
PROFILE この記事の登場人物

阿久井 信志 技術監理部 構造技術課/構造設計一級建築士(大東建託)
2014年に入社。設計部、首都圏設計センターを経て、2021年から技術監理部に所属。現在は、首都圏エリアにおける特注RC造の構造設計全般の業務に従事している。

濱崎 紀彦 技術監理部 構造技術課/構造設計一級建築士(大東建託)
2014年に東広島支店 設計課に入社。2018年に設計部 技術課へ異動、首都圏設計センター等を経て、2021年から技術監理部に所属。現在は、流通開発事業部 西日本建築事業本部エリアにおける特注RC造の構造設計全般の業務に従事している。
賃貸のマンションを探しているときに物件詳細ページで間取りや専有面積、築年数などと一緒に「RC造」「SRC造」という表記を見たことはありませんか。建物構造の一つですが、具体的にどういった構造なのかを理解している人は少ないかと思います。
この記事では、RC造(鉄筋コンクリート造)・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の特徴や違い、それぞれのメリット・デメリットなどについてわかりやすく解説します。
RC造(鉄筋コンクリート造)とは?
RC造は、建物の主要な構造部分(柱・梁・床・壁など)を、鉄筋とコンクリートを組み合わせて造る建築構造のこと。「RC」は、Reinforced Concrete(補強されたコンクリート)の略称です。耐久性や防音性、耐火性に優れていることから、集合住宅(マンション・アパート)や公共施設などで多く採用されています。
RC造(鉄筋コンクリート造)の基本的な仕組み
鉄筋コンクリートの特性(引用:鉄筋コンクリート造)鉄筋は引っ張る力(引張力)に非常に強い性質を持っていますが、熱に弱くさびやすいという弱点があります。コンクリートは圧縮する力(圧縮力)に非常に強い性質を持ち、熱にも強いですが、引っ張る力には弱いという弱点があります。
RC造では、これらの正反対の性質を持つ材料を組み合わせることで、それぞれの弱点を補い合い、非常に強固で耐久性の高い構造を実現しているのです。具体的には、鉄筋を網状に組んだ型枠の中にコンクリートを流し込んで一体化させます。コンクリートが鉄筋を覆うことで、さびや熱から鉄筋を守り、建物全体として引っ張る力と圧縮する力に優れた強度を発揮するのです。
RC造(鉄筋コンクリート造)の耐用年数は47年?
RC造の法定耐用年数は住宅用のもので47年と定められていますが、これはあくまで法律上での減価償却期間であり、実際の建物の寿命とは異なります。適切なメンテナンスを行うことで、耐用年数を超えて住み続けることも可能です。
優れた防音性
RC造は、コンクリートの密度が高く、音を通しにくい性質があるため、防音性にも優れています。外部からの騒音はもちろん、隣室や上下階からの生活音も軽減する効果が期待できるため、静かで快適な居住環境を実現しやすい構造と言えるでしょう。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは?

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、高層マンションや商業ビルなど、大規模な建築物でよく用いられる構造のこと。「SRC」はSteel Reinforced Concreteの略で、鉄骨鉄筋コンクリート造。つまり、鉄骨(S)と鉄筋コンクリート(RC)を組み合わせたものという意味です。
SRC造の構造の特徴
SRC造は、建物の骨組みに鉄骨(Steel)を使用し、その周囲に鉄筋(Reinforcing bar)を配置してコンクリート(Concrete)で覆う複合構造。鉄骨と鉄筋の持つ高い引張強度と、コンクリートの持つ圧縮強度・耐火性を組み合わせることで、それぞれの長所を活かした、非常にバランスの取れた構造となっています。この複合的な仕組みが、地震や強風などの外力に対して非常に高い抵抗力を発揮しているのです。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の耐用年数
SRC造の法定耐用年数は、税法上の減価償却期間として一般的に47年と定められています。しかし、これはあくまで税務上の基準であり、建物の物理的な寿命を示すものではありません。適切なメンテナンスを行うことで、耐用年数を超えて住み続けることも可能です。
RC造同様の優れた防音性
SRC造は、RC造と同様にコンクリートの密度が高く、音を通しにくい性質があるため、防音性に優れています。基本的には防音性能はRC造と同じです。外部からの騒音や隣室、上下階からの生活音が気にせず暮らせる住環境を求める方にとって、有力な選択肢となるでしょう。
RC造(鉄筋コンクリート造)とSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の違い

