

濱田「クリスマスにイルミネーションを飾ったり、ガーデニングに凝っていたり、通行人の目を集めるような家は、侵入犯が近寄りにくい傾向になります。また、たとえば脚立をチェーンで柱につないでいるなど、防犯意識が高そうな家も、『ここはやめておこう』と考えるようですね」
ルール03|ちょっとゴミ出しへ…… が命取りに。基本はとにかく“施錠の徹底”

濱田「侵入犯を防ぐための、もっとも基本的で重要な防犯行動は、なんといっても施錠を徹底することです。当たり前のことかもしれませんが、東京のような都心部でも、「ちょっとゴミ出しに行く時は玄関の鍵をかけない」という人は意外と多いです。外出時はもちろん、在宅時も必ず鍵をかける習慣をつけておきましょう。窓についても同様です。換気のために窓を開ける場合は、自分がいる場所から目の届く範囲の窓だけを開けてください。たとえば、2階の窓を開けたまま1階のキッチンで作業をするのは避けたほうが良いでしょう」
ルール04|自己承認欲求を抑えて。”外出・旅行なう”をSNSで知らせない

濱田「SNSで『今、旅行に来ています』といった投稿をすることは、侵入犯に留守であることを知らせるようなものなので、やめてください。今の時代、誰があなたのSNSをチェックしているか分かりません。楽しい思い出は、帰ってきてからシェアしましょう」
ルール05|人と鉢合わせたら”3つのない”で身の安全を最優先

濱田「もし在宅中に侵入犯と鉢合わせしてしまったときは、身の安全を最優先に行動することが重要です。抵抗しない・戦わない・敵意がないことを示し、侵入犯を逃がすことを優先してください。もし金品を要求された場合は、言われたとおりにしましょう」
ルール06|家を荒らされても物を片付けない“現場保存”に努める

濱田「帰宅後に侵入された形跡に気付いた場合は、現場保存が基本です。『何がなくなったかな?』と盗まれた物を確認したり、警察が来る前に散らかった部屋を片付けたくなるかもしれませんが、これらの行動は絶対にやめてください。指紋など、侵入犯が残した痕跡が消えてしまう可能性があるからです。警察が到着するまでは、家の中で待たずに外で待つようにし、現場には触れないようにしましょう。また、日頃から部屋を整理整頓することも大切です。整理整頓されていれば、万が一被害に遭った際に何がなくなったかすぐに気付きやすく、警察への届け出や捜査もスムーズに進みます」
ルール07|一度あることは二度、三度ある。侵入犯はリピートの傾向あり

濱田「中には、同じ侵入犯に二度入られた家もありますね。一回目の侵入時には金庫は無事だったのに、二回目の侵入時には金庫が狙われたんです。これは、一回目の侵入時に金庫の場所を把握していたからでしょう。一度入った家は、侵入犯にとって『下見』ができている状態なので、再び狙いやすいのかもしれませんね」
取り付けるだけ&工事不要。導入しやすい防犯グッズ

侵入犯罪への基本的な対策は分かりましたが、まだ不安です。一般の家庭でも導入しやすい、オススメの防犯グッズはありますか?
濱田「いくつかオススメの防犯グッズがあるので、ひとつずつ紹介しますね」
補助錠
窓などに取り付けることで、鍵が一つしかない“ワンドア・ワンロック”を、鍵が二つある状態の“ワンドア・ツーロック”にすることができます。ホームセンターなどで手頃な価格で購入でき、簡単に取り付けられますよ。取り付け位置としては、窓の下のほうよりも、人目につきやすい上のほうがオススメです。
見落としがちだが、サッシの下に備え付けられた補助錠をかけておくことも効果的スマートロック
ドアの鍵部分に取り付けることで、スマートフォンの操作や自動機能で施錠・解錠ができるようになります。ドアから離れると自動で施錠される機能を持つものもあり、鍵のかけ忘れを防ぐのに効果的。ドアの内側に取り付けるタイプであれば、比較的導入しやすいでしょう。
センサーライト
人が近づくと自動的に点灯するライトです。夜間に泥棒が敷地内に侵入しようとした際、突然ライトが点灯することで、「見つかるかもしれない」という心理的なプレッシャーを与えることができます。配線工事が不要で、簡単に取り付けられるタイプもあります。
防犯フィルム
窓ガラスに貼ることで、ガラスを割られにくくするフィルムです。既存の窓ガラスに後付けできるため、防犯ガラスへの交換よりも安価ですが、綺麗に貼るにはプロに依頼したほうが良い場合も。鍵付近だけに貼る人もいますが、窓ガラス全面に貼ったほうが効果的です。
防犯砂利
敷地内の通路などに敷き詰めることで、その上を歩くと大きな音が出る砂利です。泥棒が侵入しようとした際に音が出ることで、住民に気づかれるリスクが高まり、侵入を抑止する効果があります。音によって、住民が侵入に気づくことも期待できます。
「賃貸物件の場合、建物の外観に関わるものや、壁に穴を開けるなどの工事が必要なものは、管理会社や大家さんの許可を得るのが一般的です。センサーライトや防犯カメラなどを建物の外壁に取り付けたり、ドアの外側に補助錠などを設置したいときは、事前に確認することをオススメします」(濱田さん)

まずは「施錠」を徹底することから始めよう!
基本的な対策をしっかり行った上で、こうした防犯グッズも活用すればだいぶ安心ですね。最後に、改めてアドバイスをいただけますか?
濱田「もっとも伝えたいのは、『何はなくとも、鍵をかけてください』ということです。やはり、基本的で効果的な防犯対策は施錠の徹底。これはお金もかからず、すぐに始められる対策なので、ぜひ今日から心がけてみてください。具体的な行動としては、帰宅したらすぐに鍵をかけること、家にいるときでも鍵をかける習慣をつけること、ゴミ出しなどで少しの間だけ家を空ける際も、必ず施錠をすること。防犯意識をしっかりと持ち、安心・安全な暮らしを送りましょう!」

記事前半でのクイズの正解は〈A〉でした。
段ボールの中身が分からないと、知らずのうちに現金を運ばされる可能性があります。また、報酬額が不自然に高い、時給が記載されていない、ボーナスの内容が不明確と、報酬に関する怪しいポイントが盛りだくさん。さらに、連絡手段がDMということにも要注意です。


































