
PROFILE この記事の登場人物

宗 健 麗澤大学教授 博士(社会工学・筑波大学) ITストラテジスト/賃貸未来研究所 フェロー
1965年北九州市生まれ。1987年九州工業大学工学部卒業、株式会社リクルート入社。通信事業部、求人系インターネットサービス企画マネジャー、ForRent.jp編集長、ISIZE住宅情報編集長、R25式モバイル編集長などを経て、2006年株式会社リクルートフォレントインシュア代表取締役社長。2012年リクルート住まい研究所長、2018年7月大東建託株式会社賃貸未来研究所長、2020年4月AI-DXラボ所長(兼担)、2021年4月麗澤大学客員教授を経て、2023年4月より麗澤大学教授、大東建託株式会社賃貸未来研究所フェロー。
「空き家問題」という言葉をニュースで見たことはありますか? メディアでは空き家が増えていると報じられていますが、普段家の周りや住宅街を歩いていてもそこまで見かけないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、空き家問題の一般的な定義や、データから読み解く空き家の現状、大東建託の空き家に対する取り組みについて解説します。
放置された空き家が悪影響を及ぼすといわれる、空き家問題とは?

近年、メディアで「空き家問題」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、具体的に何が問題なのかは意外と知られていません。まずは空き家問題の定義について考えてみましょう。
空き家問題は、2000年頃からメディアで取り上げられることが増えました。一般的には単に空き家が放置されていることだけでなく、適切な管理がされていないことで社会や地域にさまざまな悪影響を及ぼす現象のことを指し、放置された空き家は、景観の悪化や衛生問題、防犯上のリスクなど、さまざまな問題を引き起こすことも。そのため、所有者だけでなく、近隣住民や自治体にとっても、空き家問題は社会的な課題であると言われているのです。
空き家に関する現状
メディアでは「空き家が増えている」と頻繁に報じられ、社会問題として大きく取り上げられています。しかし、本当に空き家は増えているのでしょうか。まずはそもそもの空き家の定義から確認してみましょう。
『この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く』(引用:「空家等対策の推進に関する特別措置法」)。
つまり、「〇年以上居住されていない」などの具体的な年数や条件は示されておらず、あくまで「使用されていないことが常態であるもの」という抽象的な表現で定義されているのです。
実は空き家は増えていない?
空き家が増えているという認識の背景には、総務省による「住宅・土地統計調査」の調査方法が昭和23年から変わっていないことが関係しています。例えば、紙の調査票を都心にあるタワーマンションの郵便受けに配布したところで、住民全員から回答が返ってくることはないでしょう。現在ではオンライン回答も受け付けていますが、調査に回答しない世帯が空き家としてカウントされている、つまり正確な集計ができていないという可能性があるのです。
総務省による調査結果では、2023年10月時点で、日本全国の空き家は900万2千戸と過去最多、空き家率も13.8%と過去最高を記録したと発表されている(出典:令和5年住宅・土地統計調査(総務省))そういった現状を踏まえて、大東建託 賃貸未来研究所フェローの宗建さんが2017年に発表した論文で、『国勢調査世帯数を用いた空き家率』『自治体調査の空き家率』『賃貸住宅サイト・ゼンリンデータを用いた募集率』など複数の調査結果と、総務省の『住宅・土地統計調査』を比較してみたところ、どの調査結果よりも『住宅・土地統計調査』の空き家率が大幅に上回っていることが分かりました。
住宅・土地統計調査の空き家率と、国勢調査の世帯数から算出した空き家率を照らし合わせた図。どの都道府県においても住宅・土地統計調査の空き家率のほうが高くなっていることから、過大に算出されている可能性が示唆されている(出典:「住宅・土地統計調査空き家率の検証」宗健(2017年))特に差が大きかった豊島区の空き家率を比較してみると、住宅・土地統計調査では12.9%、自治体調査では1.6%でした。このように、データを基に検証してみたところ、一般に知られている数字と自治体の調査で判明した数字に大きな開きがあり、世間的なイメージほど全国的に空き家は増えていないという実態が見えてきました。
管理されている空き家は増えている?
空き家が増えていると思われがちな理由は、他にもあります。親元を離れて独立した子どもが実家を相続した際、すぐに売却や賃貸に出さず、空き家として所有し続けるケースが増えていることです。つまり、「放置されて問題になっている空き家」ではなく、「使用されていないが、管理はされている空き家」が増えているのです。
適切に管理されている空き家は問題を引き起こすわけではないので、一概に「空き家が増えている=空き家問題」とは言い切れない側面もあります。
景観悪化や衛生問題、犯罪リスク…… 空き家の放置はトラブルを引き起こすのか?

空き家を放置することは、所有者にとってだけでなく、近隣住民や地域社会全体にとってもさまざまなトラブルの原因となると言われています。例えば景観の悪化や衛生問題、防犯上のリスクなどが挙げられます。
しかし現実的には、都会でも田舎でも、すべての空き家がそこまで深刻な問題になっているわけではありません。メディアで報じられるような極端な事例は一部であり、空き家の多くは、所有者によって最低限の管理がされています。むしろゴミ屋敷など、人間が住んでいる家が近隣トラブルを招くことのほうが多いかもしれません。つまり、「空き家」であることよりも、「その建物が適切に管理されているかどうか」の方が重要なのです。
空き家を放置しておくとペナルティがある?
空き家を放置し続けると、所有者には固定資産税や都市計画税といった維持費が発生し続けます。さらに、自治体から「特定空き家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が解除され、税金が最大6倍に跳ね上がる可能性も。将来的に解体が必要になった場合も、多額の費用が所有者にのしかかることになります。
このように、空き家を放置することは、所有者にとって経済的な負担が増えるだけでなく、法的な責任を問われるリスクもあるのです。
大東建託の空き家に対する取り組み
親世代が地方の実家で生活し、自身が都内のマンションで生活している場合、両親の死後に実家が空き家になる可能性は少なくありません。しかし、両親が存命の間に、将来の空き家問題について話し合うことはなかなか難しく、ハードルが高いもの。両親側としても自身の死後の話はあまり気持ちのいいものではないため、話し合いを避けてしまう家庭も多いことでしょう。
そんな状況のまま、相続後に実家の扱いに困ってしまった場合は、大東建託の「空き家管理サービス」が有効な選択肢となります。大東建託の「空き家管理サービス※」は、単に空き家を管理するだけでなく、賃貸物件としての活用、売却、あるいは解体など、お客さまの状況や希望に合わせた最適なソリューションを提案します。例えば、賃貸物件として活用することで、空き家が収益を生み出す資産に変わる可能性も。売却を検討している場合は、不動産の専門家として適切な査定を行い、スムーズな売却をサポートします。
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空き家の内部と外部を巡回して定期的に掃除などをするサービスプランもあります(引用元:大東建託パートナーズ 空き家管理サービス サービスプラン)【まとめ】空き家の扱いに困ったらまずは専門家へ相談
管理が行き届かない空き家は、景観の悪化、衛生問題、防犯リスク、そして所有者への経済的負担など、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。もし、親から実家を相続した後に空き家の扱いに困ってしまった場合は、一人で抱え込まず、専門家への相談を検討しましょう。
大東建託のような空き家サービスは、空き家の管理から活用、売却まで、所有者の状況に合わせた多様なサポートを提供しています。適切なサポートを受けて大切な資産を有効活用し、将来の不安を解消しましょう!















