それぞれの特徴について解説しましたが、RC造とSRC造にはどのような違いがあるのでしょうか。主な特性を比較したものを下記の表にまとめてみました。
| 項目 | 説明 | 説明 |
|---|---|---|
| 構造 | 鉄筋 + コンクリート | 鉄骨 + 鉄筋 + コンクリート |
| 耐震性 | 高い | 非常に高い |
| 耐火性 | 高い | 高い |
| 遮音性 | 高い | 高い |
| 建築コスト | 高い | RC造より高い |
| 工期 | 長い | RC造より長い |
| 適した建物 | 集合住宅、公共施設、中低層マンション | 高層マンション、タワーマンション、オフィスビル、商業施設、病院、学校などの大規模な建築物 |
| リフォーム | 制限がある場合も | 制限がある場合も |
どちらも耐震性・耐火性・遮音性に関しては高性能ですが、建築コストや工期の長さを考えると、RC造は一般の集合住宅や中低層マンション向け、SRC造はより強度や安全性が優先される超高層ビルやタワーマンションなどの大規模な建築物向けといえるでしょう。
RC造(鉄筋コンクリート造)のメリット・デメリット
RC造とSRC造の大まかな違いについて解説しましたが、それぞれのメリット・デメリットについても詳しく見ていきましょう。まずはRC造から解説します。
RC造のメリット
RC造の主なメリットは下記の5つが挙げられます。
メリット01:高い耐震性
RC造の最大のメリットは、高い耐震性です。鉄筋とコンクリートが一体化することで、地震の揺れに対して粘り強く抵抗し、建物の倒壊を防ぐ効果が期待できます。
メリット02:優れた耐火性
コンクリート自体が不燃材料であるため、優れた耐火性も持ち合わせています。火災が発生した場合でも、延焼を防ぎ、建物の構造的な安全性を保つことができるのです。
メリット03:高い防音性能
前述の通り、高い防音性もRC造の魅力です。密度の高いコンクリートが音を遮断するため、静かで快適な居住環境を実現できます。
メリット04:耐久性の高さ
耐久性が非常に高いこともメリットとして挙げられます。適切なメンテナンスを行うことで、長期間にわたり建物の資産価値を維持することが期待できるでしょう。
メリット05:優れた断熱性
断熱性にも優れており、外気温の影響を受けにくいため、一年を通して快適な室温を保ちやすく、冷暖房効率の向上にも貢献します。
外壁などに防水性を確保する目的でシーリングを使用。大東建託の建物で使用されるシーリングは従来のシーリングと比較し耐候性に優れ、期待耐候年数が約30年と長期間になっています。
(引用:大東建託の高耐久シーリング「オリジナルの高耐久資材」)

