
PROFILE この記事の登場人物

多邊田 美香 花王株式会社 コンシューマーインテリジェンス室
1989年入社。食用油の研究員などを経て、2000年より生活者研究をする部署に異動。生活情報の企画・発信業務。家事にまつわるお客さまのリアルな声を「My Kao くらしラボ」で情報配信に。「家事に正解はない」「ビギナーでも分かりやすく」をモットーに、家庭ごとのやり方を尊重しつつ、効率的な家事術を発信している。
気温が下がるにつれて乾きにくくなる洗濯物。「1日経ってもまだ乾かない」「室内に干すと、生乾きで嫌なニオイが気になる」など、冬場の洗濯には悩みがつきものです。
今回は、数多くの洗濯洗剤を開発してきた花王で家事にかかわる生活情報に詳しい多邊田美香さんに、寒い時期にありがちな洗濯の悩みの原因と具体的な解決法を聞きました。すっきり洗ってしっかり乾かす洗い方・干し方のコツ、洗剤選びのポイントなど、冬の洗濯ストレスを軽減するヒントをお届けします。
商品開発を通じて、新しい価値の創造や新たな生活習慣の提案を目指す花王。商品は、独自で定めた「商品開発五原則」のもと、「探索」「開発」商品化」「生産移行」などの各段階を経て発売され、発売後も「フォロー段階」でお客さまの声を改良に生かし、より良い製品づくりを追求しています。そんな花王は、生乾き臭の原因が「モラクセラ菌」という菌にあると特定。生乾き臭対策のパイオニアとしても知られています。さまざまな商品開発や情報発信を通じて、消費者の生活の悩みに寄り添い続ける企業です。
花王の企業サイト
寒くなると洗濯物が乾きにくいのはなぜ?
洗濯物が早く乾くのに必要な条件は「高い温度」「低い湿度」「風」の3つ。冬はこのうちの「温度」が非常に低くなるため、洗濯物が乾きにくくなります。
多邊田「気温低いと水分が蒸発しにくいので、洗濯物が乾ききるまでにどうしても時間がかかります。特に気温が15℃を切ると、乾くのが遅くなることが多いですね」
出典:花王 My Kaoくらしラボ一方、湿度は低ければ低いほど洗濯物が乾きやすくなります。寒くなると空気が乾燥する地域が多いですが、雪の降る地域は湿度が高めの傾向があります。地域別の洗濯の干し方や悩み事について気になる人は、「花王 My Kaoくらしラボ」をチェックしてみてくださいね。
多邊田「寒さや雪の影響で、冬は室内干しをする人が多いと思います。しかし、室内だと風の影響を受けにくいので、やはり乾くのに時間がかかります。すると、洗濯物から『生乾き臭』と呼ばれる悪臭がすることがあります。これは自然界のどこにでもいるモラクセラ菌が水分に触れ、洗濯で落ち切らなかった汚れや皮脂を栄養に活性化した代謝物(フンのような物)のニオイ。つまり『菌の排泄物のニオイ』なんです」
菌は、エサとなる汚れが多い環境や、湿度の高い環境で繁殖しやすくなります。冬の生乾き臭の発生を防ぐには、洗濯物の汚れをきちんと落とし、できるだけ早く乾燥させることが大切です。
【生乾き臭を防ぐ4つのテクニック】見直しておきたい、洗濯の基本