【事例】大東建託のRC造(鉄筋コンクリート造)商品
(左)リヴァーサRC ロコモKW:1LDKと2LDKとなっており、カップル・ファミリーの入居者様に需要のある住居系地域(住宅地として、将来にわたって住環境を守っていく地域)にも建設が可能なRC造の商品/(右)LIGNO ZEH(リグノ ゼッチ):ZEH標準仕様での賃貸住宅商品。水廻りを上下階で反転させることで、建物の高さ制限が10mの地域でも4階建て住宅の建設を可能に。限られた都市空間の有効活用と高い居住性を両立したRC造のデメリット
RC造の主なデメリットは下記の3つが挙げられます。デメリット01:建築コストが高い
RC造のデメリットとしては、まず建築コストが高い傾向にあることが挙げられます。特に低層の場合は、木造や軽量鉄骨造と比較して材料費や人件費が多くかかるため、初期費用が高くなってしまうのです。
デメリット02:結露やカビが発生しやすい
コンクリートの気密性が高く湿気が抜けにくいため、換気が不十分な場合は結露やカビが発生しやすいという側面も。そのため、適切な換気対策を講じる必要があります。
デメリット03:リフォームや解体に手間がかかる
建物の構造自体が頑丈であるため、リフォームや解体をする際は通常よりも手間がかかる場合があることも考慮しておく必要があります。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)のメリット・デメリット
次に、SRC造のメリット・デメリットについても見ていきましょう。SRC造のメリット
SRC造の主なメリットは下記の4つが挙げられます。メリット01:非常に高い耐震性・耐火性
最大のメリットは、非常に高い耐震性と耐火性を兼ね備えている点です。鉄骨と鉄筋とコンクリートが一体化することで、地震の揺れに対して粘り強く抵抗し、建物の倒壊を防ぐ効果が期待できます。また、コンクリート自体が不燃材料であるため、優れた耐火性も持ち合わせています。火災が発生した場合でも、延焼を防ぎ、建物の構造的な安全性を保つことができるのです。
メリット02:遮音性・断熱性に優れている
コンクリートの持つ高い密度と重量によって、鉄筋コンクリート造と同様にSRC造は優れた遮音性を実現しています。外部からの騒音はもちろん、建物内部の隣室や上下階からの生活音も効果的に遮断することで、静かで落ち着いた居住空間を提供できるのです。また、断熱性にも優れており、外気温の影響を受けにくいため、一年を通して快適な室温を保ちやすく、冷暖房効率の向上にも貢献します。
メリット03:耐久性の高さ
RC造と同じく、耐久性が非常に高いこともメリットとして挙げられます。適切なメンテナンスを行うことで、法定耐用年数(47年)を大きく超えて使用することが可能です。
メリット04:大規模建築に適している
SRC造が持つ高い耐久性は、超高層ビルや大型商業施設、タワーマンションなどの大規模な建築物に最適です。広い空間を確保しやすく、複雑な構造設計にも対応できるため、都市部のランドマークとなるようなデザイン性の高い建物にも多く採用されています。都市開発において重要な役割を果たす建物構造と言えるでしょう。
SRC造のデメリット
SRC造の主なデメリットは下記の5つが挙げられます。
デメリット01:建築コストが高い
鉄骨、鉄筋、コンクリートという3つの異なる材料を使用し、それぞれを組み合わせるための高度な施工技術と手間を要するため、SRC造は他の構造(RC造やS造、木造)に比べて建築コストが最も高くなる傾向があります。これは、材料費だけでなく、専門的な技術を持つ職人の人件費や、複雑な工程管理費などが加算されるためです。そのため、SRC造の物件は、賃料や販売価格も比較的高めに設定されることが多いです。
デメリット02:施工期間が長くなる
SRC造の建物は、鉄骨の組み立て、鉄筋の配置、コンクリートの打設、そしてコンクリートの養生(固まるまでの期間)といった、複数の工程を段階的に進める必要があります。これらの工程それぞれに時間がかかるため、一般的な木造住宅や鉄骨造の建物に比べて、施工期間が長くなる傾向も。また、工期の長期化は間接的にコスト増にも繋がることがあります。
デメリット03:建物自体の重量が重くなる
鉄骨・鉄筋と大量のコンクリートを使用するため、建物全体の重量がRC造よりも重くなります。そのため、建物を建てる地盤が弱い場所では、建物の重さに耐えられるように、より強固な基礎工事や地盤改良工事が必要になる場合も。これにより、建築コストがさらに増加する可能性があり、土地選びの段階から注意が必要です。
デメリット04:リフォームの制約を受ける場合もある
SRC造の建物は、構造躯体が非常に頑丈であるため、将来的に間取りを大きく変更するような大規模なリフォームには制約が生じる場合があります。特に、建物の耐力壁であるコンクリート壁の撤去や移動は、構造上の問題から基本的に制限されることが多いです。リフォームの可能性を考慮する場合は、事前に専門家への相談や、物件の構造図の確認をおすすめします。
デメリット05:結露やカビが発生しやすい
コンクリートの気密性が高く湿気が抜けにくいため、換気が不十分な場合は結露やカビが発生しやすいという側面も。そのため、適切な換気対策を講じる必要があります。
【まとめ】建物構造の特徴を理解して、自分に合った住まい選びを目指そう
RC造もSRC造も、耐久性や防音性、耐震性に優れた建物構造です。それぞれの構造ごとの特徴をしっかり理解して、自分に合った住まい選びを目指してみてください。

