ここからは、生乾き臭を予防するための具体的なテクニックを見ていきましょう。
テクニック01|洗濯物を詰め込みすぎない
多邊田「まず押さえてほしいのは、洗濯物の汚れを十分に落とすのに必要な2つのポイントです。1つめは、洗濯機に洗濯物を詰め込みすぎないこと。ぎゅうぎゅうに詰め込まず適量を守って入れることで、洗濯槽の中で洗濯物がよく動き、汚れが落ちやすくなります」
洗濯物の量の目安は、洗う前の状態で洗濯槽の7~8割まで。このくらいの量であれば、洗濯物の繊維の中に水がしっかり通り、汚れを剥ぎ取ってくれます。
テクニック02|洗剤は「使用量の目安」通りに使う
多邊田「汚れを落とすポイントの2つめは、洗剤をパッケージの使用量の目安通りに使うこと。『たくさん入れたほうが汚れが落ちそう』と思いがちですが、量が多すぎるとすすぎが不十分になってしまいます」
ただし、洗剤が少なすぎると汚れを落としきれず、生乾き臭の原因になるので要注意。一般的な衣類用の洗剤には落とした汚れが再付着するのを防ぐ働きがあるため、量が足りないと一度落ちた汚れが再び繊維に戻ってしまう可能性があります。
テクニック03|洗濯後は濡れたまま放置せずにすぐ干す
また、洗濯物が湿ったままの状態の時間をできるだけ短くすることも、生乾き臭を防ぐための重要なポイントです。
多邊田「洗濯したのに干し忘れて放置すると、菌が繁殖し、ニオイが発生しやすくなります。洗濯が終わったらできるだけ早く干しましょう。干し忘れて時間が経ったものは、ニオイ成分が発生している可能性が大です」
テクニック04|汚れた洗濯物はこまめに洗う
汚れた洗濯物を溜め込まないことも大切です。洗濯の頻度が減る冬場はどうしても溜め込みがちになりますが、繊維に汗や皮脂が残ったまま放置すると、菌が増えやすくなります。
多邊田「すぐに洗濯しないときは、洗濯槽や洗濯かごで保管しないで、洗濯のタイミングまでハンガーなどに吊るして水気を飛ばす習慣をつくりましょう。これだけでも、ニオイの発生しやすさは変わってくると思います」
【早乾き4つのテクニック】寒い時期は洗濯物を干す時間・場所を見極める

続いては、冬でも洗濯物を早くすっきり乾かすための具体的なテクニックを紹介します。
テクニック01|脱水時間を長めに設定する
寒い時期に洗濯物を早く乾かしたいなら、脱水時間を長くするのも一つの手。しかし、どうしても洗濯物にシワが増えてしまうのが難点です。
多邊田「例えば、最初は脱水時間を短めに設定して、シャツなどのシワがつきやすいものだけを先に取り出す。そのあと、タオルや厚手の衣類といったシワが気にならないものだけ追加で脱水するという方法もオススメです」
テクニック02|干す時間を調整する
干す時間も大切です。外干しなら、晴れた日の朝に干して午後3時ごろには取り込むと、寒い季節でも効率よく乾かせます。
多邊田「冬は夕方になると気温がぐっと下がり、空気が冷えて水蒸気をあまり含めなくなります。そうなると、せっかく乾いた洗濯物が空気中の湿気を再び取り込んでしまうんです。日が傾いたら干しっぱなしにせず早めに取り込み、乾ききっていないようでしたら、暖房が効いた部屋での室内干しに切り替えるのをオススメします」
冬場は夕方になると気温が一気に下がり、湿度は反対に上昇するテクニック03|干す環境や場所を工夫する
「洗濯物が目障りだから」と誰もいない部屋に干す人もいますが、暖房が入っていない冬の室内は寒くてジメジメしがち。扇風機やサーキュレーターなどで風の流れをつくるか、除湿器を使って湿度を下げると乾きやすくなります。
多邊田「洗濯物を干すためのバーがあるなら、浴室で干すのもいいですね。浴室乾燥機がなくても、換気扇を回したり、サーキュレーターや除湿器を置いたりすれば比較的早く乾きます。室内干しのなかでも避けてほしいのは、カーテンレールに干すことです。窓際は外の冷気の影響で湿度が高くなりやすいですし、カーテンレールが洗濯物の重みでたわむ、カーテンが湿気でカビる可能性もあります」









































